26 / 30
26.
しおりを挟むマリエッタは、フレージュがウィリアムとヘンドリック殿下の二人と付き合っていたのかと勘違いしたが、ウィリアムとの婚約は三か月も前に解消されていたと知った。
不敬な発言はしてしまったが、まぁそれは何とかなるだろう。
それよりも、婚約解消はマリエッタのために違いないのだから。
「ウィリアム様、私、嬉しいです。」
「……は?」
「私のために、フレージュ様との婚約を解消してくれたのですよね?」
早く愛の告白をしてください。
そう期待しながらウィリアムを見ると、冷たい視線とぶつかった。どうして?
「お前のために、ではなく、お前のせいで、フレージュに婚約解消されたんだ。」
「……え?」
婚約解消された?した、のではなく?
「俺はお前を利用してフレージュを嫉妬させたかっただけだ。なのに、俺の気持ちを知らなかったフレージュはお前との関係を浮気だと決めつけて、こっそり親に訴えて婚約を破棄しやがった。」
「ウィリアム様は知らなかったのですか?」
「ああ。婚約解消を知ったのはつい数日前だ。」
「そんな……もっと早く教えてくれたらよかったのに。意地が悪いわ。」
ウィリアムから昼食を断られる前に知っておきたかった。
彼が私と距離をとろうとしたのは、フレージュとの婚約を解消するのが難しいからだと思った。
だけど、ウィリアムはフレージュとの婚約が解消されて、婚約者はいなくなった。
だから、もう距離をとる必要はないはず。
「お前さぁ、さっきから俺の言葉をちゃんと聞いてたか?」
「もちろんです。」
「俺はお前と恋愛する気は最初からなくて、フレージュに嫉妬させたくて利用したって言ったんだぞ?」
そう言えば、そんなことを言っていたかもしれないが構わない。
「私はウィリアム様のことが好きですから!」
嬉しいでしょう?健気でしょう?
さあ!どうぞ、言って?
『婚約してほしい』って。
「ふ~ん。俺が好き、か。俺が侯爵家の跡継ぎじゃなくなったと言っても?」
「もち……え?」
もちろん、じゃない。何て言った?
侯爵家の跡継ぎじゃなくなった?
じゃあ何?侯爵夫人にはなれないってこと?
「そう言えば、女は嫁ぎ先の家名になるから、今が子爵令嬢でも誰も覚えていないとか何とか言っていたよな?継ぐ爵位がなくても貴族同士で結婚する奴らも多いが、それでも構わないということか?
ちなみに実家からの援助は期待できないぞ?自立して家から出て行けと言われている。
家を継ぐ弟の婚約者はフレージュの妹だ。サットン侯爵家からは援助も受けているしな。」
自立?
実家からの援助なし?
それって、自分が働いた給金だけで生活するってこと?
マリエッタの両親が彼女に勧めた結婚相手は、自領では大きな商会の息子。つまり、平民だった。
平民との結婚が嫌で、貴族との結婚を狙い、学園に入学した。
せっかく狙うのであれば、高位貴族の令息。
しかし、そうなれば婚約者は当然いるのだ。
破局しそうだったり、誘いに乗りそうな男はいないかと探っていたら、ウィリアムが狙い目だと思った。
それなのに、援助なしの自立ということは社交界には出られない、つまり、優雅な貴族生活ができないということだった。
2,175
あなたにおすすめの小説
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
断罪された公爵令嬢に手を差し伸べたのは、私の婚約者でした
カレイ
恋愛
子爵令嬢に陥れられ第二王子から婚約破棄を告げられたアンジェリカ公爵令嬢。第二王子が断罪しようとするも、証拠を突きつけて見事彼女の冤罪を晴らす男が現れた。男は公爵令嬢に跪き……
「この機会絶対に逃しません。ずっと前から貴方をお慕いしていましたんです。私と婚約して下さい!」
ええっ!あなた私の婚約者ですよね!?
【完結】婚約破棄はしたいけれど傍にいてほしいなんて言われましても、私は貴方の母親ではありません
すだもみぢ
恋愛
「彼女は私のことを好きなんだって。だから君とは婚約解消しようと思う」
他の女性に言い寄られて舞い上がり、10年続いた婚約を一方的に解消してきた王太子。
今まで婚約者だと思うからこそ、彼のフォローもアドバイスもしていたけれど、まだそれを当たり前のように求めてくる彼に驚けば。
「君とは結婚しないけれど、ずっと私の側にいて助けてくれるんだろう?」
貴方は私を母親だとでも思っているのでしょうか。正直気持ち悪いんですけれど。
王妃様も「あの子のためを思って我慢して」としか言わないし。
あんな男となんてもう結婚したくないから我慢するのも嫌だし、非難されるのもイヤ。なんとかうまいこと立ち回って幸せになるんだから!
好き避けするような男のどこがいいのかわからない
麻宮デコ@SS短編
恋愛
マーガレットの婚約者であるローリーはマーガレットに対しては冷たくそっけない態度なのに、彼女の妹であるエイミーには優しく接している。いや、マーガレットだけが嫌われているようで、他の人にはローリーは優しい。
彼は妹の方と結婚した方がいいのではないかと思い、妹に、彼と結婚するようにと提案することにした。しかしその婚約自体が思いがけない方向に行くことになって――。
全5話
平凡令嬢は婚約者を完璧な妹に譲ることにした
カレイ
恋愛
「平凡なお前ではなくカレンが姉だったらどんなに良かったか」
それが両親の口癖でした。
ええ、ええ、確かに私は容姿も学力も裁縫もダンスも全て人並み程度のただの凡人です。体は弱いが何でも器用にこなす美しい妹と比べるとその差は歴然。
ただ少しばかり先に生まれただけなのに、王太子の婚約者にもなってしまうし。彼も妹の方が良かったといつも嘆いております。
ですから私決めました!
王太子の婚約者という席を妹に譲ることを。
「義妹に譲れ」と言われたので、公爵家で幸せになります
恋せよ恋
恋愛
「しっかり者の姉なら、婚約者を妹に譲ってあげなさい」
「そうだよ、バネッサ。君なら、わかるだろう」
十五歳の冬。父と婚約者パトリックから放たれた無慈悲な言葉。
再婚相手の連れ子・ナタリアの図々しさに耐えてきたバネッサは、
その瞬間に決意した。
「ええ、喜んで差し上げますわ」
将来性のない男も、私を軽んじる家族も、もういらない。
跡継ぎの重責から解放されたバネッサは、その類まれなる知性を見込まれ、
王国の重鎮・ヴィンセント公爵家へ嫁ぐことに。
「私は、私を一番に愛してくれる場所で幸せになります!」
聡明すぎる令嬢による、自立と逆転のハッピーエンド。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。
しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。
友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。
『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。
取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。
彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。
【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜
よどら文鳥
恋愛
伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。
二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。
だがある日。
王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。
ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。
レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。
ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。
もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。
そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。
だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。
それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……?
※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。
※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる