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しおりを挟むメルリーは最近のブレイズの噂を耳にして、やはりそうなってしまったか、とため息をついた。
再婚した今、メルリーは幸せな毎日を過ごしている。
夫は王宮の文官で、夜勤はなく、親睦会のような飲み会もない。
規則正しい生活にメルリーはホッとしている。
先日、ブレイズに聞いたこと、結婚していた時に浮気をしたのかどうか、ということは、ずっとメルリーの中で引っかかっていたことだった。
ブレイズは嘘はつかない。
あの頃はむきになって浮気をしたと言わせたかったけれど、彼は否定し続けていた。
それは、事実だったのではないかと思った。
つまり、体を繫げた行為まではしなかったから浮気はしていないというのがブレイズの言い分だったのではないか、と。
まぁ、それに準ずる行為はしていたようだけど。
なのに、アイリーンさんの出産を聞いて、再び浮気疑惑が浮上した。
この時期に産まれたのなら、離婚前から関係を持っていないとおかしい、と。
早産でもなく、大きな男の子だったらいい。
いったい、何が本当なの?
そして偶然、ブレイズと再会した。
確認してスッキリしたかったから聞いてみた。
彼は『浮気は、した』と答えた。
なのに、『もし、浮気してなかったって言われたら、ブレイズの子じゃないことになるものね。』と言ったら、ブレイズの様子が変になった。
そこで気づいた。
浮気したと言ったのは、ブレイズの嘘だったのだと。
浮気を疑い続けたメルリーが間違っていたのだと思わせないための、優しい嘘。
彼は自分の不誠実だった行動を、心から申し訳ないことをしたと思っているのだろう。
本当は、ブレイズはメルリーと結婚している間にアイリーンさんと体を繋げたことはなかったのだ。
ということは、子供はブレイズの子ではないということになる。
離婚してすぐにブレイズがアイリーンさんと関係を持ったことは、彼女が妊娠したことを知った時に父から聞いた。
少しもメルリーを気遣う期間もない交際に、そんなに彼女を望んでいたのなら早く浮気を認めたらよかったのに、と思っていた。
でも、アイリーンさんにはブレイズの他にも親しくする人がいたことになる。
ブレイズに一途ではなかったのだ。
メルリーはアイリーンに腹が立った。
ブレイズが自分の子ではないと承知の上で結婚しているのであれば問題ない。
しかし、彼女は明らかにブレイズを騙して結婚したようだ。
だから、ブレイズが気づくように、子を孕んだ時期を教えた。
メルリーがブレイズにできる最後の贈り物として。
……嫌がらせも込めて。
もし、ブレイズがアイリーンを愛しているのだとして、事実を知っても愛せるのか。
血の繋がらない子も愛せるのか。
メルリーを傷つけてまでアイリーンを選んだのだから。
流産のことを後で知って、自分の行動を後悔したのだとしても、アイリーンと結婚したのだから。
それがたとえば、妊娠させた責任だけの結婚だったのなら、あなたはこの事実を知って、どうする?
二人の未来が不穏なものになるかもしれないのに、敢えて、教えた。
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