4 / 19
4.
しおりを挟むチェリムが払う慰謝料は、チェリムの月々のお小遣いの8割を5年分を貰うことにした。
「そんなに取られたら、何も買えないわ。」
「何言ってるのよ。たった5年で許してあげてるの。
あなた、人の婚約者を取ったら当然のことなのよ。
それにね、これからのあなたの自由な時間は少なくなるでしょ?
お小遣いを使う暇もなくなるわ。」
「え?どういうこと?」
「跡継ぎになるのなら、まずは学園を卒業しなければならないわ。
言っておくけれど、最低ラインというものがあるのよ。ただ卒業すればいいわけじゃないの。
今の成績を上げないと、難しいわよ。
それに加えて、領地や当主の仕事についても勉強しなきゃならない。
お父様、お母様、チェリムを甘やかさないでくださいね。」
「いや、だが、プリムが跡継ぎのままでいいんじゃないのか?」
「どうしてです?
お父様たちは私ではなくチェリムを跡継ぎに選びましたよね。
ずっと努力してきた私ではなく、ね。」
両親は黙ってしまった。少しはひどいことを言った自覚があるのだろうか。
「婚約も無くなりましたし、跡継ぎとは言えない私には縁談も来ないでしょう。
ですので、辺境の伯父様のところで仕事をします。
チェリムの結婚生活を横目にここで仕事させられるなんてまっぴらごめんですからね。
もし、私に縁談が来ることがあっても、勝手に受けないでください。
そんなことがあれば、平民になります。
とりあえず、チェリムが無事に卒業して跡継ぎの資格を得るまでは貴族のままの方がいいでしょう?」
今、私が平民になり、跡継ぎの登録から外れると親戚の誰かが登録することになる。
チェリムが卒業した時に、その親戚が跡継ぎ指定の登録をし直してくれるとも限らないのだ。
「プリム、すまなかった。やはりお前が跡継ぎの方が……」
「今更ですわ。私、お父様に失望しました。
チェリムから婚約者と跡継ぎ変更の話を聞いた時、どうして諌めなかったのですか?
姉妹だからいいと思ったのですか?
娘が婚約者を奪われたのですよ。娘が婚約者を奪ったのですよ。
どうしてチェリムたちを叱らなかったのですか?
これが他人がしたことなら怒るでしょう?
確かに、他の女性に気持ちがある男と結婚しても幸せにはなれないかもしれない。
だけど、そんな夫婦はたくさんいます。違いますか?
それでも2人が一緒になりたいのなら、私は許しました。
跡継ぎをチェリムに変えると言われなければね。
それさえなければ、ここまで怒りませんでした。
跡継ぎのままなら、新たな婚約者は見つかると思いますから。
ですが、私に相談もなく勝手に跡継ぎの変更を了承したことが許せません。
そして、私の幸せを考えてくれず、仕事を押し付けようとした。
独り身で仕事に生きるのなら、ここではなく辺境で治癒魔力を使う仕事をします。
その方が感謝されますし、やりがいがありますからね。」
「いや、だが、チェリムとクラレンス君では頼りなく思えるんだが……」
今更何を言っているのかしら。そんなわかりきったことを。って本当に私に仕事を押し付ける前提だったってことね。
「そんなこと私に言われても、私は残って仕事をすると了承していませんから。
クラレンスとチェリムはまだ婚約したわけではないのですから、優秀な婚約者を選んでは?
あ、チェリムの好みは聞いた方がいいですよ。」
勉強しなければならないと聞いて放心したままだったチェリムが反応した。
「ハゲでデブじゃなかったらこの際いいわ。
お父様、私の代わりに仕事してくれそうな人を探して。ね?」
ハゲでデブは父親世代より上の人でないと見つからない気がしたけど、チェリムと同年代から10歳上くらいまでで探したら仕事のできる人はいると思う。性格がいいかは知らないけど。
そして、やっぱりチェリムはクラレンスと婚約する気はないのね。
476
あなたにおすすめの小説
妹が私こそ当主にふさわしいと言うので、婚約者を譲って、これからは自由に生きようと思います。
雲丹はち
恋愛
「ねえ、お父さま。お姉さまより私の方が伯爵家を継ぐのにふさわしいと思うの」
妹シエラが突然、食卓の席でそんなことを言い出した。
今まで家のため、亡くなった母のためと思い耐えてきたけれど、それももう限界だ。
私、クローディア・バローは自分のために新しい人生を切り拓こうと思います。
三度裏切られたので堪忍袋の緒が切れました
蒼黒せい
恋愛
ユーニスはブチ切れていた。外で婚外子ばかり作る夫に呆れ、怒り、もうその顔も見たくないと離縁状を突き付ける。泣いてすがる夫に三行半を付け、晴れて自由の身となったユーニスは、酒場で思いっきり羽目を外した。そこに、婚約解消をして落ちこむ紫の瞳の男が。ユーニスは、その辛気臭い男に絡み、酔っぱらい、勢いのままその男と宿で一晩を明かしてしまった。
互いにそれを無かったことにして宿を出るが、ユーニスはその見知らぬ男の子どもを宿してしまう…
※なろう・カクヨムにて同名アカウントで投稿しています
【完結】我儘で何でも欲しがる元病弱な妹の末路。私は王太子殿下と幸せに過ごしていますのでどうぞご勝手に。
白井ライス
恋愛
シャーリー・レインズ子爵令嬢には、1つ下の妹ラウラが居た。
ブラウンの髪と目をしている地味なシャーリーに比べてラウラは金髪に青い目という美しい見た目をしていた。
ラウラは幼少期身体が弱く両親はいつもラウラを優先していた。
それは大人になった今でも変わらなかった。
そのせいかラウラはとんでもなく我儘な女に成長してしまう。
そして、ラウラはとうとうシャーリーの婚約者ジェイク・カールソン子爵令息にまで手を出してしまう。
彼の子を宿してーー
妹が公爵夫人になりたいようなので、譲ることにします。
夢草 蝶
恋愛
シスターナが帰宅すると、婚約者と妹のキスシーンに遭遇した。
どうやら、妹はシスターナが公爵夫人になることが気に入らないらしい。
すると、シスターナは快く妹に婚約者の座を譲ると言って──
本編とおまけの二話構成の予定です。
【完結】妹ばかり愛され追い出された姉ですが、無口な夫と暮らす日々が幸せすぎます
コトミ
恋愛
セラフィナは、実の親と、妹によって、家から追い出されることとなった。セラフィナがまだ幼い頃、両親は病弱なカタリナのため設備環境が良い王都に移り住んだ。姉のセラフィナは元々両親とともに住んでいた田舎に使用人のマーサの二人きりで暮らすこととなった。お金のない子爵家な上にカタリナのためお金を稼がなくてはならないため、子供二人を王都で暮らすには無理があるとセラフィナだけ残されたのだ。そしてセラフィナが19歳の時、3人が家へ戻ってきた。その理由はカタリナの婚約が上手くいかず王宮にいずらくなったためだ。やっと家族で暮らせると心待ちにしていたセラフィナは帰宅した父に思いがけないことを告げられる。
「お前はジェラール・モンフォール伯爵と結婚することになった。すぐに荷物をまとめるんだ。一週間後には結婚式だ」
困惑するセラフィナに対して、冷酷にも時間は進み続け、結婚生活が始まる。
妹に婚約者を奪われたけど、婚約者の兄に拾われて幸せになる
ワールド
恋愛
妹のリリアナは私より可愛い。それに才色兼備で姉である私は公爵家の中で落ちこぼれだった。
でも、愛する婚約者マルナールがいるからリリアナや家族からの視線に耐えられた。
しかし、ある日リリアナに婚約者を奪われてしまう。
「すまん、別れてくれ」
「私の方が好きなんですって? お姉さま」
「お前はもういらない」
様々な人からの裏切りと告白で私は公爵家を追放された。
それは終わりであり始まりだった。
路頭に迷っていると、とても爽やかな顔立ちをした公爵に。
「なんだ? この可愛い……女性は?」
私は拾われた。そして、ここから逆襲が始まった。
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
【完】ある日、俺様公爵令息からの婚約破棄を受け入れたら、私にだけ冷たかった皇太子殿下が激甘に!? 今更復縁要請&好きだと言ってももう遅い!
黒塔真実
恋愛
【2月18日(夕方から)〜なろうに転載する間(「なろう版」一部違い有り)5話以降をいったん公開中止にします。転載完了後、また再公開いたします】伯爵令嬢エリスは憂鬱な日々を過ごしていた。いつも「婚約破棄」を盾に自分の言うことを聞かせようとする婚約者の俺様公爵令息。その親友のなぜか彼女にだけ異様に冷たい態度の皇太子殿下。二人の男性の存在に悩まされていたのだ。
そうして帝立学院で最終学年を迎え、卒業&結婚を意識してきた秋のある日。エリスはとうとう我慢の限界を迎え、婚約者に反抗。勢いで婚約破棄を受け入れてしまう。すると、皇太子殿下が言葉だけでは駄目だと正式な手続きを進めだす。そして無事に婚約破棄が成立したあと、急に手の平返ししてエリスに接近してきて……。※完結後に感想欄を解放しました。※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる