侯爵の愛人だったと誤解された私の結婚は2か月で終わりました

しゃーりん

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父は、アリーズが結婚したことを誰が何度言っても、何度聞いても、次には忘れていた。

医師によると、受け入れたくないと頭の中で拒否しているのではないかということだった。
 
他にもいろいろあるのに、なぜ、このことだけ?アリーズは首を傾げるしかなかった。

 
「だから言っただろう?お前は父上のお気に入りなんだって。嫁いでからも調べさせていたくらいなんだ。お前がモリス男爵家で幸せかどうか、確かめずにはいられなかったんだろうから。」


兄はそう言うが、自分が父のお気に入りだなんて頭が拒否して受け入れないとこっちも言いたい。


「つまり、モリス男爵に愛人がいて私が夫から蔑ろにされていると知ってお父様は私の結婚を認めたくなかったということかしら?」


だから、記憶から抹消してしまった?そして、そのことがどうしても受け入れられないから? 


「そうなんじゃないか?まぁ、他には異常がなさそうだからお前の結婚のことだけで済んでよかったよ。」


兄としても、まだ25歳なので子爵位を継ぐには早いという思いがあるのかもしれない。
 
アリーズの結婚を忘れているくらい、特に問題にはならないという結論になった。


怪我の前後でも変わらない父のあの態度のどこが、アリーズのことを気に入っているのかアリーズ本人には謎のまま。




「アリーズ、話をしよう。」


スレイバー様にそう言われ、父の頭の中の件は解明しようがないので、アリーズは自分の頭の中の整理をしなければならなかった。

アリーズが悩んでいる大きなことと言えば、レベッカの子供を実子として受け入れるべきかどうかだ。 

他にもいろいろあるが、これを決めなければどうしようもない。


「お兄様は男爵様の愛人のレベッカが産む子供を私の実子にすることを反対したけれど、スレイバー様はどう思う?」

「俺も反対だな。」

「どうして?」

「逆に聞きたいよ。アリーズはどうして受け入れたいんだ?」

「それは……庶子だとその子の将来が可哀想だと思って。リズベスも複雑な家族のことを噂されたら可哀想だし。」


レベッカの子をアリーズの実子とすれば、単に後妻が産んだ子供となり、リズベスの腹違いの兄弟となるだけで問題はない。

だが、レベッカの子を庶子として男爵家の籍に入れれば、後妻を娶ったにも関わらず男爵は愛人を囲い、その愛人に子供を産ませた事実が明るみになるのだ。

それでなくとも、前妻が不貞の末に心中したと思われているのに、夫までが不貞の末に庶子を産ませたとなると、モリス男爵家は醜聞まみれ。

嫁いだアリーズはもちろん、悪くないリズベスまで男爵家の子というだけで嘲笑の対象になるだろう。

だからこそ、レベッカの子供を実子とする方が子供たちのためだと思っているのだ。


「アリーズ、それはお前の兄も言っていたが、子供たちのためという偽善でしかない。他にも選択肢があるのに、そちらの方を選ばないように逃げているのは何故だ?」

「……選択肢?」

「考えないようにしているのか?離婚、だよ。」

「離婚……」


確かにそうだ。何度も頭をよぎっているのに、それから逃げている。


「男爵とお前が離婚して、男爵はその愛人と結婚する。そうすれば庶子にはならないんじゃないか?」


男爵とレベッカが結婚すれば確かにそうなる。でも……


「男爵様は、貴族の妻をお望みなのよ。レベッカは平民だから、」

「そんなのお前の知ったことか?それは男爵の望みであり、男爵の失態の尻拭いをお前がしなければならない理由にはならないだろう?」


男爵の尻拭い。そっか。そう言われればそうでしかない。
 



  

 
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