侯爵の愛人だったと誤解された私の結婚は2か月で終わりました

しゃーりん

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実家に戻ったアリーズは、兄にモリス男爵と離婚できたことを報告した。


「わかった。父上には……報告しても意味がないな。まぁ、3か月、のんびり過ごせ。」

「3か月?」

「ああ。スレイバーと結婚するんだろう?離婚後、3か月経てば再婚できるじゃないか。」

「スレイバー様から聞いているの?」

「そりゃ、もちろん。」

「反対は?」

「しないさ。むしろ、嬉しいね。」

「そうなの?」

「ああ。だって、彼がずっとうちで働いてくれるってことだろ?父上も賛成するさ。」 

「そうかな?」

「スレイバーは父上のお気に入りだからな。お前もだけど。」


兄のお気に入りの基準がわからないけれど、反対されないと思うとホッとした。

 



アリーズはわかっている。
スレイバー様がアリーズのことを愛しているわけではないことを。

それでも、妹ではなく女として見てくれるだけでよかった。

彼は34歳になる大人の男で、女性経験も豊富そうだった。
今まで結婚しなかったのは、一人に縛られたくなかったか、まだ家庭を持ちたくなかったか。

それでも、そろそろ身を固めてもいいかと思ったときにアリーズが帰ってきて、同情もあって『嫁に来るか?』と言ったのだろうと思っていた。

でも兄と話して気づいた。

スレイバー様の求婚には兄も関わっているのだと。

むしろ、兄からスレイバー様に打診したのではないか。

理由は、子供。

結婚6年経つ兄にはまだ子供がいない。

兄は自分には子供ができないと最近知ったのではないか。

だから、アリーズにフライ子爵家の跡継ぎを産ませようと思っている。 

そのためには、ここにアリーズが留まって結婚することが望ましい。

そこで、まだ独身で昔からアリーズのことを知っているスレイバー様に声をかけた。

10歳年上のモリス男爵と結婚したのだから14歳差など誤差の範囲だと思っている。
兄はアリーズの初恋がスレイバー様だと知っているから断るはずがないと読んでいた。

そう思った。


男爵家に嫁いだ姉は一人子供を産んだ。養育費が大変なので一人でいいらしくもう産まない。

伯爵家で働いている次兄は独身で結婚する気がないし、跡継ぎのために結婚して子供を養子にくれとも言えない。そうなれば、フライ子爵家の跡継ぎに次兄がなると言うかもしれないから。
兄は地位を奪われたくはないだろう。

となると、アリーズの子供に期待したくなる。
スレイバー様も、自分の子供が子爵家の跡継ぎになれるのなら、アリーズとの結婚も引き受けるだろう。


でも、それでも構わない。
結婚すれば、スレイバー様は女遊びができなくなる。浮気すれば追い出されるから。

だから、彼はずっとアリーズ一人だけのものになる。
彼が触れるのはアリーズだけ。彼に触れられるのはアリーズだけ。

そう思うと、とても興奮する。

スレイバー様が初恋だった。その初恋がいつ終わったか、アリーズ自身もわからない。
けれど、次に好きになった人はいない。

つまり、初恋の火種は消えておらず、今でも初恋は続いていたのかもしれないと思った。




 
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