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しおりを挟む兄との話を終えて考え事をしたまま廊下を歩いていると、声をかけられた。
「アリーズ、お帰り。前、危ないぞ。」
振り返るとスレイバー様がいた。アリーズはまた、邪魔な花瓶にぶつかるところだった。
「ただいま、スレイバー様。」
「終わったか?」
「ええ、無事に。」
「じゃあ、結婚は3か月後、だな?」
「本当にいいの?」
「ああ。早くアリーズを抱きたいよ。最後まで。それから、孕ましたい。」
アリーズの耳元でスレイバー様はそう囁いた。
「アリーズの可愛くて色っぽい姿、目に焼きついてる。夜、部屋に行っていいか?また、前みたいに。」
最後まではしないけど、それ以外のことはするってことね。
「……ええ。待ってる。」
スレイバー様はアリーズの頬に口づけてから去って行った。
アリーズが逃げないよう、完全に落としにかかっている。
アリーズの体に触れたくてたまらないといった様子でいて、逆に快感に溺れさせるつもりで。
そんなことをしなくても、アリーズは逃げないのに。
だけど、知らないフリをして、体から落とされているように見せかけてあげる。
いや、実際には触れてもらえることを期待しているからアリーズは騙しているつもりはない。
スレイバー様が私のものになる。
スレイバー様が私の居所になる。
アリーズはそう思うだけで、この上なく幸せな気持ちになれるということを知った。
いつか、スレイバー様にもそう思ってもらえるような自分になりたい。
だから、しばらくは気づかないふりをしてあげる。
だけど、いつか『愛してる』と言わせたい。
完全に落とされるのがどちらになるか、楽しみね。
離婚後3か月を直前に、デッカード侯爵から手紙が届いた。
彼にはモリス男爵と離婚したことを手紙で報告していた。
再びあの侯爵家を訪れて奥様と面会する勇気などなかったから。
また何か噂のネタになるなんてたまったものじゃない。
しかし、手紙には話があるので来てほしいと書いてある。
なんで?
『昔からの知り合いと再婚することになりました』とも書いたから、また結婚相手の紹介なわけないし。
意味不明な手紙を一応兄にも報告すると、兄が言った。
「新婚旅行を兼ねてスレイバーと王都に行ったらいい。」
「スレイバー様と?」
「ああ。ついでに王都で入籍してきたらいいんじゃないか?」
離婚後3か月が経つのはデッカード侯爵に招かれた次の日。確かにちょうどいい。
「じゃあ王都の宿は少しいいところに泊まってもいい?」
「そうだな。結婚祝いだ。」
やった!兄は父ほどケチじゃないからよかった。
ちなみに父もスレイバー様との結婚には賛成してくれたから、一緒の部屋に泊まっても安上がりで済むと言われそう。
王都に向かう道中、同じ部屋に泊まってもスレイバー様は最後まで抱かない。
彼も王都の宿でと思っているらしい。
早く結婚したいと思った。
王都の宿に泊まるのは3泊。
入籍は2日後だけど、最初の1泊目でお互い我慢できずに最後まで致してしまった。
ずっと我慢をしていたスレイバー様は箍が外れたようになっていたけれど、アリーズは痛みを感じることもなく快感を受け入れた。
2日くらい、誤差よね?
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