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46.結末
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『現天獄のクリア者が現れました。良くぞここまで来ましたね。報酬を与えます。一つ願いを叶えましょう!』
実はこれのために俺達は秘策を用意していた。
一人の願いは一つだろう。だが、クラン単位も一クランじゃないかと。
一クランという単位で願いを叶えてくれるのではないかとそう考えた。
「クラン『極一突』の願いを叶えて欲しい!」
これでどうだ!
俺達は裏を書こうと必死になって考えた結果がこれだ。みんなで知恵を出し合って考えたのだ。
固唾を飲んで反応を見守る。
沈黙の時間が俺たちの緊張を増長する。
これが叶えばもう言うことはない!
『エラー。クランは複数を意味します』
無情にもちゃんとしたAIを積んでいるようだ。
こんなことで誤魔化せることはないんだと実感した。
俺達の知恵はAI以下だったんだな。
俺も壊れてきた。
「ダメじゃねぇか畜生! じゃあ、ジャンケンだ!」
動体視力のいい俺にジャンケンを挑もうなどとは笑止千万!
全員が勝つ気でいただろう。
もう顔が笑顔になっていた。
こんなに緊張したジャンケンは人生で初めてだったのではないだろうか。手に汗握るとはこのことだ。
「最初はグー!」
「「「ジャンケンポン!」」」
◇◆◇
「はぁぁぁ。まさかなぁ」
俺はいつものリハビリを終えて病院内にあるカフェへと向かっていた。
休憩する為だ。
ため息をついて落ち込んでいる理由はゲームのせい。
少し足を引きずりながら歩いていると、目の前から子供が走ってきた。
咄嗟に避けたが、踏ん張りが聞かずによろけてしまった。
「ヤバッ!」
倒れる────
「────っと! 大丈夫ですの?」
誰かに受け止められた。少し甘い香りがする。この匂いはどこかで……。
「あら? 世良様でしたの。休憩かしら?」
「あっ! シル……風花お嬢様。すみません! よろけちゃって」
自分の顔が熱いのがわかる。なんだがドキドキしてしまう。この感覚は……ネムさん以来だ。
「いいんですわ。ワタクシも休憩ですの。一緒にどうかしら? 話したいこともありますの」
「あっ、はい!」
中に入ると一緒の席に座った。
こうして二人で会うのは初めてじゃないだろうか。女の人と二人なんて俺はもうしばらくの間経験がないな。
「リハビリは順調ですの?」
「えぇ。実は調子が良くて。ゲームから少し離れたら体を動かすようになりまして」
「ふふふっ。それはよかったですわ。あんなことになってしまいましたものね?」
「はははっ。はい……」
ここで皆さんが気になっているであろう、あの時の真相をお話しよう。
俺はジャンケンには勝った。
そして遂に願いを「ネムさんをリアルに連れ帰りたい!」と伝えた。
少しの沈黙の後に返答があった。
答えは「エラー。NPCをリアルには連れていけません。無可能です」だった。
これにより再びジャンケンをしてバカラさんが事業資金を手に入れた。
大いに笑われたものだ。
それは散々馬鹿にされた。
バカラさん、キンドさん、アルト、シルドさん。みんなにバカにされた。
シルフィは残念そうにしてくれていたのを覚えている。
それからもうゲームはしていない。
ただ、ネムさんと風花お嬢様は何か……。
「ワタクシ、あのゲームの開発者と知り合いなんですの。データを作るお手伝いをしましたわ」
「はぁ」
「なんでも、何百通りの質問に対する答えを書いたんですの。それとDNAデータを渡しましたわ。その結果、ワタクシがなり得るキャラクターになったんだそうですわ」
「あっ、そうなんですね」
「ワタクシの得意料理は生姜焼きですわ。そして、飲食店で働いてみたかったのですわ。服装はタイトめがお気に入りですわ」
何が言いたいんだ?
得意料理が生姜焼き。
私服がタイトめ。
飲食店で働き……た……い?
頭の中で。
今まで感じていた違和感が全て繋がった。
「ネムさん?」
「ふふふっ。本当はダメなんですけど、開発者がワタクシのデータが誰に使われているか教えてくれたんですの」
風花お嬢様がネムさんと重なった。
「風花お嬢様! 俺と結婚してください! お願いします!」
「ふふふっ。じゃあ、お友達から」
これが俺の人生をかけて挑んだゲームの結末。
逆転満塁ホームランであった。
─────────
あとがき
この奇抜な物語、最後まで読んで頂いて有難うございました。
いかがでしたでしょうか?
楽しんで頂けましたか?
途中、更新ができなくてすみませんでした。
行き詰まってました。
おわらせることができてよかった。
世良を幸せにすることができてよかった。
有難うございました!
実はこれのために俺達は秘策を用意していた。
一人の願いは一つだろう。だが、クラン単位も一クランじゃないかと。
一クランという単位で願いを叶えてくれるのではないかとそう考えた。
「クラン『極一突』の願いを叶えて欲しい!」
これでどうだ!
俺達は裏を書こうと必死になって考えた結果がこれだ。みんなで知恵を出し合って考えたのだ。
固唾を飲んで反応を見守る。
沈黙の時間が俺たちの緊張を増長する。
これが叶えばもう言うことはない!
『エラー。クランは複数を意味します』
無情にもちゃんとしたAIを積んでいるようだ。
こんなことで誤魔化せることはないんだと実感した。
俺達の知恵はAI以下だったんだな。
俺も壊れてきた。
「ダメじゃねぇか畜生! じゃあ、ジャンケンだ!」
動体視力のいい俺にジャンケンを挑もうなどとは笑止千万!
全員が勝つ気でいただろう。
もう顔が笑顔になっていた。
こんなに緊張したジャンケンは人生で初めてだったのではないだろうか。手に汗握るとはこのことだ。
「最初はグー!」
「「「ジャンケンポン!」」」
◇◆◇
「はぁぁぁ。まさかなぁ」
俺はいつものリハビリを終えて病院内にあるカフェへと向かっていた。
休憩する為だ。
ため息をついて落ち込んでいる理由はゲームのせい。
少し足を引きずりながら歩いていると、目の前から子供が走ってきた。
咄嗟に避けたが、踏ん張りが聞かずによろけてしまった。
「ヤバッ!」
倒れる────
「────っと! 大丈夫ですの?」
誰かに受け止められた。少し甘い香りがする。この匂いはどこかで……。
「あら? 世良様でしたの。休憩かしら?」
「あっ! シル……風花お嬢様。すみません! よろけちゃって」
自分の顔が熱いのがわかる。なんだがドキドキしてしまう。この感覚は……ネムさん以来だ。
「いいんですわ。ワタクシも休憩ですの。一緒にどうかしら? 話したいこともありますの」
「あっ、はい!」
中に入ると一緒の席に座った。
こうして二人で会うのは初めてじゃないだろうか。女の人と二人なんて俺はもうしばらくの間経験がないな。
「リハビリは順調ですの?」
「えぇ。実は調子が良くて。ゲームから少し離れたら体を動かすようになりまして」
「ふふふっ。それはよかったですわ。あんなことになってしまいましたものね?」
「はははっ。はい……」
ここで皆さんが気になっているであろう、あの時の真相をお話しよう。
俺はジャンケンには勝った。
そして遂に願いを「ネムさんをリアルに連れ帰りたい!」と伝えた。
少しの沈黙の後に返答があった。
答えは「エラー。NPCをリアルには連れていけません。無可能です」だった。
これにより再びジャンケンをしてバカラさんが事業資金を手に入れた。
大いに笑われたものだ。
それは散々馬鹿にされた。
バカラさん、キンドさん、アルト、シルドさん。みんなにバカにされた。
シルフィは残念そうにしてくれていたのを覚えている。
それからもうゲームはしていない。
ただ、ネムさんと風花お嬢様は何か……。
「ワタクシ、あのゲームの開発者と知り合いなんですの。データを作るお手伝いをしましたわ」
「はぁ」
「なんでも、何百通りの質問に対する答えを書いたんですの。それとDNAデータを渡しましたわ。その結果、ワタクシがなり得るキャラクターになったんだそうですわ」
「あっ、そうなんですね」
「ワタクシの得意料理は生姜焼きですわ。そして、飲食店で働いてみたかったのですわ。服装はタイトめがお気に入りですわ」
何が言いたいんだ?
得意料理が生姜焼き。
私服がタイトめ。
飲食店で働き……た……い?
頭の中で。
今まで感じていた違和感が全て繋がった。
「ネムさん?」
「ふふふっ。本当はダメなんですけど、開発者がワタクシのデータが誰に使われているか教えてくれたんですの」
風花お嬢様がネムさんと重なった。
「風花お嬢様! 俺と結婚してください! お願いします!」
「ふふふっ。じゃあ、お友達から」
これが俺の人生をかけて挑んだゲームの結末。
逆転満塁ホームランであった。
─────────
あとがき
この奇抜な物語、最後まで読んで頂いて有難うございました。
いかがでしたでしょうか?
楽しんで頂けましたか?
途中、更新ができなくてすみませんでした。
行き詰まってました。
おわらせることができてよかった。
世良を幸せにすることができてよかった。
有難うございました!
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