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9.視聴者たち
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「この配信者、面白い、よ?」
「んー? どれや?」
その液晶には先程の入れ替えて戦う様子が映っていた。
勧めた子は上機嫌に見ているが。
勧められた人の方は怪訝な顔をしている。
「コイツら……もってるな」
「んー。そうね。僕らと同じだ」
「いや、違う。このちっこいのは持ってるのはその通りやけど、この剣士と魔法士、そして盾士ももってるみたいやな」
「えー? 全員?」
「あぁ。全員Sランクやな」
「ヒュー」
「もってるやつらは早いとこコケてもらわんとなぁ。まぁ、どこまで上がってくるか楽しみやな。明鏡止水か……危険な匂いがするやないかぁ。どう攻めるかやなぁ。コメント書いとこ?」
「えっ?……なんて?」
「待っとるでって」
「待っとるでって」
そのままタップした。
「おぉい! なんで『待っとるでって』やねん!」
「言われた、通り?」
なにやら不穏な雰囲気。
その人のジャージの背中には風林火山と刺繍がされていた。
◇◆◇
「ん? この人達は、俺っちと同じ地域ギルドっぽいなー」
戦闘する所の配信を凝視している。
「んー。バランスがいいねー。俺っちがいればだけどねー。悪くはないけどー」
そう言いながら携帯端末を握りしめたまま動かない。
明鏡止水の配信に釘付けのようだ。
整理整頓を使ったところが流れる。
すると、固まった。
「えぇー?。こんなことある? 人への干渉、そして空間への干渉。これは凄いもの見たなぁ。このすごさがわかる人ってどのくらい居るんだろう? 今度見かけたら、ちょっと話しかけてみよっかなぁ」
後ろには大きな槍が壁に立てかけられていた。
◇◆◇
「真理ちゃん、見てご覧なさいよ?」
筋肉隆々のスキンヘッドがギルドで休憩中の真理を呼んでダンジョン攻略配信を見る。
目を見開いて驚く。
「話には聞いてたけど……」
「そうねぇ。これを配信されて色々な思惑が収斗ちゃんの周りで動き出しそうねぇ。ちょっと気をつけないといけなそうね」
「そうね。ギルドが守らないと!」
「そうよねぇん! 私が収斗ちゃんに降りかかる火の粉を吹き飛ばすのよぉん!」
「薫さん、ヤリスギナイヨウニしてくださいね?」
真理は頬をひきつらせていた。
◇◆◇
「ねぇ。この人達凄くない?」
「ホントだぁー。ここってEランクダンジョンだよねぇー?」
「うん。ここを無傷ってことはそれなりの実力者よね?」
「なんでこんな人達がEランクダンジョンに居るんだろうねぇー? この近辺でこんなにすごい人達居たんだねぇー!」
「この人達は注目ね!」
「いずれはコラボとかしたいねぇー」
「それいいわね! 双子座の神子と!」
「双子座の真子ぉー!」
「「シンクロアゲアゲチャンネルー」」
謎のギャル二人組が配信を見てアゲアゲになっていた。
◇◆◇
そこにはオヤジが寝っ転がっていた。
ダンジョンの配信を何の気なしにダラダラと見ていた。
「おぉ。ボンクラ息子が一丁前に配信していやがる……ふむ。少しはやるようになったか? ありゃりゃそこを通しちゃ……ゲフッ! ゴホッ!」
オヤジは飲んでいたビールを吹き出した。
それは収斗が整理整頓を使ったシーン。
一頻りむせた後に落ち着いて配信を見直す。
「こりゃあ……とんでもねぇパーティーつくりやがったな。このボンクラ息子ぁ」
グビグビとビールを飲み干すと缶を袋に向かって放り投げる。
立ち上がると着替え始めた。
その装備はまさに歴戦の探索者であった。
装備を整えると鏡の前に行き、髭を剃り始める。
「久しぶりにボンクラ息子の顔でも見てくっかな。すこしぁ戦いがマシになってっかな?」
その部屋を出ていくオヤジの背中には背丈程もある剣が背負われていた。
◇◆◇
「あらあら? あの初級魔法しか使えない、あまちゃんがこんなパーティーに入れるなんてどういう風の吹き回しかしら?」
そこにはローブを着て杖を持っている綺麗な女性が携帯端末で明鏡止水の配信を見ているところだった。
その女性は携帯端末を睨みつけるように目付きを鋭くしながら見ている。
この女性にどんな思いがあるかは分かるわけが無いのだが。
なぜだか哀れに思えてくる。
「私の指導でも大して成長しなかった子が、実践で強くなることなんてあるのかしら……? 全く、腹立たしいわ」
歯ぎしりをしながら配信を見ている様は実に滑稽に見えた。
「私には出来ないことがこの子達にはできるっていうの? 見せてもらおうじゃないのよ。どこまで出来るのかをねぇ! ホッホッホッ!」
高笑いが家中に響いていた。
その声の響きを聞いていた子も配信を見ていた。
エメラルドグリーンの髪を腰まで伸ばし。
ベッドに腰掛けて配信を見ていた。
「奈々頑張って! 美々は、みつまでも奈々の味方だから!」
携帯端末に向かってエールを送っている。
一体子は何者なのか?
そして、高笑いしていた女性は誰なのか。
◇◆◇
見ていたのは筋肉隆々のギルドにいる薫より大きい男。
「ガッハッハッ! うちの奴を使いこなせるやつが現れたか! それを何年待っていたことか!」
その男は天を見上げて目を閉じると目から涙が溢れた。
泣いている。
見た目からは泣くなど想像できないような程強そうな男が。
「ぐぅぅぅ。良かったな! やっぱり外に出して良かった! 俺達の判断は間違っていなかった!」
「そうねぇ。よかったわねぇ」
そこに現れたのはスラッとした綺麗な女性。
二人は収斗達の配信を見ながら泣いていた。
辛い過去があったのだろうと言うことは想像できるが。
何があったかまでは知る由もない。
誰かの物語として語られるかもしれない。
◇◆◇
このそれぞれの視聴者の思惑が錯綜することになる。
明鏡止水はこれを機に混沌の渦に巻き込まれていくのである。
「んー? どれや?」
その液晶には先程の入れ替えて戦う様子が映っていた。
勧めた子は上機嫌に見ているが。
勧められた人の方は怪訝な顔をしている。
「コイツら……もってるな」
「んー。そうね。僕らと同じだ」
「いや、違う。このちっこいのは持ってるのはその通りやけど、この剣士と魔法士、そして盾士ももってるみたいやな」
「えー? 全員?」
「あぁ。全員Sランクやな」
「ヒュー」
「もってるやつらは早いとこコケてもらわんとなぁ。まぁ、どこまで上がってくるか楽しみやな。明鏡止水か……危険な匂いがするやないかぁ。どう攻めるかやなぁ。コメント書いとこ?」
「えっ?……なんて?」
「待っとるでって」
「待っとるでって」
そのままタップした。
「おぉい! なんで『待っとるでって』やねん!」
「言われた、通り?」
なにやら不穏な雰囲気。
その人のジャージの背中には風林火山と刺繍がされていた。
◇◆◇
「ん? この人達は、俺っちと同じ地域ギルドっぽいなー」
戦闘する所の配信を凝視している。
「んー。バランスがいいねー。俺っちがいればだけどねー。悪くはないけどー」
そう言いながら携帯端末を握りしめたまま動かない。
明鏡止水の配信に釘付けのようだ。
整理整頓を使ったところが流れる。
すると、固まった。
「えぇー?。こんなことある? 人への干渉、そして空間への干渉。これは凄いもの見たなぁ。このすごさがわかる人ってどのくらい居るんだろう? 今度見かけたら、ちょっと話しかけてみよっかなぁ」
後ろには大きな槍が壁に立てかけられていた。
◇◆◇
「真理ちゃん、見てご覧なさいよ?」
筋肉隆々のスキンヘッドがギルドで休憩中の真理を呼んでダンジョン攻略配信を見る。
目を見開いて驚く。
「話には聞いてたけど……」
「そうねぇ。これを配信されて色々な思惑が収斗ちゃんの周りで動き出しそうねぇ。ちょっと気をつけないといけなそうね」
「そうね。ギルドが守らないと!」
「そうよねぇん! 私が収斗ちゃんに降りかかる火の粉を吹き飛ばすのよぉん!」
「薫さん、ヤリスギナイヨウニしてくださいね?」
真理は頬をひきつらせていた。
◇◆◇
「ねぇ。この人達凄くない?」
「ホントだぁー。ここってEランクダンジョンだよねぇー?」
「うん。ここを無傷ってことはそれなりの実力者よね?」
「なんでこんな人達がEランクダンジョンに居るんだろうねぇー? この近辺でこんなにすごい人達居たんだねぇー!」
「この人達は注目ね!」
「いずれはコラボとかしたいねぇー」
「それいいわね! 双子座の神子と!」
「双子座の真子ぉー!」
「「シンクロアゲアゲチャンネルー」」
謎のギャル二人組が配信を見てアゲアゲになっていた。
◇◆◇
そこにはオヤジが寝っ転がっていた。
ダンジョンの配信を何の気なしにダラダラと見ていた。
「おぉ。ボンクラ息子が一丁前に配信していやがる……ふむ。少しはやるようになったか? ありゃりゃそこを通しちゃ……ゲフッ! ゴホッ!」
オヤジは飲んでいたビールを吹き出した。
それは収斗が整理整頓を使ったシーン。
一頻りむせた後に落ち着いて配信を見直す。
「こりゃあ……とんでもねぇパーティーつくりやがったな。このボンクラ息子ぁ」
グビグビとビールを飲み干すと缶を袋に向かって放り投げる。
立ち上がると着替え始めた。
その装備はまさに歴戦の探索者であった。
装備を整えると鏡の前に行き、髭を剃り始める。
「久しぶりにボンクラ息子の顔でも見てくっかな。すこしぁ戦いがマシになってっかな?」
その部屋を出ていくオヤジの背中には背丈程もある剣が背負われていた。
◇◆◇
「あらあら? あの初級魔法しか使えない、あまちゃんがこんなパーティーに入れるなんてどういう風の吹き回しかしら?」
そこにはローブを着て杖を持っている綺麗な女性が携帯端末で明鏡止水の配信を見ているところだった。
その女性は携帯端末を睨みつけるように目付きを鋭くしながら見ている。
この女性にどんな思いがあるかは分かるわけが無いのだが。
なぜだか哀れに思えてくる。
「私の指導でも大して成長しなかった子が、実践で強くなることなんてあるのかしら……? 全く、腹立たしいわ」
歯ぎしりをしながら配信を見ている様は実に滑稽に見えた。
「私には出来ないことがこの子達にはできるっていうの? 見せてもらおうじゃないのよ。どこまで出来るのかをねぇ! ホッホッホッ!」
高笑いが家中に響いていた。
その声の響きを聞いていた子も配信を見ていた。
エメラルドグリーンの髪を腰まで伸ばし。
ベッドに腰掛けて配信を見ていた。
「奈々頑張って! 美々は、みつまでも奈々の味方だから!」
携帯端末に向かってエールを送っている。
一体子は何者なのか?
そして、高笑いしていた女性は誰なのか。
◇◆◇
見ていたのは筋肉隆々のギルドにいる薫より大きい男。
「ガッハッハッ! うちの奴を使いこなせるやつが現れたか! それを何年待っていたことか!」
その男は天を見上げて目を閉じると目から涙が溢れた。
泣いている。
見た目からは泣くなど想像できないような程強そうな男が。
「ぐぅぅぅ。良かったな! やっぱり外に出して良かった! 俺達の判断は間違っていなかった!」
「そうねぇ。よかったわねぇ」
そこに現れたのはスラッとした綺麗な女性。
二人は収斗達の配信を見ながら泣いていた。
辛い過去があったのだろうと言うことは想像できるが。
何があったかまでは知る由もない。
誰かの物語として語られるかもしれない。
◇◆◇
このそれぞれの視聴者の思惑が錯綜することになる。
明鏡止水はこれを機に混沌の渦に巻き込まれていくのである。
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