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10.ダンジョンボス
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「えっ!? なんかめっちゃバズってるっすよ!?」
「そうなの?」
「はい! 何でっすかね!?」
そう言いながら携帯端末を操作している。
目を見開いて驚いている猛。
「どうしたの?」
「ヤバいっす……コメントが来てるっす」
「ふーん。なんて?」
「『待ってるでって』って書いてるっす!」
「へぇ。どこでまってるんだろう? なんだか恐いね!?」
「…………っすよ」
「ん?」
「凄いっすよ! コメントくれたの、パーティートップランカーの風林火山っすよ!? その人が待ってるでってってことはっすよ!」
「なんかってが多くて大変だね?」
「トップに上がって来いって意味じゃないっすかぁ!? メチャメチャ凄いっすよ!」
「そうなの?」
僕は特に何が凄いのかも分からないけど、猛がこんなに興奮してるってことは凄いんだろうな。
でも、そんなに僕たちが注目されるかな?
こんな僕達が。
「まぁ、トップランカーってのは変なのが多い。収斗、関わらない方がいいと思うぞ?」
なぜ知っているのか分からないが、冷静に分析して伝えてくる賢人。
「だよねぇ。僕もイマイチよくわかんないし。お礼を言っておこうよ」
「そ、そうっすね! なんて送るっすか?」
「そうだなぁ。頑張りますでいいっかぁなぁ?」
「うっす! 頑張りますっと」
「ありがとう!」
「はいっす……あぁぁぁぁ! マズイっすぅぅぅ!」
「何したの?」
「打ち間違えプラス変換ミスりましたぁぁぁ」
「どれどれ?」
『ガン蹴ります!』
「どういうこと?」
「自分も分からないっすよ! これはマズイっすぅぅぅ!」
「大丈夫じゃない? だって意味がわからないじゃん」
僕はそう簡単に考えていたから特に気にもしなかった。
◇◆◇
一方、コメントを書かれた側。
「あっ、コメント来たよ?」
「おぉ? なんやって?」
「なんか、『ガン蹴ります』だって? 意味がわかんないね……」
「いや、これは俺への宣戦布告や! 下からケツ蹴りまくったるぞって事やないか!? 面白いやん! やってみぃぃ!」
意気揚々と部屋を出ていく背中に風林火山を模した男。
「なんか……間違えた、だけじゃない? まぁ、やる気になってるから放っておこう」
◇◆◇
「おぉ。ボス部屋に来たねぇ」
「気を引き締めろよ?」
「うっす!」
「はぁーい!」
僕は見回しながら作戦を伝える。
「まず、セオリー通りに猛が前に、それに続いて賢人ね。今回は奈々の時属性使おう!」
「「「了解!」」」
扉を開ける。
開けるとゴブリンキングが立っていた。
ゴブリンも三体いる。
「おぉーっし! 行くっす!」
「よろしく」
盾を構えて走っていく猛。
少し前に陣取りスキルを発動させる。
その後ろには賢人。
駆けてくるゴブリンを見据える。
ガンガンッと猛の盾に棍棒を叩きつけてくる。
「はっ! ……スラッシュ!」
一体が横から抜けようとするが。
「ファイアーボール!」
ボンッと火球がゴブリンに当たって吹き飛ぶ。
ゴブリンは倒した。
「グゲゲェェェ!」
ゴブリンキングが駆けてきたが。
知恵が回るようだ。
猛と賢人の所を通らないように迂回していく。
「来たね。一気に決めちゃおうか」
「タイムストップ」
肩を触れられて時が止まった世界が広がっていた。
色々と試しているうちに気づいたのだ。
術者が触れれば止まってる世界で動けると。
そして、動けるものが触れば動ける。
それはスキルで動かしても一緒だった。
「【整頓】」
少しだけ離れてた賢人と猛をゴブリンキングの前に移動させる。
そして、賢人が切り刻む。
「ハァァァァァ! スラッシュ! 五月雨突きぃぃ!」
「ファイアーボール三発連続ぅぅー!」
時を止めれるのは三十秒なのだ。
僕の整理の穴が空く時間と一緒。
強力なスキルにはそういう時間制限が付き物なのだろう。
時間が元に戻ると。
止まっていた時が動き出し。
ダメージが一気に加算された。
ドドドンンンッッッ
スバババババババッッ
「グゲェ」
ゴブリンキングは倒れた。
スキルでしまい、解体する。
基本的に必要なものなど無いが。
討伐部位をギルドに持っていくと報奨金が出るのだ。
その為に持っていく。
解体しなくてすんでよかった。
心底そう思った。
「呆気なかったね」
「いやいや、奈々さんのスキルヤバすぎっす!」
「猛、やばいしか言ってないよ? 大丈夫?」
僕が興奮する猛をなだめる。
ヤバいのはみんな同じだから。
「猛だってヤバいよ? 攻撃してもビクともしないんだから」
「いやいや、ヤバさが全然違うっすよ!?」
いやいや。
かなりやばいと思うよ?
ホントに不動だからね。
恐怖だと思うよ?
攻撃しても一ミリも動かないんだから。
攻撃してる実感がないんじゃないかな。
「そういうことにしておいて、ダンジョンコアに探索者カードを登録しよう!」
「だな。あっちだ! 行くぞ!」
奥の開いた扉にはダンジョンコアがあった。
そこに探索者カードをかざす。
すると、カードにダンジョンの攻略が記録されたようだ。
その証拠に表示されたウインドウの地図のEランクダンジョンの場所にクリアの印がついた。
「やった! クリアしたね!」
「「「うん! 収斗のおかげ!」」」
「そんなことないよぉ。力を合わせた結果じゃん?」
「「「いやいやいやいや」」」
「ま、報告に行こう?」
「「「オッケー」」」
「三人とも仲がいいね!」
初めてちゃんとダンジョンのボスを倒したかもな。
僕のスキルは反則っぽいからね。
「そうなの?」
「はい! 何でっすかね!?」
そう言いながら携帯端末を操作している。
目を見開いて驚いている猛。
「どうしたの?」
「ヤバいっす……コメントが来てるっす」
「ふーん。なんて?」
「『待ってるでって』って書いてるっす!」
「へぇ。どこでまってるんだろう? なんだか恐いね!?」
「…………っすよ」
「ん?」
「凄いっすよ! コメントくれたの、パーティートップランカーの風林火山っすよ!? その人が待ってるでってってことはっすよ!」
「なんかってが多くて大変だね?」
「トップに上がって来いって意味じゃないっすかぁ!? メチャメチャ凄いっすよ!」
「そうなの?」
僕は特に何が凄いのかも分からないけど、猛がこんなに興奮してるってことは凄いんだろうな。
でも、そんなに僕たちが注目されるかな?
こんな僕達が。
「まぁ、トップランカーってのは変なのが多い。収斗、関わらない方がいいと思うぞ?」
なぜ知っているのか分からないが、冷静に分析して伝えてくる賢人。
「だよねぇ。僕もイマイチよくわかんないし。お礼を言っておこうよ」
「そ、そうっすね! なんて送るっすか?」
「そうだなぁ。頑張りますでいいっかぁなぁ?」
「うっす! 頑張りますっと」
「ありがとう!」
「はいっす……あぁぁぁぁ! マズイっすぅぅぅ!」
「何したの?」
「打ち間違えプラス変換ミスりましたぁぁぁ」
「どれどれ?」
『ガン蹴ります!』
「どういうこと?」
「自分も分からないっすよ! これはマズイっすぅぅぅ!」
「大丈夫じゃない? だって意味がわからないじゃん」
僕はそう簡単に考えていたから特に気にもしなかった。
◇◆◇
一方、コメントを書かれた側。
「あっ、コメント来たよ?」
「おぉ? なんやって?」
「なんか、『ガン蹴ります』だって? 意味がわかんないね……」
「いや、これは俺への宣戦布告や! 下からケツ蹴りまくったるぞって事やないか!? 面白いやん! やってみぃぃ!」
意気揚々と部屋を出ていく背中に風林火山を模した男。
「なんか……間違えた、だけじゃない? まぁ、やる気になってるから放っておこう」
◇◆◇
「おぉ。ボス部屋に来たねぇ」
「気を引き締めろよ?」
「うっす!」
「はぁーい!」
僕は見回しながら作戦を伝える。
「まず、セオリー通りに猛が前に、それに続いて賢人ね。今回は奈々の時属性使おう!」
「「「了解!」」」
扉を開ける。
開けるとゴブリンキングが立っていた。
ゴブリンも三体いる。
「おぉーっし! 行くっす!」
「よろしく」
盾を構えて走っていく猛。
少し前に陣取りスキルを発動させる。
その後ろには賢人。
駆けてくるゴブリンを見据える。
ガンガンッと猛の盾に棍棒を叩きつけてくる。
「はっ! ……スラッシュ!」
一体が横から抜けようとするが。
「ファイアーボール!」
ボンッと火球がゴブリンに当たって吹き飛ぶ。
ゴブリンは倒した。
「グゲゲェェェ!」
ゴブリンキングが駆けてきたが。
知恵が回るようだ。
猛と賢人の所を通らないように迂回していく。
「来たね。一気に決めちゃおうか」
「タイムストップ」
肩を触れられて時が止まった世界が広がっていた。
色々と試しているうちに気づいたのだ。
術者が触れれば止まってる世界で動けると。
そして、動けるものが触れば動ける。
それはスキルで動かしても一緒だった。
「【整頓】」
少しだけ離れてた賢人と猛をゴブリンキングの前に移動させる。
そして、賢人が切り刻む。
「ハァァァァァ! スラッシュ! 五月雨突きぃぃ!」
「ファイアーボール三発連続ぅぅー!」
時を止めれるのは三十秒なのだ。
僕の整理の穴が空く時間と一緒。
強力なスキルにはそういう時間制限が付き物なのだろう。
時間が元に戻ると。
止まっていた時が動き出し。
ダメージが一気に加算された。
ドドドンンンッッッ
スバババババババッッ
「グゲェ」
ゴブリンキングは倒れた。
スキルでしまい、解体する。
基本的に必要なものなど無いが。
討伐部位をギルドに持っていくと報奨金が出るのだ。
その為に持っていく。
解体しなくてすんでよかった。
心底そう思った。
「呆気なかったね」
「いやいや、奈々さんのスキルヤバすぎっす!」
「猛、やばいしか言ってないよ? 大丈夫?」
僕が興奮する猛をなだめる。
ヤバいのはみんな同じだから。
「猛だってヤバいよ? 攻撃してもビクともしないんだから」
「いやいや、ヤバさが全然違うっすよ!?」
いやいや。
かなりやばいと思うよ?
ホントに不動だからね。
恐怖だと思うよ?
攻撃しても一ミリも動かないんだから。
攻撃してる実感がないんじゃないかな。
「そういうことにしておいて、ダンジョンコアに探索者カードを登録しよう!」
「だな。あっちだ! 行くぞ!」
奥の開いた扉にはダンジョンコアがあった。
そこに探索者カードをかざす。
すると、カードにダンジョンの攻略が記録されたようだ。
その証拠に表示されたウインドウの地図のEランクダンジョンの場所にクリアの印がついた。
「やった! クリアしたね!」
「「「うん! 収斗のおかげ!」」」
「そんなことないよぉ。力を合わせた結果じゃん?」
「「「いやいやいやいや」」」
「ま、報告に行こう?」
「「「オッケー」」」
「三人とも仲がいいね!」
初めてちゃんとダンジョンのボスを倒したかもな。
僕のスキルは反則っぽいからね。
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