元剣聖のスケルトンが追放された最弱美少女テイマーのテイムモンスターになって成り上がる

ゆる弥

文字の大きさ
5 / 69

5.女の子の依頼

しおりを挟む
「ふあ~ぁぁ。よく寝たぁ」

 伸びをして起きたミリアは色々とはだけているが、見ないように顔を明後日の方向に向ける。

「ナイルも寝てたの?」

 コクリと頷く。

「スケルトンも寝たりするんだねぇ。いがぁーい! 今日は依頼を受けるぞぉ!」

 意気込んで準備を始めた。
 襲撃があったことには気づいてないみたいだな。
 よかった。

 宿を出る時に「こんな染みあったかな?」なんて話していたが、バレなかったようだ。

 早速ギルドに行くと静まり返っていた。
 なんでも、奴らが捕まって罰する為に調査をしていたら色んな悪事が出てきたとかなんとか。

 もう冒険者には復帰できないだろうとのこと。
 良かった良かった。
 もう会うこともないだろう。

「依頼を見よう!」

 初めて依頼を受けるミリアは何がいいかなぁとルンルンで選んでいる。

「お願いします! お母さんを助けて!」

「報酬がこれでは依頼を出せないんです。ごめんなさい。最低でも銅貨はないと……」

 なんだか少女がお困りのようだ。
 けど、依頼に出すには報酬が足りないと。
 まぁ、冒険者も生活がある。
 だれもうけな──────

「どうしたの? 私が受けるわ!」

「ミリアさん!?」

 ギルドの受付嬢は驚きを隠せない。
 そりゃそうだ。依頼受けるの初めてだもんな。

「アンさん。私が依頼を受けます!」

 あの受付嬢、アンっていう名前だったんだ。
 ってそうじゃない。
 なんだって? 依頼を受ける?
 なんの依頼かもわかんないのに!?

「お姉ちゃん、お母さんを助けてくれるの?」

「えぇ。まず、何からお母さんを助ければいいのかな?」

「あのね、段々石になっちゃう病気なの」

 なるほど。
 石化病か。
 そうなると……。

「お医者さんには見てもらった?」

「うん。でも、治らないって言われたの」

「どういう事?」

「せきかびょう? は、治すにはアンガー山の山頂に生えてるミストン花が必要なんだって。でも、山頂にはグリフォンがいて……それを取るにはお金が沢山必要なんだって……」

 そういう事か。
 前世の知識から行くと、グリフォンは恐らくAランク。
 Aランクに頼んでその花をとるとなると、金貨は必要だな。

 かなり割に合わないぞ?
 やめた方が──────

「大丈夫! 私のテイムモンスターは最強なんだよ? 心配しないで!」

「ホント? お姉ちゃん、助けてくれるの?」

「えぇ。もちろんよ! 任せなさい!」

 胸を張って自信満々に言い放つミリア。

「ミリアさん、石化病だと発症から、もっても一週間ですよ? 進行状況によっては五日もつかどうか」

 アンが冷静に今の状況をミリアに説明している。
 それをわかっていない訳では無いんだろう。
 でも、微塵も不安な顔は見せない。

「うん。急がないとね! あなたは、家でお母さんの看病をしてあげて? 元気づけてあげるんだよ!?」

「うん!」

「家はどこ? 薬が出来たらすぐに持っていくわ!」

「ここを出て左手のパン屋さんの隣!」

「わかったわ。じゃあ、準備して行ってくるわ」

「うん! お姉ちゃん、お願いします!」

「任せなさい!」

 胸をトンッと叩いてニコニコしている。
 不安は微塵もないのだろうか。
 凄いな。ミリア。

 子供がギルドを出ていくと。
 力が抜けたようにフニャフニャと床に膝を着いた。

「ねぇ。ナイル、グリフォンに勝てる? あんなこと言っちゃったよぉ。どうしよう」

 そうなっちゃうのか。
 カッコイイなと思ったのに。
 自信持てよ。

 ミリアの肩を叩き、サムズアップする。

「大丈夫ってこと!? ホントに!?」

 コクリと頷く。
 前世では俺は敵無しだった。
 グリフォンも討伐したことはあるし、どうにかなる……と思う。

 まぁ、後はこの体と剣がどこまでもつかなんだよなぁ。
 昨日の夜の身体強化が使えればいける気がする。

 後はそれまでになるべくスキルで体を頑丈にすることだな。
 この体のレベルを上げながらアンガー山を目指そう。

 「うぅぅぅ。ナイルありがとうぅぅ」

 俺にすがりついてくる。
 勢いで言っちゃうタイプなんだな。
 頭を思わずなでなでしてしまった。

「スケルトンには流石にグリフォンは荷が重いのでは?」

 アンが心配そうに聞いてくる。

「うちのナイルは強いので大丈夫です! ご心配ありがとうございます!」

 頭を下げるとギルドを出ていった。
 後を追う。

「まずは、回復薬を買おう。お金ないから一本しか買えないけど……ごめんね。ナイル……」

 コクリと頷く。

 別に無くてもいいんだけどな。
 ダメージを食らう気は無い。
 グリフォンがそんなに強かった覚えがないからなぁ。

「あとは、魔力回復薬を買っておこう。ナイルって、魔力で動いてるんでしょ?」

 コクリと頷いて感心する。
 俺でさえわからなかったのに、ミリアは知ってたのか。
 流石はテイマーだな。

「だよねぇ。テイムできるようにモンスターの勉強は頑張ってたんだぁ!」

 そういう事か。
 俺はミリアを頼りにしてるよ。
 だから、俺のことも頼ってくれていい。

 俺は、ミリアを最強のテイマーへと押し上げてやる。
 共に駆け上がろう。
 誰にもミリアは傷つけさせない。

「よしっ! 準備はオッケー! アンガー山へ出発! 時間が無いからね!」

 コクリと頷くと。
 街を出てアンガー山へ向かうのであった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

処理中です...