15 / 69
15.ドラゴン襲来
しおりを挟む
それは、張り込みして八日目の深夜だった。
暗くて見えないが、人が二人、会って何か話している。
少し近づいてみると、少し会話が聞こえてきた。
「…………はどうした?」
「けいこく…………た」
「だい…………か?」
「…………ない。…………のこどもは…………か?」
「あぁ。…………おーくしょんで…………うる」
ん? オークション?
どこでやるんだ?
「じゃあ、明日」
そう言って別れた。
何処かでオークションがあるのか?
一体どこでやるんだ?
待てよ。
オークションってことは、出す側だけじゃない。落札する側の人間が居るはずだ。そいつらを探せば……。
一旦は、その場を後にする。
明日、裏通りを探っていれば人の流れで分かるはずだ。
その日宿屋に戻るとミリアと打ち合わせをしてから寝た。
次の日は街が異様な空気だった。
何故か。
街の外から来た者が数多く闊歩していたからだ。
奴らは裏に行くと何回か路地を曲がると一件の家に入っていったのだ。その家の前には屈強な男が一人。受付なのだろう。何かを見せて家に入っている。
しかし、家の規模に対して入っていく人数が多すぎる。これは、地下だな。地下オークション。それを領主が行っているのか?
何をオークションにかけるのかわからないが、ろくなものでは無いだろう。中に入れるか? あの男を倒せば異常事態だと知らせることになる。
どうすれば……
その時、空を大きな影が覆った。それだけじゃない。気付けば、街は火の海に包まれていた。
何が起きた!?
上空をみると全長十メートルはありそうなドラゴンが旋回している。飛びながら口から火を放っている。
ファイヤードラゴンの成体だろう。
よく見るとキョロキョロと街を見ている。
なにか探しているのか?
「グルルゥゥゥアアアア!(私の子供をどこにやったぁ!) グルルゥグルガァァァ(この人間共がぁぁぁ!)」
あれ?
ドラゴンの言葉が分かる。
何故だろう?
「あっちが念話を使ってるわ。私達にも分かるもの」
なるほど。
しかしなぁ。
ドラゴンの子供なんて……。
ん?
──────…………のこどもは…………か?
──────おーくしょんで…………うる
あの会話はそういう事か!
「どういうこと?」
奴らは、ドラゴンの子供をオークションで売ろうとしてたんだよ!
「なるほど! そういう事なら話が早いね!」
そうだな。
俺は壁を三角飛びの要領で屋根に登り、ドラゴンに手を振る。
するとこちらに進路を変えた。
息がかかる程の距離で睨み合う。
少し布をズラして魔物であることを示しながら話をする。
「グルグラァ! グルルルルルゥアァァァ!?(なんだお前はぁ! スケルトン如きが私に何の用だぁ!?)」
「カタカタタタカタタ(こどもの場所を知ってる!)」
「グルルルルルァァ!? グルルル!(本当だろうなぁ!? 連れてこい!)」
「カタタカッタタタタ(少しだけ待っててくれ!)」
ドラゴンが頭を一度下げた。
了承したと思っていいだろう。
屋根から下りる。
ミリアは隠れてろ!
「でも、中に入ってから居場所を聞き出すのに、私が必要じゃない!?」
そうか。確かにな。
このままなら問題ないかもな。
今は黒装束にローブを着ている状態だ。
誰かということはバレないだろう。
好都合だ。向かい先はもちろん、見張っていたあの家だ。
扉の前には屈強な男が腕を組んで仁王立ちしている。胸を張って立っているところを見ると負ける気はさらさら無いのだろう。
それは俺も同じだ。
この剣なら二の剣を少し使っても壊れることは無いだろう。アダマンタイトとはそう思えるくらいの硬度はある。
俺が前から行く!
ミリアは後ろから付いてこい!
「わかったわ! 私だって少しは剣術出来るんだから!」
いつの間にか腰には剣が吊られていた。
武器屋に行った時に買っていたのだろうか。
鞘に入った剣を左腰に構え、そのまま入口へと駆ける。扉までの距離は一歩で詰めれる距離ではない。
しかし、縮地では一瞬の距離であった。
ストロング流剣術 剛剣術
「カタタ(紫電《しでん》)」
男の体に斜めに亀裂が入ったように見えた。
数瞬して体は斜めにズレていき、やがて地に落ちた。
中に入ると目の前にテーブル、本棚、キッチンが壁につく形でそれぞれ設置されている。
状況を把握する。よく部屋を観察し、違和感を感じ取る。
本棚だ。真ん中の段の右にある本にだけホコリがついていない。その本を引いてみる。
ズズズズッ
本棚が横に動きだした。
その後ろから地下へと続く階段が出現したのであった。薄暗く、かび臭い、石造りの構造で不気味な雰囲気を醸し出している。
ミリア、行くぞ。
「うん! ナイルが居れば何も怖くないよ!」
はははっ。
そうか。少し緊張していた俺が馬鹿みたいだな。
階段を下に降り降りていく。
俺達の足音がやけに大きく聞こえる気がする。
こんな時、骨はカツカツ音がするから本当に嫌になる。
何処まで地下に行くのか。そう思わせるくらいの長い階段であった。一体どれだけ大きな空間が作られているのだろうか。
ようやく下に下りたかと思うと目の前には重厚な扉が鎮座していた。この扉の先にオークション会場があるのだろう。
俺は意を決して開けた。
暗くて見えないが、人が二人、会って何か話している。
少し近づいてみると、少し会話が聞こえてきた。
「…………はどうした?」
「けいこく…………た」
「だい…………か?」
「…………ない。…………のこどもは…………か?」
「あぁ。…………おーくしょんで…………うる」
ん? オークション?
どこでやるんだ?
「じゃあ、明日」
そう言って別れた。
何処かでオークションがあるのか?
一体どこでやるんだ?
待てよ。
オークションってことは、出す側だけじゃない。落札する側の人間が居るはずだ。そいつらを探せば……。
一旦は、その場を後にする。
明日、裏通りを探っていれば人の流れで分かるはずだ。
その日宿屋に戻るとミリアと打ち合わせをしてから寝た。
次の日は街が異様な空気だった。
何故か。
街の外から来た者が数多く闊歩していたからだ。
奴らは裏に行くと何回か路地を曲がると一件の家に入っていったのだ。その家の前には屈強な男が一人。受付なのだろう。何かを見せて家に入っている。
しかし、家の規模に対して入っていく人数が多すぎる。これは、地下だな。地下オークション。それを領主が行っているのか?
何をオークションにかけるのかわからないが、ろくなものでは無いだろう。中に入れるか? あの男を倒せば異常事態だと知らせることになる。
どうすれば……
その時、空を大きな影が覆った。それだけじゃない。気付けば、街は火の海に包まれていた。
何が起きた!?
上空をみると全長十メートルはありそうなドラゴンが旋回している。飛びながら口から火を放っている。
ファイヤードラゴンの成体だろう。
よく見るとキョロキョロと街を見ている。
なにか探しているのか?
「グルルゥゥゥアアアア!(私の子供をどこにやったぁ!) グルルゥグルガァァァ(この人間共がぁぁぁ!)」
あれ?
ドラゴンの言葉が分かる。
何故だろう?
「あっちが念話を使ってるわ。私達にも分かるもの」
なるほど。
しかしなぁ。
ドラゴンの子供なんて……。
ん?
──────…………のこどもは…………か?
──────おーくしょんで…………うる
あの会話はそういう事か!
「どういうこと?」
奴らは、ドラゴンの子供をオークションで売ろうとしてたんだよ!
「なるほど! そういう事なら話が早いね!」
そうだな。
俺は壁を三角飛びの要領で屋根に登り、ドラゴンに手を振る。
するとこちらに進路を変えた。
息がかかる程の距離で睨み合う。
少し布をズラして魔物であることを示しながら話をする。
「グルグラァ! グルルルルルゥアァァァ!?(なんだお前はぁ! スケルトン如きが私に何の用だぁ!?)」
「カタカタタタカタタ(こどもの場所を知ってる!)」
「グルルルルルァァ!? グルルル!(本当だろうなぁ!? 連れてこい!)」
「カタタカッタタタタ(少しだけ待っててくれ!)」
ドラゴンが頭を一度下げた。
了承したと思っていいだろう。
屋根から下りる。
ミリアは隠れてろ!
「でも、中に入ってから居場所を聞き出すのに、私が必要じゃない!?」
そうか。確かにな。
このままなら問題ないかもな。
今は黒装束にローブを着ている状態だ。
誰かということはバレないだろう。
好都合だ。向かい先はもちろん、見張っていたあの家だ。
扉の前には屈強な男が腕を組んで仁王立ちしている。胸を張って立っているところを見ると負ける気はさらさら無いのだろう。
それは俺も同じだ。
この剣なら二の剣を少し使っても壊れることは無いだろう。アダマンタイトとはそう思えるくらいの硬度はある。
俺が前から行く!
ミリアは後ろから付いてこい!
「わかったわ! 私だって少しは剣術出来るんだから!」
いつの間にか腰には剣が吊られていた。
武器屋に行った時に買っていたのだろうか。
鞘に入った剣を左腰に構え、そのまま入口へと駆ける。扉までの距離は一歩で詰めれる距離ではない。
しかし、縮地では一瞬の距離であった。
ストロング流剣術 剛剣術
「カタタ(紫電《しでん》)」
男の体に斜めに亀裂が入ったように見えた。
数瞬して体は斜めにズレていき、やがて地に落ちた。
中に入ると目の前にテーブル、本棚、キッチンが壁につく形でそれぞれ設置されている。
状況を把握する。よく部屋を観察し、違和感を感じ取る。
本棚だ。真ん中の段の右にある本にだけホコリがついていない。その本を引いてみる。
ズズズズッ
本棚が横に動きだした。
その後ろから地下へと続く階段が出現したのであった。薄暗く、かび臭い、石造りの構造で不気味な雰囲気を醸し出している。
ミリア、行くぞ。
「うん! ナイルが居れば何も怖くないよ!」
はははっ。
そうか。少し緊張していた俺が馬鹿みたいだな。
階段を下に降り降りていく。
俺達の足音がやけに大きく聞こえる気がする。
こんな時、骨はカツカツ音がするから本当に嫌になる。
何処まで地下に行くのか。そう思わせるくらいの長い階段であった。一体どれだけ大きな空間が作られているのだろうか。
ようやく下に下りたかと思うと目の前には重厚な扉が鎮座していた。この扉の先にオークション会場があるのだろう。
俺は意を決して開けた。
0
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。
いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。
そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。
【第二章】
原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。
原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる