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31.アーノルド家到着
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次の日、馬車を受け取ると街を出発したのであった。
そこからは順調そのもの。
ゴッツさん達が居たこともあって無事に王都に着いたのであった。
「着きましたわね! ようこそ、ここが王都ですわ!」
「わぁぁぁ。大っきいねぇぇ」
王都を囲む白い壁は見た限り先が見えない。そして、高さも巨人が来ても大丈夫なくらいの高さはありそうだ。
中に入ってさらに驚いた。まず、人の多さ。今までに通ってきた街なんてあれでも少なかったんだと思わざるを得ない。そのくらいの人、人、人。
リンスさん達の家はその先の貴族街に家があるそうだ。そこに一緒に来て欲しいと言う。
ゴッツさんとクーガさんは「俺達には貴族街は合わねぇ」と言って手をヒラヒラと振って去っていってしまった。
俺とか入って大丈夫なのか? スケルトンだよ?
「あのね、ナイルが心配してるんだけど。入って大丈夫なのかって……」
「私が何も言わせませんわ!」
リンスさんが鼻息を荒くしてそう言い放った。そういう事であれば行かないと行けないのだろう。そっちがいいならいいんだけど。
貴族街へ入っていく。馬車の中まで確認され、入口の衛兵に止められる。しかし、リンスさんの鶴の一声で何も言えずにスルー。
無事に家に到着したのであった。
「お帰りなさいませ! リンス様!」
優雅にお辞儀をして迎えてくれたのは何やら少し歳はいってそうだが、綺麗なメイドさんであった。
「ただいま、ロゼッタ。お客様がいるから、お通ししてちょうだい?」
「はい! かしこまりまし…………た!?」
ミリアが下りたところまでは良かったのだろうが、俺を見た瞬間にメイドさんの声が裏返った。
「この方達は、私達の命の恩人だ。くれぐれも失礼のないようにな」
メイドさんの態度を見て釘を刺したのはダンテさんであった。仕方がないことだと思うけどね。骨を見たらそりゃ驚くでしょ。普通。
「もっ、申し訳ございません! 失礼致しました! あちらの客間にご案内します!」
メイドさんは頬から汗を垂らしながら案内してくれた。
大丈夫かな? ダンテさんに怒られたから冷や汗かな?
この時、出迎えてくれたメイドのロゼッタはメイド長を務めており、実は元B級冒険者という異例の経歴を持つのだ。
そんなメイド長が心を乱した要因は骨だからでは無い。下りてきた瞬間のスケルトンの体から滲み出た覇気のようなもの。得体の知れないその雰囲気を感じ取ったことにより、取り乱したのであった。
「こちらで、少々お待ちください! またお呼び致しますので、どうぞごゆっくりお休みください!」
部屋に案内されるとミリアは喜んでソファーに飛んだ。そして、跳ねてソファーの座り心地をたしかめてテーブルに乗っていたお菓子を物色する。
「ねぇねぇ、ここにあるお菓子たべていいのかなぁ?」
いいんじゃないか? 出してあるのに食べるなって言うほどケチでは無いだろ。
「だよねぇ! あっ! これ美味しそー!」
高級そうな包み紙を入れ物の脇に放り投げて中に入っていた茶色っぽいものを口の中に入れた。
「んーーっ! あまあまーー」
頬に手を当てて口の中の物の美味しさに悶絶している。
チョコレートみたいなもんかな? その色で甘いのだとそれくらいしか思いつかないな。
「これ、チョコレートっていうの? 甘くてすごく美味しいよぉ。高いんだろーなぁー」
そう言いながらももう一つ、もう一つと口の中に消していく。
コンコンッ
「はぁーい!」
「お待たせ致しました。ご主人様の準備が出来ましたので、ご案内します」
部屋から連れ出され、別の部屋に案内される。すると、着いたのは大広間のような所だった。長いテーブルがあり、食べ物が並んでいる。
案内された席にミリアが座る。俺はその後ろに立つ。
「いきなり食事の場にご案内してしまい、すみません。お腹が空いているだろうとリンスに聞いたものですから。この度は、娘達を助けて頂いて誠に有難う御座います。私は伯爵をさせてもらってます。アーノルド家当主のマルスといいます」
壮年のブロンドを刈り上げた美丈夫が頭を下げた。
「私からもお礼を言わせていただきますわ。誠に有難う御座います。私は妻のショナですわ。この度は長い旅路で色々とお世話になったそうで、先程からリンスからの旅の話が止まらないのですわ」
続けて挨拶をしてくれたのは同じくブロンドの髪を巻き巻きした若々しい美女。
ホントに母親か!?
若すぎるだろ!?
「あわわわ。綺麗な人ぉぉ」
ミリアが思わず心の声が口に出てしまっている。
「ふふふっ。有難うですわ。あなたがミリアさんですわね? で、後ろのスケルトンが、ナイルさんですわね?」
「はっ、はい! そうです! スケルトンですけど、とても頼りになる、私のテイムモンスターです!」
自己紹介をするまでもないようで、既にリンスさんが色々と話をしてくれていたようだ。
これは、ダンテさんも怒られずにすんだようだ。
「なんでも、ワイバーンを一撃で屠ったとか。その話が本当なら、アーノルド家の専属の護衛になってほしい。もちろん、給金は弾むよ。一日、ミリアさんと、ナイルさんそれぞれ金貨1枚でどうだろうか?」
えっ!?
なんていい話!
「すみません。お断りします」
はっ!?
ミリア!?
かなりいい条件の申し出に断ってしまったミリアであった。
何故、こんないい話を即答で断ったのだろうか。
そこからは順調そのもの。
ゴッツさん達が居たこともあって無事に王都に着いたのであった。
「着きましたわね! ようこそ、ここが王都ですわ!」
「わぁぁぁ。大っきいねぇぇ」
王都を囲む白い壁は見た限り先が見えない。そして、高さも巨人が来ても大丈夫なくらいの高さはありそうだ。
中に入ってさらに驚いた。まず、人の多さ。今までに通ってきた街なんてあれでも少なかったんだと思わざるを得ない。そのくらいの人、人、人。
リンスさん達の家はその先の貴族街に家があるそうだ。そこに一緒に来て欲しいと言う。
ゴッツさんとクーガさんは「俺達には貴族街は合わねぇ」と言って手をヒラヒラと振って去っていってしまった。
俺とか入って大丈夫なのか? スケルトンだよ?
「あのね、ナイルが心配してるんだけど。入って大丈夫なのかって……」
「私が何も言わせませんわ!」
リンスさんが鼻息を荒くしてそう言い放った。そういう事であれば行かないと行けないのだろう。そっちがいいならいいんだけど。
貴族街へ入っていく。馬車の中まで確認され、入口の衛兵に止められる。しかし、リンスさんの鶴の一声で何も言えずにスルー。
無事に家に到着したのであった。
「お帰りなさいませ! リンス様!」
優雅にお辞儀をして迎えてくれたのは何やら少し歳はいってそうだが、綺麗なメイドさんであった。
「ただいま、ロゼッタ。お客様がいるから、お通ししてちょうだい?」
「はい! かしこまりまし…………た!?」
ミリアが下りたところまでは良かったのだろうが、俺を見た瞬間にメイドさんの声が裏返った。
「この方達は、私達の命の恩人だ。くれぐれも失礼のないようにな」
メイドさんの態度を見て釘を刺したのはダンテさんであった。仕方がないことだと思うけどね。骨を見たらそりゃ驚くでしょ。普通。
「もっ、申し訳ございません! 失礼致しました! あちらの客間にご案内します!」
メイドさんは頬から汗を垂らしながら案内してくれた。
大丈夫かな? ダンテさんに怒られたから冷や汗かな?
この時、出迎えてくれたメイドのロゼッタはメイド長を務めており、実は元B級冒険者という異例の経歴を持つのだ。
そんなメイド長が心を乱した要因は骨だからでは無い。下りてきた瞬間のスケルトンの体から滲み出た覇気のようなもの。得体の知れないその雰囲気を感じ取ったことにより、取り乱したのであった。
「こちらで、少々お待ちください! またお呼び致しますので、どうぞごゆっくりお休みください!」
部屋に案内されるとミリアは喜んでソファーに飛んだ。そして、跳ねてソファーの座り心地をたしかめてテーブルに乗っていたお菓子を物色する。
「ねぇねぇ、ここにあるお菓子たべていいのかなぁ?」
いいんじゃないか? 出してあるのに食べるなって言うほどケチでは無いだろ。
「だよねぇ! あっ! これ美味しそー!」
高級そうな包み紙を入れ物の脇に放り投げて中に入っていた茶色っぽいものを口の中に入れた。
「んーーっ! あまあまーー」
頬に手を当てて口の中の物の美味しさに悶絶している。
チョコレートみたいなもんかな? その色で甘いのだとそれくらいしか思いつかないな。
「これ、チョコレートっていうの? 甘くてすごく美味しいよぉ。高いんだろーなぁー」
そう言いながらももう一つ、もう一つと口の中に消していく。
コンコンッ
「はぁーい!」
「お待たせ致しました。ご主人様の準備が出来ましたので、ご案内します」
部屋から連れ出され、別の部屋に案内される。すると、着いたのは大広間のような所だった。長いテーブルがあり、食べ物が並んでいる。
案内された席にミリアが座る。俺はその後ろに立つ。
「いきなり食事の場にご案内してしまい、すみません。お腹が空いているだろうとリンスに聞いたものですから。この度は、娘達を助けて頂いて誠に有難う御座います。私は伯爵をさせてもらってます。アーノルド家当主のマルスといいます」
壮年のブロンドを刈り上げた美丈夫が頭を下げた。
「私からもお礼を言わせていただきますわ。誠に有難う御座います。私は妻のショナですわ。この度は長い旅路で色々とお世話になったそうで、先程からリンスからの旅の話が止まらないのですわ」
続けて挨拶をしてくれたのは同じくブロンドの髪を巻き巻きした若々しい美女。
ホントに母親か!?
若すぎるだろ!?
「あわわわ。綺麗な人ぉぉ」
ミリアが思わず心の声が口に出てしまっている。
「ふふふっ。有難うですわ。あなたがミリアさんですわね? で、後ろのスケルトンが、ナイルさんですわね?」
「はっ、はい! そうです! スケルトンですけど、とても頼りになる、私のテイムモンスターです!」
自己紹介をするまでもないようで、既にリンスさんが色々と話をしてくれていたようだ。
これは、ダンテさんも怒られずにすんだようだ。
「なんでも、ワイバーンを一撃で屠ったとか。その話が本当なら、アーノルド家の専属の護衛になってほしい。もちろん、給金は弾むよ。一日、ミリアさんと、ナイルさんそれぞれ金貨1枚でどうだろうか?」
えっ!?
なんていい話!
「すみません。お断りします」
はっ!?
ミリア!?
かなりいい条件の申し出に断ってしまったミリアであった。
何故、こんないい話を即答で断ったのだろうか。
応援ありがとうございます!
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