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32.剣の加工先
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「すみません。お断りします」
ミリアは即答で断った。
「そう……ですか。いい話だと思うんですが、何故でしょう?」
「私達の目的はナイルの肉体を得ることです。その為に進化を目的とした旅に出ます。ですので、その話はお受けできません」
マルスさんはミリアの態度に少し眉を上げて質問してきた。威圧的ではないが、何故なのだ?という疑問を強く抱いているのは感じた。
それに対して、ミリアは俺達の目的を明らかにして、理由を明確に伝えた。
伝えたのだが……。
「それなら、進化した後でならアーノルド家の護衛になってくれるかい? その時はさらに強くなっているということだろう?」
たしかに言っていることに間違いはない。しかも、かなりいい話だ。
「そうですね。その後でなら護衛をしながら過ごすのも悪くないかもしれません。あの、さっきあった甘いお菓子たべれますかぁ!?」
「あぁ。リンスが好きだからいつも置いてあるんだ。いつでも食べれるよ?」
「わぁぁぁ! やったぁ! 早く進化させてこようね!?」
あぁ。そうだな。
さっきまでのシリアスな雰囲気はどこかに吹っ飛んだ。ミリアはキラキラした目で俺を見ている。
旅は俺の目的の為に行くようなもんだ。だから、その後は好きに過ごせばいいだろう。ここに居れば金には困らない。
今回みたいな旅に同行する護衛となるのだろう。それなら、普段は危険なことは無いし。そうだよな。ミリアはここで留守番をしていればいい。
それは凄く名案に思えた。
すると、ジィっとミリアがこちらを見つめていた。
「ねぇ、私を置いて行くのは名案ではないよ? 誰がスキル取ってあげてるんだっけ? 私だけ仲間外れにする気?」
しかしだな。危険なことはなるべく避けた方が……。
「ダメ! 一緒に行くの!」
……わかったよ。
はぁぁ。念話で繋がってるとこれだからなぁ。
また不機嫌そうな顔で俺を見ている。
「わざわざリンス達を護衛する為に来てくれたんでしょう? 謝礼を渡さないといけませんね」
「あぁ、いえ。私達も王都には目的があったんです! だから、乗せてもらうことを条件に護衛をしたんです!」
「そうでしたか。何を目的に来られたんですか?」
「実は……竜の鱗を剣に加工したくて。加工できる職人さんを探しに来たんです」
「なるほど……」
マルスさんは顎に手を当ててしばらく少し上向いて考えているようだった。
「あなた? だれか心当たりはありますの?」
「んー。そうだなぁ。たしか……ガジルさんの所が昔竜の鱗で剣を作ったと言っていたと思うんだが、今でも加工する環境があるかが分からない。確認させよう」
ダンテさんを呼ぶと指示を出している。
頷いて去ってく。
確認までしてくれるなんて助かるな。
「竜の鱗を加工するとなると相当金がかかると思われます。その加工代はウチから出しましょう」
はっ?
「えぇっ!? でも……」
「旅の後は今のところはウチの護衛になってくれるという意思がありますから。先行投資とでも思ってくれればいいですよ。将来のアーノルド家の為です」
有難く申し入れを受けるか。
「有難う御座います!」
「いいんです。娘の命に比べれば軽い。そうだ。この後、ダンテとギルドに行って欲しいんですが、よろしいですか? 前の護衛が亡くなった報告と代わりに護衛をした報酬がギルドから出ますので」
「はい! わかりました!」
「すみません。食べましょう」
「はい!」
ミリアは話の最中、仕切りに料理を気にしてヨダレを拭いていたのだ。待ちきれなかったのだろう。
よしっ!と言われた犬の如く、料理をかきこみ始めた。
「おーいしー! なんか、すごく美味しいよぉ!」
目に涙を浮かべながらすごい勢いで口に料理を運んでいく。なんだか、掃除機のようだ。料理はゴミではないから、表現としては間違っていると思うが。
そんなに美味しいなら、少し味わって食べたらどうだ?
「手が、手が……」
どうした!?
「手がとまらないよぉ」
はいはい。美味しいのね。
「ふふふっ。喜んでくれて良かったわ。いーっぱい食べてくださいね?」
「あらあら、ミリア、またそんなにかき込んで。喉をつまらせますわよ?」
そこに途中からやってきたリンスさんが合流。着替えてきたみたいで旅装とは違い、ピンクのドレスのような物を着ている。
「んー!…………ゴクッゴクッ……ハァ! 息ができなかった!」
「ナイルさん? ミリアをちゃんと見てないとダメですわよ?」
いやー。すまん。
手を頭に回して頭をかく仕草をする。
「ほぉ。ナイルさんは人間の話していることが分かるんですね?」
コクコクと頷く。
やはり、モンスターが人間の言葉を理解するのは普通ではないらしい。
「ナイルさんは特別ですわ。戦っているところを見たら凄すぎて震えますわよ!? この普通の弱いスケルトンのような出で立ちでズバッもワイバーンを斬ったのですわ! それも、何をしたか見えなかったのですわよ!」
リンスさんが興奮して旅の道中の話を語り出した。そこからはしばらく話が続いて。ある報せにより話は中断された。
バタンッ
部屋の扉が開いた。
一礼してダンテさんが入ってくると、マルスさんに耳打ちする。
そして、離れると端に立った。
「ミリアさん、ナイルさん、私の知り合いのガジルさんの所で竜の鱗の加工が可能だそうです。ギルドに行った後に行ってみてください。話は通してあります」
「はい! 有難う御座います!」
俺も礼をする。
トントン拍子に話が進んで、ようやく鱗を加工できる。
やっと俺が本気を出せる剣が手に入るな。
ミリアは即答で断った。
「そう……ですか。いい話だと思うんですが、何故でしょう?」
「私達の目的はナイルの肉体を得ることです。その為に進化を目的とした旅に出ます。ですので、その話はお受けできません」
マルスさんはミリアの態度に少し眉を上げて質問してきた。威圧的ではないが、何故なのだ?という疑問を強く抱いているのは感じた。
それに対して、ミリアは俺達の目的を明らかにして、理由を明確に伝えた。
伝えたのだが……。
「それなら、進化した後でならアーノルド家の護衛になってくれるかい? その時はさらに強くなっているということだろう?」
たしかに言っていることに間違いはない。しかも、かなりいい話だ。
「そうですね。その後でなら護衛をしながら過ごすのも悪くないかもしれません。あの、さっきあった甘いお菓子たべれますかぁ!?」
「あぁ。リンスが好きだからいつも置いてあるんだ。いつでも食べれるよ?」
「わぁぁぁ! やったぁ! 早く進化させてこようね!?」
あぁ。そうだな。
さっきまでのシリアスな雰囲気はどこかに吹っ飛んだ。ミリアはキラキラした目で俺を見ている。
旅は俺の目的の為に行くようなもんだ。だから、その後は好きに過ごせばいいだろう。ここに居れば金には困らない。
今回みたいな旅に同行する護衛となるのだろう。それなら、普段は危険なことは無いし。そうだよな。ミリアはここで留守番をしていればいい。
それは凄く名案に思えた。
すると、ジィっとミリアがこちらを見つめていた。
「ねぇ、私を置いて行くのは名案ではないよ? 誰がスキル取ってあげてるんだっけ? 私だけ仲間外れにする気?」
しかしだな。危険なことはなるべく避けた方が……。
「ダメ! 一緒に行くの!」
……わかったよ。
はぁぁ。念話で繋がってるとこれだからなぁ。
また不機嫌そうな顔で俺を見ている。
「わざわざリンス達を護衛する為に来てくれたんでしょう? 謝礼を渡さないといけませんね」
「あぁ、いえ。私達も王都には目的があったんです! だから、乗せてもらうことを条件に護衛をしたんです!」
「そうでしたか。何を目的に来られたんですか?」
「実は……竜の鱗を剣に加工したくて。加工できる職人さんを探しに来たんです」
「なるほど……」
マルスさんは顎に手を当ててしばらく少し上向いて考えているようだった。
「あなた? だれか心当たりはありますの?」
「んー。そうだなぁ。たしか……ガジルさんの所が昔竜の鱗で剣を作ったと言っていたと思うんだが、今でも加工する環境があるかが分からない。確認させよう」
ダンテさんを呼ぶと指示を出している。
頷いて去ってく。
確認までしてくれるなんて助かるな。
「竜の鱗を加工するとなると相当金がかかると思われます。その加工代はウチから出しましょう」
はっ?
「えぇっ!? でも……」
「旅の後は今のところはウチの護衛になってくれるという意思がありますから。先行投資とでも思ってくれればいいですよ。将来のアーノルド家の為です」
有難く申し入れを受けるか。
「有難う御座います!」
「いいんです。娘の命に比べれば軽い。そうだ。この後、ダンテとギルドに行って欲しいんですが、よろしいですか? 前の護衛が亡くなった報告と代わりに護衛をした報酬がギルドから出ますので」
「はい! わかりました!」
「すみません。食べましょう」
「はい!」
ミリアは話の最中、仕切りに料理を気にしてヨダレを拭いていたのだ。待ちきれなかったのだろう。
よしっ!と言われた犬の如く、料理をかきこみ始めた。
「おーいしー! なんか、すごく美味しいよぉ!」
目に涙を浮かべながらすごい勢いで口に料理を運んでいく。なんだか、掃除機のようだ。料理はゴミではないから、表現としては間違っていると思うが。
そんなに美味しいなら、少し味わって食べたらどうだ?
「手が、手が……」
どうした!?
「手がとまらないよぉ」
はいはい。美味しいのね。
「ふふふっ。喜んでくれて良かったわ。いーっぱい食べてくださいね?」
「あらあら、ミリア、またそんなにかき込んで。喉をつまらせますわよ?」
そこに途中からやってきたリンスさんが合流。着替えてきたみたいで旅装とは違い、ピンクのドレスのような物を着ている。
「んー!…………ゴクッゴクッ……ハァ! 息ができなかった!」
「ナイルさん? ミリアをちゃんと見てないとダメですわよ?」
いやー。すまん。
手を頭に回して頭をかく仕草をする。
「ほぉ。ナイルさんは人間の話していることが分かるんですね?」
コクコクと頷く。
やはり、モンスターが人間の言葉を理解するのは普通ではないらしい。
「ナイルさんは特別ですわ。戦っているところを見たら凄すぎて震えますわよ!? この普通の弱いスケルトンのような出で立ちでズバッもワイバーンを斬ったのですわ! それも、何をしたか見えなかったのですわよ!」
リンスさんが興奮して旅の道中の話を語り出した。そこからはしばらく話が続いて。ある報せにより話は中断された。
バタンッ
部屋の扉が開いた。
一礼してダンテさんが入ってくると、マルスさんに耳打ちする。
そして、離れると端に立った。
「ミリアさん、ナイルさん、私の知り合いのガジルさんの所で竜の鱗の加工が可能だそうです。ギルドに行った後に行ってみてください。話は通してあります」
「はい! 有難う御座います!」
俺も礼をする。
トントン拍子に話が進んで、ようやく鱗を加工できる。
やっと俺が本気を出せる剣が手に入るな。
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