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51.サボテンマン
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ダンジョンへの階段を下りた先には扉があった。
「あれぇ? もしかして、一階層しかないのかな?」
『そんな事は滅多にないと思うが、この世界ではダンジョンは初めてだからなぁ』
躊躇いながらも扉を開ける。
すると、正面に二足歩行のサボテンがいた。
『おいおい。なんだありゃ?』
サボテンマンと名付けよう。
そいつは身体を震わせたかと思うと花を咲かせ、そしてその花から小さなサボテンマンが生まれてこちらに駆けてきた。
『うわっ! 数が多い系か?』
迫り来る小さなサボテンを斬ろうとすると、飛んだり跳ねたりしてピョンピョンと鬱陶しい。
我流 刀術
『大車輪《だいしゃりん》』
何体か小さいサボテンマンを倒したが、残りが針を放ってくる。
数が多い上に放ってくる針の数も多い。
なんとかローブを盾にして針を防ぐ。
あっ。ていうか俺骨だから関係ないじゃん。
そうは思ったが、一応防ぐ。
ミリアに通ったら行けないからな。
そう。俺が盾にならなければ。
こんな魔物がいるなんて調べた時には資料になかったなぁ。もしかして、まだ未発見のダンジョンか?
本来ならギルドに知らせなきゃいけないが、まぁ、攻略しちゃってもいいよな。そう思い、気を引き締めてサボテンマンと対峙する。
やつは、花から小さいサボテンマンを作り出す。あれを作り出す前に潰せばいいだろうか。
またフルフルと震え出した。
第二波が来る。
ドラゴニック流 太刀術
『突竜《とつりゅう》』
引き絞った太刀をサボテンマンの花めがけて突き刺す。
蕾は吹き飛んで何も生まれなかった。
よしっ!とそう思った時に、見た光景に絶望した。その斬った蕾以外に十個ほどの蕾を付けて花を開花させたのだ。
勿論、その花からは小さなサボテンマンが生まれてくる。
どんな体してんだよ!?
こりゃ本体を先に倒さないと無理だな。
そう思い、チビサボテンマンには目もくれずに本体を攻撃しようとしたのだが、後ろにいるミリアにもチビサボテンマンが針を向けているのだ。
慌ててミリアの前に盾になって放ってくる針をローブで受ける。こうなってくると、手の出しようがないな。
「ふふーん。私もちょっと手伝おっか?」
『はぁぁ。そうだな。すまん。手に負えん』
「よーろしぃー! ではぁーレイン!」
ここら一帯に雨を降らせる水属性の初級魔法だ。発動した者の周りは雨は降らない。周りの床は水で濡れて表面に少し水を纏った状態になっている。
「続いてぇー! ボルト!」
床に手を着いて雷撃を放つ。
すると、電気が水を伝って流れていく。
チビサボテンマンには効果てきめんだった様だ。電撃で次々と倒れていく。
これも雷撃を放つ雷属性の初級魔法。普段の使い道はチカン撃退とスリ撃退くらいにしか使えないが。今回は合わせ技でかなり威力が高まっている様だ。
『おぉー。凄いなミリア』
「エッヘン! 感心してる場合じゃないよぉ!?」
『おぉ。そうだ』
本体へ駆けていく。
ドラゴニック流 太刀術
『突竜《とつりゅう》』
本体に刺さる。
そう感じた瞬間。
サボテンマンの身体の針が全方位に弾け飛んだ。
防衛本能だったんだろう。
ミリアは俺の後ろにいたから良かったが。
俺は針……だ…………らけ?
あっ。骨だから刺さらないんだ。
そうだった。じゃあ、ミリアだけ気をつければやり放題だな。
ドラゴニック流 太刀術
『竜牙一閃《りゅうがいっせん》!』
放った斬撃は金属を擦るような嫌な音をたてながらサボテンマンの身体の針に止められている。身体を曲げることで針を集中させて防いだようだ。
針をそんなふうに使うとはやるな。
俺も少し考えないとな。
突きだと同じようになっちゃうしなぁ。
少し考えながらサボテンマンに攻撃を繰り出しているが、尽くガードされるか避けられて反撃をされている状態だ。
遠距離からなにか出来ればなぁ。
そう考えていると。
鍛錬中のグンガさんとの会話を思い出したのであった。
◇◆◇
「よう。そういえば、ナイルは魔法とか使えるのか?」
『使えないですよ。身体の強化の方にスキルを回していますから。ただ、魔力をこの太刀に通せば炎が吹き出るので、それでなにか出来ればいいんですが』
少し考えた素振りを見せて目を輝かせた。
「いい考えがあるぞ!」
◇◆◇
そう言って提案してもらった技を練習したんだったな。あれなら行けるかもしれない。サボテンマンは魔法には弱そうだ。
また震えてチビサボテンマンを生み出している。だが、チビはミリアに任せる。そうと決まれば俺は目の前のこいつに集中すればいい。
自分に向かってくるチビを排除する。
体勢を低くして技を放つ。
我流 刀術
『大車輪《だいしゃりん》』
回転斬りを放ってチビを数体倒し、残りはミリアの所へ向かった。
あれぐらいならさっきの雷撃で倒せるだろう。
胸の炎から身体に魔力を巡らせて青い炎に包まれる。そこから太刀にも纏わせる。
太刀から炎が吹き出したところで太刀を大きく振りかぶる。隙が大きいが、針を飛ばされても何ともないからできる芸当だ。
ドラゴニック流 太刀術
『火竜《かりゅう》の咆哮《ほうこう》!』
振り下ろした太刀から巨大な火球が生み出されてサボテンマンに着弾した。
腕を振ったりしながらなんとか日を消そうとするが、それは叶わないようだ。徐々に炎は勢いを増してサボテンを燃やす。
しばらくすると黒い消し炭だけが残った。
「あれぇ? もしかして、一階層しかないのかな?」
『そんな事は滅多にないと思うが、この世界ではダンジョンは初めてだからなぁ』
躊躇いながらも扉を開ける。
すると、正面に二足歩行のサボテンがいた。
『おいおい。なんだありゃ?』
サボテンマンと名付けよう。
そいつは身体を震わせたかと思うと花を咲かせ、そしてその花から小さなサボテンマンが生まれてこちらに駆けてきた。
『うわっ! 数が多い系か?』
迫り来る小さなサボテンを斬ろうとすると、飛んだり跳ねたりしてピョンピョンと鬱陶しい。
我流 刀術
『大車輪《だいしゃりん》』
何体か小さいサボテンマンを倒したが、残りが針を放ってくる。
数が多い上に放ってくる針の数も多い。
なんとかローブを盾にして針を防ぐ。
あっ。ていうか俺骨だから関係ないじゃん。
そうは思ったが、一応防ぐ。
ミリアに通ったら行けないからな。
そう。俺が盾にならなければ。
こんな魔物がいるなんて調べた時には資料になかったなぁ。もしかして、まだ未発見のダンジョンか?
本来ならギルドに知らせなきゃいけないが、まぁ、攻略しちゃってもいいよな。そう思い、気を引き締めてサボテンマンと対峙する。
やつは、花から小さいサボテンマンを作り出す。あれを作り出す前に潰せばいいだろうか。
またフルフルと震え出した。
第二波が来る。
ドラゴニック流 太刀術
『突竜《とつりゅう》』
引き絞った太刀をサボテンマンの花めがけて突き刺す。
蕾は吹き飛んで何も生まれなかった。
よしっ!とそう思った時に、見た光景に絶望した。その斬った蕾以外に十個ほどの蕾を付けて花を開花させたのだ。
勿論、その花からは小さなサボテンマンが生まれてくる。
どんな体してんだよ!?
こりゃ本体を先に倒さないと無理だな。
そう思い、チビサボテンマンには目もくれずに本体を攻撃しようとしたのだが、後ろにいるミリアにもチビサボテンマンが針を向けているのだ。
慌ててミリアの前に盾になって放ってくる針をローブで受ける。こうなってくると、手の出しようがないな。
「ふふーん。私もちょっと手伝おっか?」
『はぁぁ。そうだな。すまん。手に負えん』
「よーろしぃー! ではぁーレイン!」
ここら一帯に雨を降らせる水属性の初級魔法だ。発動した者の周りは雨は降らない。周りの床は水で濡れて表面に少し水を纏った状態になっている。
「続いてぇー! ボルト!」
床に手を着いて雷撃を放つ。
すると、電気が水を伝って流れていく。
チビサボテンマンには効果てきめんだった様だ。電撃で次々と倒れていく。
これも雷撃を放つ雷属性の初級魔法。普段の使い道はチカン撃退とスリ撃退くらいにしか使えないが。今回は合わせ技でかなり威力が高まっている様だ。
『おぉー。凄いなミリア』
「エッヘン! 感心してる場合じゃないよぉ!?」
『おぉ。そうだ』
本体へ駆けていく。
ドラゴニック流 太刀術
『突竜《とつりゅう》』
本体に刺さる。
そう感じた瞬間。
サボテンマンの身体の針が全方位に弾け飛んだ。
防衛本能だったんだろう。
ミリアは俺の後ろにいたから良かったが。
俺は針……だ…………らけ?
あっ。骨だから刺さらないんだ。
そうだった。じゃあ、ミリアだけ気をつければやり放題だな。
ドラゴニック流 太刀術
『竜牙一閃《りゅうがいっせん》!』
放った斬撃は金属を擦るような嫌な音をたてながらサボテンマンの身体の針に止められている。身体を曲げることで針を集中させて防いだようだ。
針をそんなふうに使うとはやるな。
俺も少し考えないとな。
突きだと同じようになっちゃうしなぁ。
少し考えながらサボテンマンに攻撃を繰り出しているが、尽くガードされるか避けられて反撃をされている状態だ。
遠距離からなにか出来ればなぁ。
そう考えていると。
鍛錬中のグンガさんとの会話を思い出したのであった。
◇◆◇
「よう。そういえば、ナイルは魔法とか使えるのか?」
『使えないですよ。身体の強化の方にスキルを回していますから。ただ、魔力をこの太刀に通せば炎が吹き出るので、それでなにか出来ればいいんですが』
少し考えた素振りを見せて目を輝かせた。
「いい考えがあるぞ!」
◇◆◇
そう言って提案してもらった技を練習したんだったな。あれなら行けるかもしれない。サボテンマンは魔法には弱そうだ。
また震えてチビサボテンマンを生み出している。だが、チビはミリアに任せる。そうと決まれば俺は目の前のこいつに集中すればいい。
自分に向かってくるチビを排除する。
体勢を低くして技を放つ。
我流 刀術
『大車輪《だいしゃりん》』
回転斬りを放ってチビを数体倒し、残りはミリアの所へ向かった。
あれぐらいならさっきの雷撃で倒せるだろう。
胸の炎から身体に魔力を巡らせて青い炎に包まれる。そこから太刀にも纏わせる。
太刀から炎が吹き出したところで太刀を大きく振りかぶる。隙が大きいが、針を飛ばされても何ともないからできる芸当だ。
ドラゴニック流 太刀術
『火竜《かりゅう》の咆哮《ほうこう》!』
振り下ろした太刀から巨大な火球が生み出されてサボテンマンに着弾した。
腕を振ったりしながらなんとか日を消そうとするが、それは叶わないようだ。徐々に炎は勢いを増してサボテンを燃やす。
しばらくすると黒い消し炭だけが残った。
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