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52.メタられた
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「おぉー。凄いねぇ。ナイルゥー!」
『何とかなってよかったな』
消し炭を残して奥に進むと小さな部屋があった。そこには宝箱が。
「あー! 宝箱があるじゃん! やったねぇ! ナイル!」
『罠とかないといいけどなぁ。とりあえず、俺が開けるからな。おれなら何があっても大丈夫だしな』
少し様子を見ながら近づいていく。
ツンツンっと宝箱をつつき、ストッパーを開ける。そこまでは何も起きない。
『ミリア、離れてろよ?』
「離れてるよー!」
部屋の外にいるみたいだから大丈夫だろう。
『開けるぞー。ほっ!』
宝箱をパカッと開けると中には魔石が入っていた。綺麗な大きい魔石である。
あれ?
これって、S級の魔石かなぁ?
「なんかさぁ、おっきぃねぇ!」
ミリアもあまり見た事がないみたいだな。
やっぱり大きいよなぁ。
あれ?
「なんか階段があるねぇ?」
『だな。下があるみたいだ』
下の階段を降りていく。
再び扉が俺達の行く手を阻む。
『次は何かな?』
ゆっくりと扉を開けていく。
出てきたのは赤茶のサソリであった。
えっ!? なに?
素材がわからん。
しかし、尻尾は相変わらず油断出来ないようだ。
尻尾を向けてきたので回避する。
『ミリア右!』
一緒に右に飛ぶ。
飛んできた茶色い液体は地面に着くと固くなっていった。
えっ?
粘土。みたいな?
「レインからのぉー」
雨をふらせてまた電撃の作戦だ。
「ボルトォォォ」
バリッと音がしたが、サソリはビクともしない。何事も無かったかのようにこちらに来る。
『次は俺だ!』
こんなに距離が空いてるなら少しの隙を見ても大丈夫だろう。
ドラゴニック流 太刀術
『火竜《かりゅう》の咆哮《ほうこう》!』
巨大な火球が再びモンスターに迫る。
凄まじい熱風が吹き付け、かなり高音に晒されているようだ。
これなら倒せるだろう。
そう思ったが。
再び尻尾からの液体が上から来た。
『ミリア! 避けろ!』
俺は咄嗟に左に転がったが、ミリアの足に液体がついてしまったようだ。
徐々に固まっていく。
「なにこれぇぇ!」
赤茶のサソリだったのに少し白くなってテカリが出てきている。
どういうこと?
「ボルトォォォ」
雷撃を放つが全然ビクともしないようだ。
「これ! 何なのぉぉぉ!?」
あれは、もしかして粘土か!?
ってことは焼けて陶器になった!?
なら、電気は効くわけがねぇ。
ドラゴニック流 太刀術
『突竜《とつりゅう》』
甲高い音がするが、なんなく弾き返された。
一体こんな硬い陶器。
どうやって砕けばいいんだ?
刃物だと砕けないんじゃないだろうか?
尻尾に気を取られていてハサミに気が付かなかった。
ガッチリ腕を挟まれる。
ハサミを斬ろうと関節部に太刀を叩きつけるが、関節を上手いこと使って受け止められてしまった。
ヤバい。
なんだよこれ!?
無理やりハサミを蹴り飛ばす。
すると、左手の肘から先が持っていかれた。
おいいぃぃ!
何してくれてんだよ!?
「ナイル! 大丈夫? 腕もげちゃってるじゃん!」
『持ってかれた! この太刀は片手では技は使えないぞ!』
俺は片手で太刀を持っているが、この太刀は長い為、片手ではまだ安定しないのだ。
俺が未熟なだけなんだが。
くっそ!
動きづらい。
まずは鞘に収める。
横移動でサソリの狙いを定めないように惑わせる。ミリアを狙われてはダメだ。
俺はサソリの気を引き付けつつ移動する。
「私の魔法も効かないしなぁ」
なんだか一階での対策を練られたようなゲーマー風にいえばメタられた?
俺の炎の技も効かない。
太刀も効かない。
雷撃も効かない。
何かないか?
不確定要素。
あっ。
『ミリア? グンガさんに教えて貰ったガルン流空手いける? あれ砕けるか?』
「えぇー!? どうだろ? やってみるね!」
『俺が気を引くから頼む!』
「オッケー!」
片手を失って少しバランスが難しいが、陶器サソリの前をチョロチョロと動く。
ハサミで攻撃したのを避け。
少し懐に潜ると今度は尻尾で攻撃してくる。
今のを避けたことで体勢が崩れた。
『今だ! ミリア!』
「よぉーしっ!」
大きな掛け声を上げてサソリに肉薄する。
「行っくよぉ!」
足を肩幅に広げて右手を引き絞る。
上体を捻りあげ力を溜める。
「ガルン流 インパクトォォォ!」
所謂、正拳突きなのだが。
ミリアの渾身の突きが放たれた。
硬いもの同士がぶつかりあった様な硬質な音が響き渡る。その音の先にヒビが入ったような音が混じった。
『いったな! どこかがヒビ入ったぞ!?』
「いっっっっっっったぁぁぁぁあぁぁ」
硬いものを殴ったことがない拳は赤くなり、手が悲鳴をあげるように少し腫れているようにも見えた。
『大丈夫か!?』
「もぉぉぉやだぁぁ! 後よろしく!」
ここまでやってもらって引き下がる訳には行かないだろう。
ヒビが入った所をめがけてなんとか技を放つしかない。
この手で出せる技は一つだけある。
両手じゃないぶん威力は弱まるが、片手でなんとか出せる。
攻撃してくるサソリのハサミと尻尾を避けながらヒビが入っているところを探す。
先程攻撃した場所を検討をつけて肉薄する。
よーく見ると、ヒビが入っている箇所がある。
『ここだ! 決める!』
これは奥義の一歩手前と言われたほどの難易度が高い技だ。だが、片手で出せるのはこれしかない。
ドラゴニック流 太刀術
『竜牙滅閃《りゅうがめっせん》んんんん!』
鞘に収めていた太刀を片手で掴み、居合の要領で片手で太刀を抜き。勢いのまま瞬速の袈裟斬りを放つ。
速度は落ちるが、これでどうだ!?
ビシッと入ったヒビ。
えっ!?
それだけ!?
ビシビシビシビシと徐々に卵の殻のようにヒビが広がっていき、やがて全ての身体に行き渡ると甲高い音をたてて粉々に砕けた。
『ははははははっ。結局力技だったな』
これ、次の階層あったら何が出てくるの?
『何とかなってよかったな』
消し炭を残して奥に進むと小さな部屋があった。そこには宝箱が。
「あー! 宝箱があるじゃん! やったねぇ! ナイル!」
『罠とかないといいけどなぁ。とりあえず、俺が開けるからな。おれなら何があっても大丈夫だしな』
少し様子を見ながら近づいていく。
ツンツンっと宝箱をつつき、ストッパーを開ける。そこまでは何も起きない。
『ミリア、離れてろよ?』
「離れてるよー!」
部屋の外にいるみたいだから大丈夫だろう。
『開けるぞー。ほっ!』
宝箱をパカッと開けると中には魔石が入っていた。綺麗な大きい魔石である。
あれ?
これって、S級の魔石かなぁ?
「なんかさぁ、おっきぃねぇ!」
ミリアもあまり見た事がないみたいだな。
やっぱり大きいよなぁ。
あれ?
「なんか階段があるねぇ?」
『だな。下があるみたいだ』
下の階段を降りていく。
再び扉が俺達の行く手を阻む。
『次は何かな?』
ゆっくりと扉を開けていく。
出てきたのは赤茶のサソリであった。
えっ!? なに?
素材がわからん。
しかし、尻尾は相変わらず油断出来ないようだ。
尻尾を向けてきたので回避する。
『ミリア右!』
一緒に右に飛ぶ。
飛んできた茶色い液体は地面に着くと固くなっていった。
えっ?
粘土。みたいな?
「レインからのぉー」
雨をふらせてまた電撃の作戦だ。
「ボルトォォォ」
バリッと音がしたが、サソリはビクともしない。何事も無かったかのようにこちらに来る。
『次は俺だ!』
こんなに距離が空いてるなら少しの隙を見ても大丈夫だろう。
ドラゴニック流 太刀術
『火竜《かりゅう》の咆哮《ほうこう》!』
巨大な火球が再びモンスターに迫る。
凄まじい熱風が吹き付け、かなり高音に晒されているようだ。
これなら倒せるだろう。
そう思ったが。
再び尻尾からの液体が上から来た。
『ミリア! 避けろ!』
俺は咄嗟に左に転がったが、ミリアの足に液体がついてしまったようだ。
徐々に固まっていく。
「なにこれぇぇ!」
赤茶のサソリだったのに少し白くなってテカリが出てきている。
どういうこと?
「ボルトォォォ」
雷撃を放つが全然ビクともしないようだ。
「これ! 何なのぉぉぉ!?」
あれは、もしかして粘土か!?
ってことは焼けて陶器になった!?
なら、電気は効くわけがねぇ。
ドラゴニック流 太刀術
『突竜《とつりゅう》』
甲高い音がするが、なんなく弾き返された。
一体こんな硬い陶器。
どうやって砕けばいいんだ?
刃物だと砕けないんじゃないだろうか?
尻尾に気を取られていてハサミに気が付かなかった。
ガッチリ腕を挟まれる。
ハサミを斬ろうと関節部に太刀を叩きつけるが、関節を上手いこと使って受け止められてしまった。
ヤバい。
なんだよこれ!?
無理やりハサミを蹴り飛ばす。
すると、左手の肘から先が持っていかれた。
おいいぃぃ!
何してくれてんだよ!?
「ナイル! 大丈夫? 腕もげちゃってるじゃん!」
『持ってかれた! この太刀は片手では技は使えないぞ!』
俺は片手で太刀を持っているが、この太刀は長い為、片手ではまだ安定しないのだ。
俺が未熟なだけなんだが。
くっそ!
動きづらい。
まずは鞘に収める。
横移動でサソリの狙いを定めないように惑わせる。ミリアを狙われてはダメだ。
俺はサソリの気を引き付けつつ移動する。
「私の魔法も効かないしなぁ」
なんだか一階での対策を練られたようなゲーマー風にいえばメタられた?
俺の炎の技も効かない。
太刀も効かない。
雷撃も効かない。
何かないか?
不確定要素。
あっ。
『ミリア? グンガさんに教えて貰ったガルン流空手いける? あれ砕けるか?』
「えぇー!? どうだろ? やってみるね!」
『俺が気を引くから頼む!』
「オッケー!」
片手を失って少しバランスが難しいが、陶器サソリの前をチョロチョロと動く。
ハサミで攻撃したのを避け。
少し懐に潜ると今度は尻尾で攻撃してくる。
今のを避けたことで体勢が崩れた。
『今だ! ミリア!』
「よぉーしっ!」
大きな掛け声を上げてサソリに肉薄する。
「行っくよぉ!」
足を肩幅に広げて右手を引き絞る。
上体を捻りあげ力を溜める。
「ガルン流 インパクトォォォ!」
所謂、正拳突きなのだが。
ミリアの渾身の突きが放たれた。
硬いもの同士がぶつかりあった様な硬質な音が響き渡る。その音の先にヒビが入ったような音が混じった。
『いったな! どこかがヒビ入ったぞ!?』
「いっっっっっっったぁぁぁぁあぁぁ」
硬いものを殴ったことがない拳は赤くなり、手が悲鳴をあげるように少し腫れているようにも見えた。
『大丈夫か!?』
「もぉぉぉやだぁぁ! 後よろしく!」
ここまでやってもらって引き下がる訳には行かないだろう。
ヒビが入った所をめがけてなんとか技を放つしかない。
この手で出せる技は一つだけある。
両手じゃないぶん威力は弱まるが、片手でなんとか出せる。
攻撃してくるサソリのハサミと尻尾を避けながらヒビが入っているところを探す。
先程攻撃した場所を検討をつけて肉薄する。
よーく見ると、ヒビが入っている箇所がある。
『ここだ! 決める!』
これは奥義の一歩手前と言われたほどの難易度が高い技だ。だが、片手で出せるのはこれしかない。
ドラゴニック流 太刀術
『竜牙滅閃《りゅうがめっせん》んんんん!』
鞘に収めていた太刀を片手で掴み、居合の要領で片手で太刀を抜き。勢いのまま瞬速の袈裟斬りを放つ。
速度は落ちるが、これでどうだ!?
ビシッと入ったヒビ。
えっ!?
それだけ!?
ビシビシビシビシと徐々に卵の殻のようにヒビが広がっていき、やがて全ての身体に行き渡ると甲高い音をたてて粉々に砕けた。
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