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62.宣戦布告
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『それでは、早速登録に行きましょうか!』
ホワイトさんに連れられて武闘大会が開かれている事になっている会場に選手登録をする為に向かっていた。
「ねぇ? 私も登録していいんだよね?」
『いいんじゃないか?』
俺が適当にそう言うと前を歩いていたトウカお嬢様が後ろを振り向いた。
『ミリアは絶対獣人部門で出ても勝てるわ! 私に勝ったんだもの!』
それから詳しく話を聞くと、トウカお嬢様は魔族学校でトップレベルの成績なんだとか。それに獣人族が勝つのはかなり難しいとのこと。
このトイロの常識では、魔力で運用されている身体の魔族の方が体力は無尽蔵だし魔法の使い方にも優れているから強い。というのが常識的な認識とのこと。
そこから考えるとミリアはやはり凄いらしい。しかも、ミリアは実は十九歳だ。まだ若い人族なのに凄いとのこと。
実はこれまでに蓄積したミリアのレベルは74である。人族でここまでレベルが上げることが出来るのはひと握りの人だけなのだ。
テイマーはテイムモンスターの倒した魔素も吸収するということだから、それだけ俺がモンスターを倒してきたということだ。
この世界の人族は魔族よりレベルが上がりにくいらしい。
だから、人族が進化出来たらけっこう凄いことなのである。
「そう? ふふん! やっぱり私は出るべきという事ね!」
『ミリア、あんまり調子に乗ると足元掬われるぞ?』
「うぅぅ。なんでそんな意地悪言うのよぉ」
眉をへの字に曲げて眉間に皺を寄せ、その顔をこちらに向ける。
『ミリアは大丈夫ですわ! ナイルさんもお強いんでしょうけど、ミリアには及ばないのでは無いですか?』
『はははっ。確かに戦った事はないからわからないねぇ』
トウカお嬢様は自分に勝ったミリアが相当強いと、そう思っているのだろう。実際、戦ったことはないからどちらが強いのかはわからない。
「あははははっ!」
ミリアが大きな声で笑いだした。
『なんで笑うのよ?』
トウカは腕を組んで胸を張っている。
何が可笑しいのかがわからずに不満げだ。
「私の方が強いとか、ないない! ねぇ? ナイルに勝てる人なんているの!?」
ミリアが笑いながらこっちを見て問いかけてくるが、俺が知るわけが無い。
『そ、そんなに強いんですの!?』
「ナイルは凄いよぉ? ドラゴンだって一刀両断したんだよね?」
『ん? んーそうだなぁ』
『それって本当なの!?』
トウカが身を乗り出して覗き込んでくる。
あの時は無我夢中だったからなぁ。
次現れたとしても、負ける気はないが。
そうこうしているうちに会場に着いた。
『この方たちの登録を頼む。強さは私が保証するよ』
『ハッコツ伯爵の推薦ですか! 楽しみですね!』
ホワイトさんがオークの魔族と鷹の獣人族に俺達を紹介し、推薦での出場となった。
推薦ということになれば舞踏大会に出るための試験のような物はパスできるとのこと。
通常の人達が出るには面倒な試験を通過しないといけないんだとか。
俺達はラッキーだったな。
しかし、俺は実力も何も見せてないけど、いいんだろうか?
『なんでナイルさんまで推薦したのか、不思議そうですね?』
俺そんなにわかりやすい?
『そうですね。俺は決闘の時も何もしてないですからね。疑問を持ちました』
『ミリアさんの信頼があるからです。お強いミリアさんでさえ、ナイルさんには適わないという。その言葉は信用出来るものだと思いました』
それは、俺を信用しているのではなくミリアを信用しているということ。間接的に俺が信用できると感じただけだ。
『お見逸れしました』
『はははっ。ナイルさん、あなたこともちゃんと信用していますよ?』
そういうと肩を叩き戻って行ってしまった。
やっぱり俺って分かりやすすぎるのか?
『これはこれは! トウカ様ではありませんか! こんな所で何をしているんです? まさか、武闘大会に出場する訳ではないですよね?』
現れたのはリビングアーマー族の一行である。あちらも執事のような感じの人を連れている。
『私が何をしようが、別に貴方には関係ないでしょ!?』
『そんな意識ではいけませんな! 私と一緒になるということは何かがあっては困るのですよ!最近はドラゴンが近くに現れているようですからなぁ! 』
会話の内容から推察するに、このリビングアーマー族がトウカお嬢様の婚約者とされている者らしい。
『その者達は何者ですか!? トウカ様に近づくでない! 私の物だぞ!』
リビングアーマー族が大きい声でまくし立てた。
『私は物ではありません! 私はこの人達に助けられたんです! この人達が武闘大会に出て、あなた達を打ち倒すでしょう!』
高らかにそう宣言したトウカお嬢様。
そんなこと言っていいのか?
作戦が台無しになるんじゃ?
『フンッ! どこの者とも分からないような、人族とスケルトン族に私が負ける? ありえない! そんなに言うなら、負けたらトウカ様が私の物になるのを認めるというのですね!?』
『分かったわよ! 認めるわ! 上等よ! この人達に勝てるわけないわ!』
『ハッハッハッ! それは楽しみですねぇ!? おい! お前たち! 精々首を洗って待っておけよ! 俺には首が無いから洗えないがなぁ!? ハッハッハッハッ!』
高らかに笑いながら元来た方へ戻って行ったリビングアーマー族。
何しに来たんだアイツ?
トウカお嬢様を見るとシュンとしている。
『トウカお嬢様、さっきまでの威勢はどうした?』
『やってしまいました。あんな事を言ってしまって、すみません!』
九十度の綺麗に腰を曲げた謝罪だった。
身体が震えているのが分かる。
『大丈夫か? 恐かったな? でも、大丈夫だ! 本番は俺がコテンパンにしてやるから見ててくれ!』
トウカお嬢様が上げた顔は嬉しそうだった。
骨だから、表情筋無いけどな。
トウカお嬢様の婚約破棄作戦が始まろうとしていた。
ホワイトさんに連れられて武闘大会が開かれている事になっている会場に選手登録をする為に向かっていた。
「ねぇ? 私も登録していいんだよね?」
『いいんじゃないか?』
俺が適当にそう言うと前を歩いていたトウカお嬢様が後ろを振り向いた。
『ミリアは絶対獣人部門で出ても勝てるわ! 私に勝ったんだもの!』
それから詳しく話を聞くと、トウカお嬢様は魔族学校でトップレベルの成績なんだとか。それに獣人族が勝つのはかなり難しいとのこと。
このトイロの常識では、魔力で運用されている身体の魔族の方が体力は無尽蔵だし魔法の使い方にも優れているから強い。というのが常識的な認識とのこと。
そこから考えるとミリアはやはり凄いらしい。しかも、ミリアは実は十九歳だ。まだ若い人族なのに凄いとのこと。
実はこれまでに蓄積したミリアのレベルは74である。人族でここまでレベルが上げることが出来るのはひと握りの人だけなのだ。
テイマーはテイムモンスターの倒した魔素も吸収するということだから、それだけ俺がモンスターを倒してきたということだ。
この世界の人族は魔族よりレベルが上がりにくいらしい。
だから、人族が進化出来たらけっこう凄いことなのである。
「そう? ふふん! やっぱり私は出るべきという事ね!」
『ミリア、あんまり調子に乗ると足元掬われるぞ?』
「うぅぅ。なんでそんな意地悪言うのよぉ」
眉をへの字に曲げて眉間に皺を寄せ、その顔をこちらに向ける。
『ミリアは大丈夫ですわ! ナイルさんもお強いんでしょうけど、ミリアには及ばないのでは無いですか?』
『はははっ。確かに戦った事はないからわからないねぇ』
トウカお嬢様は自分に勝ったミリアが相当強いと、そう思っているのだろう。実際、戦ったことはないからどちらが強いのかはわからない。
「あははははっ!」
ミリアが大きな声で笑いだした。
『なんで笑うのよ?』
トウカは腕を組んで胸を張っている。
何が可笑しいのかがわからずに不満げだ。
「私の方が強いとか、ないない! ねぇ? ナイルに勝てる人なんているの!?」
ミリアが笑いながらこっちを見て問いかけてくるが、俺が知るわけが無い。
『そ、そんなに強いんですの!?』
「ナイルは凄いよぉ? ドラゴンだって一刀両断したんだよね?」
『ん? んーそうだなぁ』
『それって本当なの!?』
トウカが身を乗り出して覗き込んでくる。
あの時は無我夢中だったからなぁ。
次現れたとしても、負ける気はないが。
そうこうしているうちに会場に着いた。
『この方たちの登録を頼む。強さは私が保証するよ』
『ハッコツ伯爵の推薦ですか! 楽しみですね!』
ホワイトさんがオークの魔族と鷹の獣人族に俺達を紹介し、推薦での出場となった。
推薦ということになれば舞踏大会に出るための試験のような物はパスできるとのこと。
通常の人達が出るには面倒な試験を通過しないといけないんだとか。
俺達はラッキーだったな。
しかし、俺は実力も何も見せてないけど、いいんだろうか?
『なんでナイルさんまで推薦したのか、不思議そうですね?』
俺そんなにわかりやすい?
『そうですね。俺は決闘の時も何もしてないですからね。疑問を持ちました』
『ミリアさんの信頼があるからです。お強いミリアさんでさえ、ナイルさんには適わないという。その言葉は信用出来るものだと思いました』
それは、俺を信用しているのではなくミリアを信用しているということ。間接的に俺が信用できると感じただけだ。
『お見逸れしました』
『はははっ。ナイルさん、あなたこともちゃんと信用していますよ?』
そういうと肩を叩き戻って行ってしまった。
やっぱり俺って分かりやすすぎるのか?
『これはこれは! トウカ様ではありませんか! こんな所で何をしているんです? まさか、武闘大会に出場する訳ではないですよね?』
現れたのはリビングアーマー族の一行である。あちらも執事のような感じの人を連れている。
『私が何をしようが、別に貴方には関係ないでしょ!?』
『そんな意識ではいけませんな! 私と一緒になるということは何かがあっては困るのですよ!最近はドラゴンが近くに現れているようですからなぁ! 』
会話の内容から推察するに、このリビングアーマー族がトウカお嬢様の婚約者とされている者らしい。
『その者達は何者ですか!? トウカ様に近づくでない! 私の物だぞ!』
リビングアーマー族が大きい声でまくし立てた。
『私は物ではありません! 私はこの人達に助けられたんです! この人達が武闘大会に出て、あなた達を打ち倒すでしょう!』
高らかにそう宣言したトウカお嬢様。
そんなこと言っていいのか?
作戦が台無しになるんじゃ?
『フンッ! どこの者とも分からないような、人族とスケルトン族に私が負ける? ありえない! そんなに言うなら、負けたらトウカ様が私の物になるのを認めるというのですね!?』
『分かったわよ! 認めるわ! 上等よ! この人達に勝てるわけないわ!』
『ハッハッハッ! それは楽しみですねぇ!? おい! お前たち! 精々首を洗って待っておけよ! 俺には首が無いから洗えないがなぁ!? ハッハッハッハッ!』
高らかに笑いながら元来た方へ戻って行ったリビングアーマー族。
何しに来たんだアイツ?
トウカお嬢様を見るとシュンとしている。
『トウカお嬢様、さっきまでの威勢はどうした?』
『やってしまいました。あんな事を言ってしまって、すみません!』
九十度の綺麗に腰を曲げた謝罪だった。
身体が震えているのが分かる。
『大丈夫か? 恐かったな? でも、大丈夫だ! 本番は俺がコテンパンにしてやるから見ててくれ!』
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