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~宣言解除後の日常(22)~
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倉橋は、無人の改札を一気に抜けて、足早に立ち去ろうとしていた。
が、呼びとめられて、足を止めざるを得なかった。心臓の音が、高鳴っている。切符の金額など、たかが知れているが、自分が悪いことをしているのは間違いなかった。
(否)
金額が少ないだけに、かえって恥ずかしさが倍増しているほどなのだ。
倉橋は、相手の声が聞こえないふりをして、さっさと、逃げだしたいくらいだった。
『ちょっと、あなた』
『ちょっと、あなた』
相手の警備員の男は、見上げるほどの大男である。
制帽の鍔のせいで、男の顔半分が影になっている。表情が分からない為に、著しく不気味である。
すぐに
「話があります」
男が切り出してくる。
「え?」
倉橋が声を上げた。
(男は何を言うつもりなのだろう?)
倉橋は、相手の口を黙って見つめていた。
すると、
「これから、警備室に来ていただけませんか?」
「警備室?」
「ええ」
男が頷く。
男の口調は予想より丁寧だった――だが、倉橋にとって、良くない状況であることは間違いなかった。
が、呼びとめられて、足を止めざるを得なかった。心臓の音が、高鳴っている。切符の金額など、たかが知れているが、自分が悪いことをしているのは間違いなかった。
(否)
金額が少ないだけに、かえって恥ずかしさが倍増しているほどなのだ。
倉橋は、相手の声が聞こえないふりをして、さっさと、逃げだしたいくらいだった。
『ちょっと、あなた』
『ちょっと、あなた』
相手の警備員の男は、見上げるほどの大男である。
制帽の鍔のせいで、男の顔半分が影になっている。表情が分からない為に、著しく不気味である。
すぐに
「話があります」
男が切り出してくる。
「え?」
倉橋が声を上げた。
(男は何を言うつもりなのだろう?)
倉橋は、相手の口を黙って見つめていた。
すると、
「これから、警備室に来ていただけませんか?」
「警備室?」
「ええ」
男が頷く。
男の口調は予想より丁寧だった――だが、倉橋にとって、良くない状況であることは間違いなかった。
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