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私達の約束
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宮久土先輩の部屋はワンルームのマンションだった。
室内は段ボールだらけだ。ほとんど開封されていない。
テーブルとベッドがあるきりで、キッチンにも洗面所にも何も置かれていない。
「引っ越してから、ここで寝たの五回くらいかも」
と宮久土先輩は言う。
ほとんど海外に行っていたので、この部屋には帰ってきていなかったらしい。高校生の頃に通っていた先輩のアパートを思い出す。今この部屋もまた、生活感がなく、まるで隠れ家のようだ。
「冷蔵庫がないですね」
キッチンカウンターから覗き込んでふと口にしたら、
「うん、明日買いに行く」
と端的に返って来た。
行ってくるね、とだけ言い、宮久土先輩はシャワーを浴びに行く。戻ってきた宮久土先輩は、私にもシャワーをすすめてきた。
ここに来る前に下着を買っていた。シャワーを浴びて新品の下着を着用する。その準備万端な感覚は気恥ずかしい。
私だけがとても前のめりで、勘違いしているのかもしれない、と思えたからだ。
洗面室から出たら途端に抱きしめられた。
待ってた、と先輩は言う。
見あげたら視線が交わって、考えていることが分かった。口元にキスが降って来る。何回も何回もキスされて抱きしめられたら、力が抜けて来てしまった。
いっぱいキスして、あちこち触ったら―――――。
昔々そう言われたことを、私は覚えている。
室内は段ボールだらけだ。ほとんど開封されていない。
テーブルとベッドがあるきりで、キッチンにも洗面所にも何も置かれていない。
「引っ越してから、ここで寝たの五回くらいかも」
と宮久土先輩は言う。
ほとんど海外に行っていたので、この部屋には帰ってきていなかったらしい。高校生の頃に通っていた先輩のアパートを思い出す。今この部屋もまた、生活感がなく、まるで隠れ家のようだ。
「冷蔵庫がないですね」
キッチンカウンターから覗き込んでふと口にしたら、
「うん、明日買いに行く」
と端的に返って来た。
行ってくるね、とだけ言い、宮久土先輩はシャワーを浴びに行く。戻ってきた宮久土先輩は、私にもシャワーをすすめてきた。
ここに来る前に下着を買っていた。シャワーを浴びて新品の下着を着用する。その準備万端な感覚は気恥ずかしい。
私だけがとても前のめりで、勘違いしているのかもしれない、と思えたからだ。
洗面室から出たら途端に抱きしめられた。
待ってた、と先輩は言う。
見あげたら視線が交わって、考えていることが分かった。口元にキスが降って来る。何回も何回もキスされて抱きしめられたら、力が抜けて来てしまった。
いっぱいキスして、あちこち触ったら―――――。
昔々そう言われたことを、私は覚えている。
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