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嫉妬心

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「なんで、お前がヴィルヘルムの婚約者なんだ。あんな手紙を送っておきながら、まんまと婚約者におさまるなんて」
 あんな手紙?

 苦々しく呟くレイナード様のお言葉に、焦りの気配を感じた。
 ヴィルヘルム様に何か特別な思いを持っているのかもしれない。

 私の手紙をレイナード様が見た?そしてそれを、エルドナード様がウィリエール様のお部屋の前でなくしてしまったのかもしれない。

 手紙が届いた謎が解けたように思う。ただ、そこにまつわる個人の感情は分からない。

 どんな思いでヴィルヘルム様あての手紙を、レイナード様が手にしたのか。そしてレイナード様がお持ちになっていた手紙をエルドナード様がどんなお気持ちで手にしていたのか。

 私には分からないけれど――――

 今分かるのは危険だということだ。

 レイナード様の苛立ちの眼差しにはぎらりとした好奇の光が差す。私の胸元や腿の間に注がれる視線には、嫌悪の他に欲望の気配があった。

「抱く気にはなれないが、吐き出し口として程度なら。それなりに見れなくもない」
 エルドナード様の視線はもっと率直だ。

「傷一つないな。どこかの令嬢と遜色もない。だが、ライオネルともそしてヴィルヘルムとも姦通しているのかもしれない」

 言葉に含まれる焦りは、そのまま行動になる。エルドナード様は私の腿の間を割り広げた。ご自分のボトムスの前を開き、這い入ってこようとする。
 その場で熱風が生まれた。

「何だっ?」
 とレイナード様が声をあげたときには、エルドナード様の手に火が燃えうつっている。私の口元を押さえていたレイナード様の手には、鋼の針が刺さっていた。
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