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即位の十夜目

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 ウィリエール様は麗やかな春の日を思わせる穏やかな表情をなさる。

「ミリア、大好き」
「私もお慕いしております」

「ミリアを護るよ。害する者は許さない」

 時折差し込む狂気の光により、生者どころか死者をも支配する脅威の王だ。

 私の君主は、この国の主になった。
 私は膨らみかけた下腹部を撫でる。

 この子は一体誰の子なのか?
 もし、あの望まぬ一夜の子どもだとすれば、命が危ういだろう。

 正当なウィリエール様の後継者であるならば、ノーストスの次期国王になるのかもしれない。

 戦いの火種がある場所にこそ、軍神は必要だ。今後もきっと何か起こるに違いない。

 けれど今はひとまず、我が主の即位を素直に喜ぼうと思うのだ。

                                                        Fin.
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