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黄と赤と緑と……
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私の本当の父親は、絵を描いていて共同制作だった人に殺されていた。
原因は、一人の女の人の絵だったらしい。
【親愛なる友人】という題の画だ。
遺品の中に初版の画集があり、私は見たことがあった。
その絵を見て、まず、この絵を描いた人は相手を友達だなんて、思っていないじゃん、と私は思う。
情念、愛憎?どろどろとしたものが見えた。
私はその時点で、男の人というものが嫌いになる。
そして同じように、この絵を描いたという会ったこともない人物も嫌いになった。
私は小さい頃から一緒の碧衣だけが好きだ。
だから、碧衣にも私だけを好きでいて欲しかった。
でも、碧衣の世界はどんどん広がっていく。放っておいたら、私は数いる好きな人の一人になってしまう。
仲のいい子が出来る度に、
「好きなの?」
と聞けば、
「うん」
と簡単に言うのだから。
私の中には確実に焦りが生まれる。
好きな人と言えば、恋愛対象。
そんな風な文脈を共有する年齢になって来て、
「その人、私よりも好きなの?」
とは聞けなくなる。
聞いたらきっと、花菜野とは違う種類だよ、と言われるのは想像できた。
私が碧衣となれない関係に、唯一なれるのは、男の人の身体を持っている人だ。そして、碧衣が好きな相手。
怪しい人物は、二人、高校一年生の時に登場した。
この二人なら、いいかもしれない。
麻井緋々来と柘常盤。
その二人は見栄えとしても、頭の良さとしても、悪くないと思った。
それに、何より、私に興味がなさそうだ。それがいい。
原因は、一人の女の人の絵だったらしい。
【親愛なる友人】という題の画だ。
遺品の中に初版の画集があり、私は見たことがあった。
その絵を見て、まず、この絵を描いた人は相手を友達だなんて、思っていないじゃん、と私は思う。
情念、愛憎?どろどろとしたものが見えた。
私はその時点で、男の人というものが嫌いになる。
そして同じように、この絵を描いたという会ったこともない人物も嫌いになった。
私は小さい頃から一緒の碧衣だけが好きだ。
だから、碧衣にも私だけを好きでいて欲しかった。
でも、碧衣の世界はどんどん広がっていく。放っておいたら、私は数いる好きな人の一人になってしまう。
仲のいい子が出来る度に、
「好きなの?」
と聞けば、
「うん」
と簡単に言うのだから。
私の中には確実に焦りが生まれる。
好きな人と言えば、恋愛対象。
そんな風な文脈を共有する年齢になって来て、
「その人、私よりも好きなの?」
とは聞けなくなる。
聞いたらきっと、花菜野とは違う種類だよ、と言われるのは想像できた。
私が碧衣となれない関係に、唯一なれるのは、男の人の身体を持っている人だ。そして、碧衣が好きな相手。
怪しい人物は、二人、高校一年生の時に登場した。
この二人なら、いいかもしれない。
麻井緋々来と柘常盤。
その二人は見栄えとしても、頭の良さとしても、悪くないと思った。
それに、何より、私に興味がなさそうだ。それがいい。
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