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第19話 王都へ出発
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朝からわたしの周りは騒がしい。
カーテンからうっすらと陽が差し込む頃、まだベッドに眠っている時間にロナが起こしに現れた。
いつもはもっと遅い時間にやってくるので、私は既に起きているのだが……
ん?
眠たいなぁと目をこすっていると、
ロナに続き、ゾロゾロと女性たちが入ってきた。
ん? んっ?
うつろうつろしていた私の頭も、何事かと驚き、目が覚めた。
慌てて見渡すと、以前ジョセフィーヌ様のところでの衣装合わせで見た人たちだった。
あっ、そうだ。
今日はケント様と舞踏会へ出かける日だ!
「「「「リナ様、おはようございますっ」」」」
みんなの声が、まだ寝ぼけている頭に響く。
決して大声ではないのだが、人数が揃うとそれなりに大きい。
「それでは、仕度に取りかからせていただきますね」
リーダーと思われる女性の声がして……
私はそのまま浴室へと連れていかれる。
両脇を支えられて、まさに連行されている状態だ。
目でロナに助けを求めてみるが、彼女は彼女で忙しそうに動いていて、視線が合わない。
くぅ~っ。
起きてすぐの湯船はね、なんか体がびっくりしている感じ?
その分、頭はスッキリした。
念入りに、念入りに磨かれているのがわかる。
丁寧な手つきなんだろうけれど、力が強めで微妙に痛い。
ロナは私が世話をやかれることに慣れていないとわかっていて、かなり手加減してくれている。
彼女たちではそうはいかない。
いつもの倍の時間をかけ、磨き上げられた私。次はサッパリとした香りのオイルを塗り込まれる。
とってもいい香り。
お湯につかり、マッサージされて、体がポカボカする。
背中を触られると、こそばゆくって……
「むっ、むふっ」
笑ってしまいそうな口を何とか引き締め、耐える。
マッサージを終えた私は、バスローブの上にまたローブで包まれ、女性たちに囲まれ移動する。
部屋へ戻ると、テーブルには湯気がたちのぼる美味しそうな朝食が、準備されていた。
すっごく食欲を刺激する香りが漂ってくる。
ぐう~っ
大きな音が部屋中に響いて、恥ずかしいっ。
朝からバタバタして、体力使って、そりゃお腹すくよね。
「さぁさ、リナ様、お腹がすいていては戦えませんよ。しっかり食べてくださいね」
朝食をすすめられるが、これからコルセットが待っているんだよね?
今回は私が使っていた腰痛コルセットで対応してくれることになっているけれども。
それでも信じられないくらいグイグイッしめられたからっ!
今日もそうなるのよね?
そう考えると、食べる量は控えめにしておこうと思う。
パンはほんの少しにして、フルーツヨーグルトを食べる。
なんとなくぽっこりお腹にはならない気がして……
食事が終わると、いつもより濃いめのくっきりメイクを施される。
目鼻立ちがくっきりして、少し強そうな私に変身だ。
髪は緩く巻いて、サイドをくるりとねじりまとめてとめてある。
「さぁ、行きますよ!」
力強い掛け声の後、グイグイッと腰痛コルセットをひっぱられる。
まぁこのコルセットをきつくしめるのには限度がある。
だから助かるのだけれど、それでも自らしめるよりはかなりきつい。
ぐったりした体に、目の覚めるような鮮やかなスカイブルーのドレスを纏っていく。
ドレスは華やかであり、スカート部分の繊細なレースがほんの少し甘さを出している。
ジョセフィーヌ様よりお借りしたアクセサリーが更に華やかさを追加。
どこの貴族令嬢でしょうか?と間違えられそうなゴージャスな私の出来上がりだ。
しばらくすると、
「リナ、用意が終わったと連絡が来たんだが……」とケント様が現れた。
うわぁ~っ、うわっ。
ケント様、いつものゆったりスタイルではなく、ピシッと体のラインに沿ったスーツ姿は新鮮だ。
何割か増してかっこよく見える。
せっかくスタイルがいいのに、若干猫背なのが残念だ。
スーツはブルーグレーの少し光沢のある生地で袖や衿に控えめに施された刺繍にはスカイブルーの糸が使われていて、よく見ると私のドレスと対になっているようだ。
私のスカート部分のレース。
レースの糸がケント様のスーツの色だわ。
並ぶ私たちを見て、みなが満足そうにうなずいている。
今日はパートナーとして参加するわけだから、対の衣装で問題ないのかな?
でも、ケント様の婚活は大丈夫?
悪影響を及ぼさない?
婚約者も彼女もいないのなら、今日の集まりは出逢いのチャンスなのでは?
ケント様を見ると、ドアの前で動きが止まっている。
ん?どうしてしまったのでしょう?
口元を手で押さえ、少し俯いている。
「……リナ……キレイだ……」
彼が小さな小さな声でつぶやいた後、はっと失敗したって顔をした。
誉めて損したとでも思ったんですかね?
「リナ、行こう!」
ケント様のエスコートで馬車へと向かう。
玄関前で、みなに、
「「「「行ってらっしゃいませ」」」」
と送り出される。
声が揃っていて、まるで小説の世界にいるみたいだ。
私たちが馬車に乗り込むと、馬車はゆっくりと速度を上げていく。
初めて乗る馬車の揺れに洗礼を受ける。
なんとか酔いを和らげたくて、外を眺めたり、楽しいことを考えてみたりしたけれどダメ。
「窓を開けてもらえませんか?」と聞いてみたのだが、窓は開かない造りだそうで……
ケント様にお願いして目をつぶってもらい、通常なら有り得ないのだが、馬車の中でコルセットを緩めさせてもらった。
使い慣れた腰痛コルセットだから自分で調整できて助かった……
カーテンからうっすらと陽が差し込む頃、まだベッドに眠っている時間にロナが起こしに現れた。
いつもはもっと遅い時間にやってくるので、私は既に起きているのだが……
ん?
眠たいなぁと目をこすっていると、
ロナに続き、ゾロゾロと女性たちが入ってきた。
ん? んっ?
うつろうつろしていた私の頭も、何事かと驚き、目が覚めた。
慌てて見渡すと、以前ジョセフィーヌ様のところでの衣装合わせで見た人たちだった。
あっ、そうだ。
今日はケント様と舞踏会へ出かける日だ!
「「「「リナ様、おはようございますっ」」」」
みんなの声が、まだ寝ぼけている頭に響く。
決して大声ではないのだが、人数が揃うとそれなりに大きい。
「それでは、仕度に取りかからせていただきますね」
リーダーと思われる女性の声がして……
私はそのまま浴室へと連れていかれる。
両脇を支えられて、まさに連行されている状態だ。
目でロナに助けを求めてみるが、彼女は彼女で忙しそうに動いていて、視線が合わない。
くぅ~っ。
起きてすぐの湯船はね、なんか体がびっくりしている感じ?
その分、頭はスッキリした。
念入りに、念入りに磨かれているのがわかる。
丁寧な手つきなんだろうけれど、力が強めで微妙に痛い。
ロナは私が世話をやかれることに慣れていないとわかっていて、かなり手加減してくれている。
彼女たちではそうはいかない。
いつもの倍の時間をかけ、磨き上げられた私。次はサッパリとした香りのオイルを塗り込まれる。
とってもいい香り。
お湯につかり、マッサージされて、体がポカボカする。
背中を触られると、こそばゆくって……
「むっ、むふっ」
笑ってしまいそうな口を何とか引き締め、耐える。
マッサージを終えた私は、バスローブの上にまたローブで包まれ、女性たちに囲まれ移動する。
部屋へ戻ると、テーブルには湯気がたちのぼる美味しそうな朝食が、準備されていた。
すっごく食欲を刺激する香りが漂ってくる。
ぐう~っ
大きな音が部屋中に響いて、恥ずかしいっ。
朝からバタバタして、体力使って、そりゃお腹すくよね。
「さぁさ、リナ様、お腹がすいていては戦えませんよ。しっかり食べてくださいね」
朝食をすすめられるが、これからコルセットが待っているんだよね?
今回は私が使っていた腰痛コルセットで対応してくれることになっているけれども。
それでも信じられないくらいグイグイッしめられたからっ!
今日もそうなるのよね?
そう考えると、食べる量は控えめにしておこうと思う。
パンはほんの少しにして、フルーツヨーグルトを食べる。
なんとなくぽっこりお腹にはならない気がして……
食事が終わると、いつもより濃いめのくっきりメイクを施される。
目鼻立ちがくっきりして、少し強そうな私に変身だ。
髪は緩く巻いて、サイドをくるりとねじりまとめてとめてある。
「さぁ、行きますよ!」
力強い掛け声の後、グイグイッと腰痛コルセットをひっぱられる。
まぁこのコルセットをきつくしめるのには限度がある。
だから助かるのだけれど、それでも自らしめるよりはかなりきつい。
ぐったりした体に、目の覚めるような鮮やかなスカイブルーのドレスを纏っていく。
ドレスは華やかであり、スカート部分の繊細なレースがほんの少し甘さを出している。
ジョセフィーヌ様よりお借りしたアクセサリーが更に華やかさを追加。
どこの貴族令嬢でしょうか?と間違えられそうなゴージャスな私の出来上がりだ。
しばらくすると、
「リナ、用意が終わったと連絡が来たんだが……」とケント様が現れた。
うわぁ~っ、うわっ。
ケント様、いつものゆったりスタイルではなく、ピシッと体のラインに沿ったスーツ姿は新鮮だ。
何割か増してかっこよく見える。
せっかくスタイルがいいのに、若干猫背なのが残念だ。
スーツはブルーグレーの少し光沢のある生地で袖や衿に控えめに施された刺繍にはスカイブルーの糸が使われていて、よく見ると私のドレスと対になっているようだ。
私のスカート部分のレース。
レースの糸がケント様のスーツの色だわ。
並ぶ私たちを見て、みなが満足そうにうなずいている。
今日はパートナーとして参加するわけだから、対の衣装で問題ないのかな?
でも、ケント様の婚活は大丈夫?
悪影響を及ぼさない?
婚約者も彼女もいないのなら、今日の集まりは出逢いのチャンスなのでは?
ケント様を見ると、ドアの前で動きが止まっている。
ん?どうしてしまったのでしょう?
口元を手で押さえ、少し俯いている。
「……リナ……キレイだ……」
彼が小さな小さな声でつぶやいた後、はっと失敗したって顔をした。
誉めて損したとでも思ったんですかね?
「リナ、行こう!」
ケント様のエスコートで馬車へと向かう。
玄関前で、みなに、
「「「「行ってらっしゃいませ」」」」
と送り出される。
声が揃っていて、まるで小説の世界にいるみたいだ。
私たちが馬車に乗り込むと、馬車はゆっくりと速度を上げていく。
初めて乗る馬車の揺れに洗礼を受ける。
なんとか酔いを和らげたくて、外を眺めたり、楽しいことを考えてみたりしたけれどダメ。
「窓を開けてもらえませんか?」と聞いてみたのだが、窓は開かない造りだそうで……
ケント様にお願いして目をつぶってもらい、通常なら有り得ないのだが、馬車の中でコルセットを緩めさせてもらった。
使い慣れた腰痛コルセットだから自分で調整できて助かった……
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