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第2章
#1
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退院から2週間後、言われた通り処方された薬を飲み俺はまた、あの病院へと戻って来ていた。
「うん、状態は良さそうですね。家では何食べてるの?」
2週間経っても佐々木先生は何も変わっていなくて、穏やかな顔で笑う。
俺は自分の2週間を振り返った。
「……基本は、おにぎりとカップの味噌汁とおしんことかの漬物を3つ、1日1回くらいで食べてます」
調子悪い時はウィダーとかを流し込むか、水で終わらすか。
それでも、病院に来た当初よりはだいぶ食べている方だ。
「うんうん。戦前の日本食みたいだねぇ」
(それは褒めてるのか?)
俺はよく分からないコメントをされ「はあ……」とだけ返す。
「とりあえず、何かしら食べようとしてくれてて良かったよ。最悪、サプリメントでも良いんだけど、それだとエネルギーが摂れないから、おにぎりは食べ続けて欲しいかな。勿論、無理のない範囲で」
佐々木先生の言葉に頷き「じゃあ次は1ヶ月後にしようね」と予約を入れてもらって診察が終わった。
会釈をして診察室から出る。
会計待ちをして名前を呼ばれたらセルフ精算機で精算をした。
(病院でもセルフなんだ……)
医学の発達も目覚ましいが技術の発展も凄まじいスピードで進んでいるのだな、と思いながら会計を済ませ正面玄関に向かおうとした時、ガラス張りの窓から中庭が見えた。
待合室は基本的にガラス張りになっており、中から外が見える構造だ。
日差しが強い時はブラインドを閉めているらしい。
何の気なしに中庭を眺める。
あのベンチはここから見るとどこだろうか、と、いつの日か文月さんと座ったベンチを探してみると、少し奥まったところの大きな木の下にちゃんと置かれていた。
(あ、)
噂をすれば……というやつなのかもしれない。
ガラス越しに見ると、そのベンチには文月さんと見知らぬ女性が並んで座っていた。
よく目を凝らして見てみると、女性は衰弱している様子で何やら口を動かしているので、きっと文月さんが話を聞いてやっているのだろう。
白衣を着て見覚えのある黒いバインダーをみると懐かしくて、少し頬が緩む。
「お、どうしたの?美澄さん」
後ろから声をかけられ、肩をびくつかせつつ振り返ると、手にコンビニの袋を持った佐々木先生が立っていた。
「あ、いえ……中庭が懐かしいなと思って」
そう言うと、佐々木先生は少し身を乗り出して覗き「ああ、飛鳥がいるのね」と言った。
(いや……中庭が懐かしんだってば)
と思ったが、言えるわけもなく。
佐々木先生が持っているビニール袋に目をやる。
「お昼ですか?」
「そ。そこの売店で買ってきたんだ~」
のんびり言う佐々木先生は、バッとビニールの中身を見せてくる。
そこに入っていたのは、栄養ドリンク3本と2種類のおにぎりだった。
「あ、今、『人には食えって言うくせに』って顔したな」
佐々木先生の言葉に「……へへ」と笑って誤魔化す。
「ま、医者の不養生ですな」
佐々木先生はそう言いながら「気をつけて帰ってね~」と手を振って行ってしまった。
なんとなく会釈をして、もう一度帰る前に中庭に目を向けた。
「うわ……」
思わず声が出てしまった。
文月さんたちが座っているベンチにたまたま目を向けたら、文月さんが女性の肩を抱きつつもハンカチを差し出して、心なしかオドオドしていた。
周りをキョロキョロしつつも、顔を覆って泣いているのか、取り乱した様子の女性を労わる姿が目に入る。
(ハンカチ……誰にでも渡すんだな)
なんでかほんの少しだけ胸がちくっとした気がする。
モヤモヤ……と言うべきか。
でもなんで心がざわついているのか俺には分からない。
文月さんが差し出しているハンカチを見て、ふと思い出した。
(そういえば、ハンカチ洗って返さなきゃな)
次の診察が1ヶ月後ならその前に返したほうがいいよな。
……だって、俺以外にも貸してるなら……なくなっちゃうもんね。
俺は中庭に背を向けて、病院を後にした。
「うん、状態は良さそうですね。家では何食べてるの?」
2週間経っても佐々木先生は何も変わっていなくて、穏やかな顔で笑う。
俺は自分の2週間を振り返った。
「……基本は、おにぎりとカップの味噌汁とおしんことかの漬物を3つ、1日1回くらいで食べてます」
調子悪い時はウィダーとかを流し込むか、水で終わらすか。
それでも、病院に来た当初よりはだいぶ食べている方だ。
「うんうん。戦前の日本食みたいだねぇ」
(それは褒めてるのか?)
俺はよく分からないコメントをされ「はあ……」とだけ返す。
「とりあえず、何かしら食べようとしてくれてて良かったよ。最悪、サプリメントでも良いんだけど、それだとエネルギーが摂れないから、おにぎりは食べ続けて欲しいかな。勿論、無理のない範囲で」
佐々木先生の言葉に頷き「じゃあ次は1ヶ月後にしようね」と予約を入れてもらって診察が終わった。
会釈をして診察室から出る。
会計待ちをして名前を呼ばれたらセルフ精算機で精算をした。
(病院でもセルフなんだ……)
医学の発達も目覚ましいが技術の発展も凄まじいスピードで進んでいるのだな、と思いながら会計を済ませ正面玄関に向かおうとした時、ガラス張りの窓から中庭が見えた。
待合室は基本的にガラス張りになっており、中から外が見える構造だ。
日差しが強い時はブラインドを閉めているらしい。
何の気なしに中庭を眺める。
あのベンチはここから見るとどこだろうか、と、いつの日か文月さんと座ったベンチを探してみると、少し奥まったところの大きな木の下にちゃんと置かれていた。
(あ、)
噂をすれば……というやつなのかもしれない。
ガラス越しに見ると、そのベンチには文月さんと見知らぬ女性が並んで座っていた。
よく目を凝らして見てみると、女性は衰弱している様子で何やら口を動かしているので、きっと文月さんが話を聞いてやっているのだろう。
白衣を着て見覚えのある黒いバインダーをみると懐かしくて、少し頬が緩む。
「お、どうしたの?美澄さん」
後ろから声をかけられ、肩をびくつかせつつ振り返ると、手にコンビニの袋を持った佐々木先生が立っていた。
「あ、いえ……中庭が懐かしいなと思って」
そう言うと、佐々木先生は少し身を乗り出して覗き「ああ、飛鳥がいるのね」と言った。
(いや……中庭が懐かしんだってば)
と思ったが、言えるわけもなく。
佐々木先生が持っているビニール袋に目をやる。
「お昼ですか?」
「そ。そこの売店で買ってきたんだ~」
のんびり言う佐々木先生は、バッとビニールの中身を見せてくる。
そこに入っていたのは、栄養ドリンク3本と2種類のおにぎりだった。
「あ、今、『人には食えって言うくせに』って顔したな」
佐々木先生の言葉に「……へへ」と笑って誤魔化す。
「ま、医者の不養生ですな」
佐々木先生はそう言いながら「気をつけて帰ってね~」と手を振って行ってしまった。
なんとなく会釈をして、もう一度帰る前に中庭に目を向けた。
「うわ……」
思わず声が出てしまった。
文月さんたちが座っているベンチにたまたま目を向けたら、文月さんが女性の肩を抱きつつもハンカチを差し出して、心なしかオドオドしていた。
周りをキョロキョロしつつも、顔を覆って泣いているのか、取り乱した様子の女性を労わる姿が目に入る。
(ハンカチ……誰にでも渡すんだな)
なんでかほんの少しだけ胸がちくっとした気がする。
モヤモヤ……と言うべきか。
でもなんで心がざわついているのか俺には分からない。
文月さんが差し出しているハンカチを見て、ふと思い出した。
(そういえば、ハンカチ洗って返さなきゃな)
次の診察が1ヶ月後ならその前に返したほうがいいよな。
……だって、俺以外にも貸してるなら……なくなっちゃうもんね。
俺は中庭に背を向けて、病院を後にした。
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