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第10章
#10
しおりを挟む――『要は変なところガサツだからなぁ』
――『康祐さんが細かいんだって!』
――『あ、その本まだ読んでいたのに』
――『康祐さん細いくせに本はいつも読みっぱなしなのなんでなの』
――『要、今度の土曜日この映画観に行かない?』
――『?何これ』
――『バース性のない世界の恋愛ドラマ』
――『えぇ?ファンタジー?』
――『……きっと、違うかも』
――『え?まあ、康祐さんが観たいならいいよ!』
――『ね、康祐さんさ。もしこの世にバース性がなくてさ、俺がオメガでもなくて普通の男で、康祐さんもアルファとかじゃなくて普通の男だったら、どうしてた?』
――『それでも、要と会いたいな』
――『康祐さん。康祐さんはちゃんと毎日……どこへ行っても帰ってきてくれるよね?』
――『急に泣いたかと思ったら。なんだ、そんなこと心配してたの?』
――『大丈夫、ちゃんと――……』
「……めさん、要さん」
「……は、」
目を開ければ、心配そうに覗き込む文月さんの顔が目の前にあった。
疲労感の抜けた彼の顔を見て、俺もきっと同じような顔をしているのだろうなと、消え去った頭痛に思いを馳せた。
「うなされていたので……」
水飲みますか?と言う文月さんの背中を見つめる。
ベッドサイドに座る彼は、ひとまずパンツとズボンを履くことにしたようで、「よいせ」だなんて呟いて服を着ている。
その背中は俺より広くて、逞しい。
俺のつけたらしき引っ掻き傷もあって、なんだか不思議な気分になる。
「要さん?」
何も答えない俺を不思議に思った文月さんは「無理させちゃいましたか?」と心配げに眉を寄せて俺の頬を撫でる。
俺は文月さんの頬に手を伸ばした。
仏頂面のくせに頬も柔らかかった。
「……文月さん」
少し掠れた声で名前を呼ぶ。
文月さんは「はい」といつもの調子で返事をしてくれた。
俺はその頬に手を添えた。
「文月さんは、……ちゃんと帰ってきてくれますか」
どこにいても、何をしていても。
頬を撫でる俺の手を上から包み込み、文月さんは微笑む。
「貴方が望むままに」
「……ふふ」
その答えは文月さんらしくて、俺は笑ってしまった。
「泣いているから、何事かと思いました」
安堵した声で言う文月さんに、俺はまた自分が泣いていたのだと知る。
目尻を拭いながら言った。
「文月さんが帰ってくるなら、俺はもう泣いたりしませんよ」
ちゃんと帰ってくれるなら。
「死ぬまでおかえりって、言わせてね」
そうしたら、エンドロールでは何て流れるのだろう。
妻……も違うし、恋人……?
でももし、結婚したら……夫?
番になったら、番と書かれてしまうのだろうか……。
……まさか、患者Aじゃあるまいし。
「じゃあ要さんは、俺のそばでずっと笑っていてくださいね」
何もついていない左手の薬指に、そっとキスを落とされた。
――『……死ぬ時こそ、大好きな人たちの大好きな顔をみてから死にたいじゃないですか』
かつての文月さんが目を伏せて語ったエンドロール。
今の文月さんは、俺の目の前でとろけたような甘い顔をしながら俺を見つめている。
彼のエンドロールにはきっと、俺のこの熱に浮かされた腑抜けた顔がたくさん映ってしまうのだろうな。
それは少し気恥ずかしくて……ちょっぴり愛おしいかもしれないね。
(だから、)
この顔が、貴方にとって『大好きな顔』になりますように。
彼のうなじに、そっとキスを落とした。
[end.]
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素敵な作品ありがとうございました!
猫丸さんー!!
完結まで読んでくださってありがとうございました〜!!😭
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こちらこそ、読んでくださりありがとうございました!!
かのこさん、初めまして!
最後まで読んでくださりありがとうございました〜!☺️
私も終わったなぁと思いながら、まさしくエンドロールをみている気分で書き終わりに浸っておりました笑
朔さん側のお話もスピンオフのような形で書いたり、文月と要のその後のお話を私も書きたいなぁと思っているので、その際はまた読んでやってくださったら嬉しいです〜!!
見守ってくださりありがとうございました!
またどこかで機会がありましたら、よろしくお願いします☺️💖
猫丸さんーーーーー!?
まさか読んでくださってありがとうございます😭😭😭
色々と苦難を乗り越えているありふれた一人の人生を描きたかったので、何かしらが心に触れてくださって嬉しいです!!😭
お忙しい中、本当にありがとうございます!!!!!