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「これ、起きよ坊主」
コンっと頭を叩かれた振動で俺は眠りから覚まされた
「んあ」と開いていた口を閉じて流れ出ていた涎を吹く。
そんな俺をアルゼンチノサウルスみたいな顔をした老人が呆れ顔で見下ろしていて
おお、そう言えば俺、竜だったけって思い出す。
竜っていうか羽がないからさ、土竜って恐竜ぽいんだよな。
よっこいしょっと。俺の勝手な感想を胸ン中で思って俺は立ち上がる。
基本何事にものんびりな土竜。そん中でもご老体なおん爺さんは随分と気長だ。
だいたい草食だし争うようなこともない。有限なのかと思えるほどの時間もある。
長生きなのだと一万年はゆうに生きるという俺達にはこのくらいのテンションが
しっくりと合っているんだろうか。なんとも間延びな感じだが嫌いじゃなかった。
「人となりたいとな」
「ん?ああ、そうそうそれ」
眠る前に言っていたことを思い出して頷く。
すっかり忘れてた俺の態度にもおん爺さんは気に留める様子もなく
一応最強種の竜である余裕か優雅に俺に背を向けて自分の家のある方角へと
向かって歩き始める。
俺も無言でそれについていく。
ここら辺は10年の付き合いで了解済みだ。
どこの巨大洞窟?みたいなおん爺さんの家について待っていると
小石ほどの石ころのようなものを投げてよこされる。
ただの石じゃない。魔石だ。水晶のようでだけど黒い。
「人化の術が入った石よ。昔、ここに立ち寄った赤竜が寄こしおった」
真ん中に何かが息づくようなきらめきがある。
これが術が入っているってことか。
納得して使い方を教わろうとおん爺さんを見上げる。
「しっかし、土竜で人間になりたいなぞけったいな奴よの。
お前のような奴は久々じゃ」
爺さんが長い首を振って笑う。
だろうな。土竜はその特徴に無欲がある。
竜は元々長生き過ぎて執着心が薄い。
赤竜のようなキンキラ金が好きで動きまくって好戦的なのもいるが
ほとんどのは悠久の時を生きるが故にどこか淡白なのが多い。
その中でも土竜っていうのは眠るのが仕事かっていうくらい
何かをすることもなく望むことなく
流れる時間を過ごしていくとてもおとなしい奴らだ。
そしてそんな奴らは大概、欲がなく、群れの外の世界にも興味を示さない
でも俺は違う。人間の記憶がそれを許さない。
人間ってのは竜から見ればせっかちで短い一生を急ぎ足で
せかせか生きているように見える
俺も俺の中の人間だった記憶がそうさせるのか土竜にしては行動的に育った。
「使い方はその石で自分で覚えよ。わし等土竜は人化など好んでせん。
わしもやり方なんぞ忘れたわ。自分で覚えて、そうさの人に興味がわいたのなら
人の世界とやらを1000年くらい見て来たらいいぞ。」
長い首を器用に動かして
眠くなったか欠伸をしたおん爺さんは
俺にもう行けと手を振った。
手とり足取りとはいかずとも少しくらいは教えてもらえると思ったが
残念だ。
石を手にして爺さんの家を後にする。
まあ一人で試してみるか。
駄目ならダメになってから考えよう。
こういうところは人間より竜だな。
俺はとりあえず広場に向かいぽてぽてと歩き出した。
「これ、起きよ坊主」
コンっと頭を叩かれた振動で俺は眠りから覚まされた
「んあ」と開いていた口を閉じて流れ出ていた涎を吹く。
そんな俺をアルゼンチノサウルスみたいな顔をした老人が呆れ顔で見下ろしていて
おお、そう言えば俺、竜だったけって思い出す。
竜っていうか羽がないからさ、土竜って恐竜ぽいんだよな。
よっこいしょっと。俺の勝手な感想を胸ン中で思って俺は立ち上がる。
基本何事にものんびりな土竜。そん中でもご老体なおん爺さんは随分と気長だ。
だいたい草食だし争うようなこともない。有限なのかと思えるほどの時間もある。
長生きなのだと一万年はゆうに生きるという俺達にはこのくらいのテンションが
しっくりと合っているんだろうか。なんとも間延びな感じだが嫌いじゃなかった。
「人となりたいとな」
「ん?ああ、そうそうそれ」
眠る前に言っていたことを思い出して頷く。
すっかり忘れてた俺の態度にもおん爺さんは気に留める様子もなく
一応最強種の竜である余裕か優雅に俺に背を向けて自分の家のある方角へと
向かって歩き始める。
俺も無言でそれについていく。
ここら辺は10年の付き合いで了解済みだ。
どこの巨大洞窟?みたいなおん爺さんの家について待っていると
小石ほどの石ころのようなものを投げてよこされる。
ただの石じゃない。魔石だ。水晶のようでだけど黒い。
「人化の術が入った石よ。昔、ここに立ち寄った赤竜が寄こしおった」
真ん中に何かが息づくようなきらめきがある。
これが術が入っているってことか。
納得して使い方を教わろうとおん爺さんを見上げる。
「しっかし、土竜で人間になりたいなぞけったいな奴よの。
お前のような奴は久々じゃ」
爺さんが長い首を振って笑う。
だろうな。土竜はその特徴に無欲がある。
竜は元々長生き過ぎて執着心が薄い。
赤竜のようなキンキラ金が好きで動きまくって好戦的なのもいるが
ほとんどのは悠久の時を生きるが故にどこか淡白なのが多い。
その中でも土竜っていうのは眠るのが仕事かっていうくらい
何かをすることもなく望むことなく
流れる時間を過ごしていくとてもおとなしい奴らだ。
そしてそんな奴らは大概、欲がなく、群れの外の世界にも興味を示さない
でも俺は違う。人間の記憶がそれを許さない。
人間ってのは竜から見ればせっかちで短い一生を急ぎ足で
せかせか生きているように見える
俺も俺の中の人間だった記憶がそうさせるのか土竜にしては行動的に育った。
「使い方はその石で自分で覚えよ。わし等土竜は人化など好んでせん。
わしもやり方なんぞ忘れたわ。自分で覚えて、そうさの人に興味がわいたのなら
人の世界とやらを1000年くらい見て来たらいいぞ。」
長い首を器用に動かして
眠くなったか欠伸をしたおん爺さんは
俺にもう行けと手を振った。
手とり足取りとはいかずとも少しくらいは教えてもらえると思ったが
残念だ。
石を手にして爺さんの家を後にする。
まあ一人で試してみるか。
駄目ならダメになってから考えよう。
こういうところは人間より竜だな。
俺はとりあえず広場に向かいぽてぽてと歩き出した。
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