翼のない竜-土竜の話-

12時のトキノカネ

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32 A級冒険者と新たな仲間候補?

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「うわー、本物はじめて見た。さすがに貫禄があるって言うか、A級に相応しい装備してんな。黒一色の装備ってかっけー」

「ジェラール様は魔法がピカイチだけどなんでもオールマイティにこなせるすごい人なんだよ。だからPTも組んだりしないで基本ソロで活動してるんだって」

「それでA級ってすごいな。どんな戦い方するんだろう。つかあの美しい顔(かんばせ)は男だと分かっていてもクるな。いろっぺー」

人が集る場所に近づけば彼らの会話が聞こえてくる。みな、同じ冒険者のそれも上級の者を見て興奮しているようだ。A級というとそれなりに強いんだろう。
見てみたいが如何せん、前が人で埋まっていて見えない。テグリスも170はあるが相手はガタイが大きな者の多い冒険者たちだ。背伸びをしても目的の人物はちらりとも伺えなかった。

「ダガーお前は見える」

「いや」

自分よりは背の高いダガーに聞いてみたが顔を横に振られる。ダガーも細マッチョだが180を超えることはない体躯なので無理なようだ。

「基本ソロだからなぞの多い人だしな。今日は何のようできたんだろう」

「あ、ギルドマスターが出てきたぞ。話し出した。なんだギルマスからの依頼かなんかだったのか?」

「しかし、ほんと女みたいな顔してるな。おっと死語だったな」

190くらいの男が話しているのを二人で聞く。
ギルマスというとあのダガーを叱りつけたおっさんか。そんなお偉いさんが出てくる人物。だけれど正直、それだけ分かるともう興味もなくなった。

「ダガー、買取はGランクでもランクより上の買取してもらえるか聞きに行こうか」

人が集っている理由が分かり、すでに関心が失せたテグリスがダガーに言い人の集まりから離れるとダガーも頷いて付いて来る。
今なら受付も開いていそうだ。
集まりは二人が離れても気付いた様子もなく会話が続いていた。

「あ、ジェラールが席を立った。ギルマスに話じゃなかったのか。挨拶だけっぽいな」

「キョロキョロして人を探しているみたいだ」

「いったい誰を」

その会話を人の集まりから離れた二人は聞くことはなかった。
そして、その注目のジェラールは確かに目的の人物を探していた。


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