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メイド服のウエイトレスさんからテラス席に案内され、焼きたてなのか、いい香りのするパンを興奮気味に頬張る。
「んーーー! な、な、何これ! ピーの香ばしさが全然違う、この新作のパン、サックリと焼き上げられたピーの香りが素晴らしいよ! そして中のビーフシチューが凄いんだ、パンと一体となるよう具材の大きさが計算され、ホクホクの野菜とよく煮込まれたお肉がホロホロと溶ろけるように混ざり合う。」
ザワザワ……
「そうか! 野菜が煮崩れないようお肉と別で煮たんだ! このお肉もハーブと塩のシーズニングに漬け込んでいたのか? いや、それだけじゃない……
すりおろした野菜だ、揉み込んであるんだ! シチューのスパイスと肉の漬けダレが味に深みをだしているぞ!!」
ザワザワザワ……
大はしゃぎな食レポコメンテーターを珍しく思った、通りを歩く人々が観衆となり、ヨールの周囲には人集りができていた。
「おい、あのパン新作らしいぞ!」
「あそこのパン評判いいのよね、私も1つお願いしようかしら。」
「言われてみたらピーのいい香りがするな!」
ヨールとしては普通に食事をしているつもりなのだが、いつの間にか客寄せピエロと化していた。
「ふぁー、このドライフルーツの凝縮された甘味ったら砂糖のそれとは全く違う! 天日でしっかり干しているんだろうな、水分が飛んで芳醇な香りが脳を刺激するようだよ! ん?これは……、お酒だ! 果物のお酒がパンに練り込んであるんだ、これが一層味を引き立たせているのか! おいおい、待ってくれ、ピーの種類がさっきと違うのか? さっきのパンより甘い香りがするぞ! 硬めのパンを噛めば噛むほど口の中が幸せに包まれていくようだ……。」
ザワザワザワザワ……
「パンによってピーを使い分けているんですって!」
「ドライフルーツなんてどれも一緒だと思ってたんだが、ここのは違うのか!?」
「わ、私にも1つ包んでいただけるかしら!」
お店にはあっという間に行列ができていた。
「ヨールやめないか、恥ずかしいだろう。」
「ヨール君て面白いのね。」
ん? なんだかエミルさんの顔が赤いし、ミシェルさんがクスクス笑ってるぞ、何かあったのかな?
首を傾げてミルクティーを口に含む。
「ぬおっ! こ、このミル……ふごっ……」
「よし、そろそろ戻ろうか!」
ザワザワ……
「あのミルクティーも凄そうだぞ?」
「次は私も席で食べる事にするわ!」
急に俺の口を塞ぎ、逃げるようにして席を立つエミルさん。まだ飲んでるのに! と思ったら、耳元で静かに飲めと怒られてしまったよ。
「喜んで頂けて良かったよ。」
ラシードさんがやって来た。
「こんなに美味しいパンは初めて食べました。ご馳走して頂きありがとうございます。」
「いやいや、ヨール君にはお金より価値のある物を貰ったからね。こちらこそありがとう。」
意味が分からずエミルさんの方を見ると、ガシガシと頭を撫でられた。なんだかなー。
「俺たちはそろそろギルドに戻る。2人ともヨールが困っていたら助けてやってくれ。」
「同じ冒険者だもの、いつでも力になるわ。」
「ヨール君また食べにおいでね。」
「みなさん、ありがとうございます!」
深々と頭を下げ、感謝を述べた。すると、
トントン
肩を叩かれた。
「君は冒険者なんだね、名前は?」
「ヨールといいます。」
「ヨール君、覚えておこう。」
40代くらいの恰幅のいいおじさんに話しかけられた。
「不安だったが、案外ヨールはこの街でやっていけるかもしれんな。」
何で? どういうことなの?
俺たちは2人と別れてギルドに向かった。
なんだかなー……。
「んーーー! な、な、何これ! ピーの香ばしさが全然違う、この新作のパン、サックリと焼き上げられたピーの香りが素晴らしいよ! そして中のビーフシチューが凄いんだ、パンと一体となるよう具材の大きさが計算され、ホクホクの野菜とよく煮込まれたお肉がホロホロと溶ろけるように混ざり合う。」
ザワザワ……
「そうか! 野菜が煮崩れないようお肉と別で煮たんだ! このお肉もハーブと塩のシーズニングに漬け込んでいたのか? いや、それだけじゃない……
すりおろした野菜だ、揉み込んであるんだ! シチューのスパイスと肉の漬けダレが味に深みをだしているぞ!!」
ザワザワザワ……
大はしゃぎな食レポコメンテーターを珍しく思った、通りを歩く人々が観衆となり、ヨールの周囲には人集りができていた。
「おい、あのパン新作らしいぞ!」
「あそこのパン評判いいのよね、私も1つお願いしようかしら。」
「言われてみたらピーのいい香りがするな!」
ヨールとしては普通に食事をしているつもりなのだが、いつの間にか客寄せピエロと化していた。
「ふぁー、このドライフルーツの凝縮された甘味ったら砂糖のそれとは全く違う! 天日でしっかり干しているんだろうな、水分が飛んで芳醇な香りが脳を刺激するようだよ! ん?これは……、お酒だ! 果物のお酒がパンに練り込んであるんだ、これが一層味を引き立たせているのか! おいおい、待ってくれ、ピーの種類がさっきと違うのか? さっきのパンより甘い香りがするぞ! 硬めのパンを噛めば噛むほど口の中が幸せに包まれていくようだ……。」
ザワザワザワザワ……
「パンによってピーを使い分けているんですって!」
「ドライフルーツなんてどれも一緒だと思ってたんだが、ここのは違うのか!?」
「わ、私にも1つ包んでいただけるかしら!」
お店にはあっという間に行列ができていた。
「ヨールやめないか、恥ずかしいだろう。」
「ヨール君て面白いのね。」
ん? なんだかエミルさんの顔が赤いし、ミシェルさんがクスクス笑ってるぞ、何かあったのかな?
首を傾げてミルクティーを口に含む。
「ぬおっ! こ、このミル……ふごっ……」
「よし、そろそろ戻ろうか!」
ザワザワ……
「あのミルクティーも凄そうだぞ?」
「次は私も席で食べる事にするわ!」
急に俺の口を塞ぎ、逃げるようにして席を立つエミルさん。まだ飲んでるのに! と思ったら、耳元で静かに飲めと怒られてしまったよ。
「喜んで頂けて良かったよ。」
ラシードさんがやって来た。
「こんなに美味しいパンは初めて食べました。ご馳走して頂きありがとうございます。」
「いやいや、ヨール君にはお金より価値のある物を貰ったからね。こちらこそありがとう。」
意味が分からずエミルさんの方を見ると、ガシガシと頭を撫でられた。なんだかなー。
「俺たちはそろそろギルドに戻る。2人ともヨールが困っていたら助けてやってくれ。」
「同じ冒険者だもの、いつでも力になるわ。」
「ヨール君また食べにおいでね。」
「みなさん、ありがとうございます!」
深々と頭を下げ、感謝を述べた。すると、
トントン
肩を叩かれた。
「君は冒険者なんだね、名前は?」
「ヨールといいます。」
「ヨール君、覚えておこう。」
40代くらいの恰幅のいいおじさんに話しかけられた。
「不安だったが、案外ヨールはこの街でやっていけるかもしれんな。」
何で? どういうことなの?
俺たちは2人と別れてギルドに向かった。
なんだかなー……。
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