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(人か……?)
道を挟んで反対側の森から、身長1メール程の二足歩行の犬といった見た目で、右手に木の棍棒を持った生き物がキョロキョロと辺りを見回しながら出てきた。子供の犬獣人かもしれない。
「おいガキ! ここはどこだ?」
茂みから出て眼光鋭く睨みを効かし、近づいていく。
「ワン!」
威嚇するように吠えると、二足歩行の小型の犬は棍棒を振り上げこちらに走ってきた。
「おい止まれ!」
注意を促すが、止まる様子はない。こちらの左脇腹を狙い棍棒を横薙ぎに振るってきた。子供なのになかなかの身体能力なのは獣人だからであろうか。
2回バックステップをして距離を取る。
「おいガキ! 次はねえぞ、止まれ!」
再度注意を促すが、再び棍棒を振り上げ襲いかかってきた。
乱暴に振り下ろされた棍棒を左にサイドステップでかわし、棍棒を持つ手の手首を右足で蹴り上げ、棍棒が手から離れたのを確認してから、右のストレートで顔面を殴りつけた。
「キャイン!」
二足歩行の犬は、金切声のような悲鳴をあげて地面に倒れると、脳が揺れているのか立とうとするが膝が笑っており力が入らずなかなか立てないようだ。
右手で棍棒を拾い上げ、トントンと右の肩を叩く。
「アホが、痛い目見て分かったか? ここがどこか教えろ!」
話しかけるが返事はない。
ようやく軽い脳震盪から回復したのか、ゆっくりと立ち上がり噛みつこうと大口を空けてこちらに向かってきた。
右手の棍棒て下顎を打つと、顎が外れて大きく頭を傾け、走っていた勢いのまま地面に受け身をとれずに頭から倒れた。
「お、おい! 大丈夫か?」
慌ててかけよると、白目を剥いて舌を出し、泡を吹いてガクガクと体を震わせていた。体を揺するが反応は無い。まだ息はあるので死んではいないようだ。目を覚ますまでしばらく待つとするか。
時々肩を叩いて呼びかけるが反応はない。15分くらい経っただろうか、近くの茂みがガサガサと音をたてると、中から透明な水風船を地面に置いたような形の何かがズリズリと這い出てきた。透明な体の中には赤黒い色の石のような物が浮いていた。
そのバスケットボールより一回り大きいくらいの謎の生物は、倒れている二足歩行の犬に這い寄りっていく。
「どけオラッ!」
その透明な生物の中にある石を蹴り上げるように足を振り抜くと、バチュンという音と共に水分を撒き散らして飛び散り、中の石が飛んでいくと、飛び散った液体は霧散するかのように消えてしまった。
「もしかして今のがクソジジイの言ってたモンスターか?」
ヤンキー座りをして首を傾げていると、倒れていた二足歩行の犬がピクッと反応した。
「おい、起きたからコラ!」
肩を叩いて反応を確かめると、ゆっくりと頭をこちらに向ける。その直後、残った力を振り絞り体を起こすと、こちらに飛びかかってきた。
びっくりしてカウンターを合わせるように顔面を棍棒で殴りつけると、首の骨が折れる音と共に今度こそ死んでしまった。
「もしかしてこいつもモンスターなんじゃねえのか!?」
(ステータス)
武藤 零ニ(むとう れいじ)
レベル:3
属性:無
HP:450
MP:110
攻撃力:200
防御力:100
敏捷性:200
魔力:60
「んだよびびらせやがって! モンスターならモンスターって言いやがれクソが!」
唾を吐き捨て、その場を後にする。棍棒は貰っていくことにした。
クルクルと手首を回し、棍棒を振り回しながら進んでいくと、また獣の臭いが近寄ってくるのを感じた。
今度は臭いの数が多いようだ。再び茂みに隠れた。
(さっきの犬っころが3匹か……。)
3匹は鼻をヒクヒクと動かし、俺を探しているようだ。2匹は棍棒を持ち、1匹は槍のように長めの棒を持っている。足元の石を拾い、隣の茂みに投げて葉を揺らした。
「「ワン!」」
棍棒を持った2匹が茂みに突っ込んだのを見て、入れ替わるように茂みから飛び出し、長い棒を持った1匹に近接する。
驚いた様子で反応の遅れた間抜け顔に向かって棍棒を叩きつけてやった。頭蓋が割れ、鮮血が飛び散る。
気づいた2匹が棍棒を振り上げ、横並びにこちらへ走ってくる。長い棒を拾い、右の1匹の首を狙って両手で横薙ぎにフルスイングすると、ゴキッと首の骨が折れる音が聞こえた。
左の1匹の棍棒の振り下ろしを相手の後ろに回り込むようにしてかわし、振り向き様に上段から棒を脳天目がけて振り下ろし、ぐしゃりと頭を叩き潰した。
「はっ! 弱すぎんぜ!」
(ステータス)
武藤 零ニ(むとう れいじ)
レベル:5
属性:無
HP:650
MP:150
攻撃力:300
防御力:150
敏捷性:300
魔力:80
スキル
・アイテムボックス レベル1
・鑑定 レベル1
「お、新しいの覚えたみてえだな。」
(鑑定 レベル1:対象の情報を簡易的に見ることができる。)
「へへ、こりゃいいぞ。」
横たわる3匹に向けてスキルを使う。
(鑑定)
------------
コボルト
------------
「この毛むくじゃらはコボルトってのか、この棍棒は?」
(鑑定)
------------
木の棒
------------
「お、おぉ。なるほどな……。んじゃこの長い棒は?」
(鑑定)
------------
木の棒
------------
「殺すぞコラ! 適当すぎんだろ!」
炉端の石に長い棒の先端を擦りつけて尖らせた後鑑定してみると、木の槍に変化していた。どうやら鑑定は1回あたりMPを5消費するようだ。
木の槍を肩に担いで、森を進むのであった。
道を挟んで反対側の森から、身長1メール程の二足歩行の犬といった見た目で、右手に木の棍棒を持った生き物がキョロキョロと辺りを見回しながら出てきた。子供の犬獣人かもしれない。
「おいガキ! ここはどこだ?」
茂みから出て眼光鋭く睨みを効かし、近づいていく。
「ワン!」
威嚇するように吠えると、二足歩行の小型の犬は棍棒を振り上げこちらに走ってきた。
「おい止まれ!」
注意を促すが、止まる様子はない。こちらの左脇腹を狙い棍棒を横薙ぎに振るってきた。子供なのになかなかの身体能力なのは獣人だからであろうか。
2回バックステップをして距離を取る。
「おいガキ! 次はねえぞ、止まれ!」
再度注意を促すが、再び棍棒を振り上げ襲いかかってきた。
乱暴に振り下ろされた棍棒を左にサイドステップでかわし、棍棒を持つ手の手首を右足で蹴り上げ、棍棒が手から離れたのを確認してから、右のストレートで顔面を殴りつけた。
「キャイン!」
二足歩行の犬は、金切声のような悲鳴をあげて地面に倒れると、脳が揺れているのか立とうとするが膝が笑っており力が入らずなかなか立てないようだ。
右手で棍棒を拾い上げ、トントンと右の肩を叩く。
「アホが、痛い目見て分かったか? ここがどこか教えろ!」
話しかけるが返事はない。
ようやく軽い脳震盪から回復したのか、ゆっくりと立ち上がり噛みつこうと大口を空けてこちらに向かってきた。
右手の棍棒て下顎を打つと、顎が外れて大きく頭を傾け、走っていた勢いのまま地面に受け身をとれずに頭から倒れた。
「お、おい! 大丈夫か?」
慌ててかけよると、白目を剥いて舌を出し、泡を吹いてガクガクと体を震わせていた。体を揺するが反応は無い。まだ息はあるので死んではいないようだ。目を覚ますまでしばらく待つとするか。
時々肩を叩いて呼びかけるが反応はない。15分くらい経っただろうか、近くの茂みがガサガサと音をたてると、中から透明な水風船を地面に置いたような形の何かがズリズリと這い出てきた。透明な体の中には赤黒い色の石のような物が浮いていた。
そのバスケットボールより一回り大きいくらいの謎の生物は、倒れている二足歩行の犬に這い寄りっていく。
「どけオラッ!」
その透明な生物の中にある石を蹴り上げるように足を振り抜くと、バチュンという音と共に水分を撒き散らして飛び散り、中の石が飛んでいくと、飛び散った液体は霧散するかのように消えてしまった。
「もしかして今のがクソジジイの言ってたモンスターか?」
ヤンキー座りをして首を傾げていると、倒れていた二足歩行の犬がピクッと反応した。
「おい、起きたからコラ!」
肩を叩いて反応を確かめると、ゆっくりと頭をこちらに向ける。その直後、残った力を振り絞り体を起こすと、こちらに飛びかかってきた。
びっくりしてカウンターを合わせるように顔面を棍棒で殴りつけると、首の骨が折れる音と共に今度こそ死んでしまった。
「もしかしてこいつもモンスターなんじゃねえのか!?」
(ステータス)
武藤 零ニ(むとう れいじ)
レベル:3
属性:無
HP:450
MP:110
攻撃力:200
防御力:100
敏捷性:200
魔力:60
「んだよびびらせやがって! モンスターならモンスターって言いやがれクソが!」
唾を吐き捨て、その場を後にする。棍棒は貰っていくことにした。
クルクルと手首を回し、棍棒を振り回しながら進んでいくと、また獣の臭いが近寄ってくるのを感じた。
今度は臭いの数が多いようだ。再び茂みに隠れた。
(さっきの犬っころが3匹か……。)
3匹は鼻をヒクヒクと動かし、俺を探しているようだ。2匹は棍棒を持ち、1匹は槍のように長めの棒を持っている。足元の石を拾い、隣の茂みに投げて葉を揺らした。
「「ワン!」」
棍棒を持った2匹が茂みに突っ込んだのを見て、入れ替わるように茂みから飛び出し、長い棒を持った1匹に近接する。
驚いた様子で反応の遅れた間抜け顔に向かって棍棒を叩きつけてやった。頭蓋が割れ、鮮血が飛び散る。
気づいた2匹が棍棒を振り上げ、横並びにこちらへ走ってくる。長い棒を拾い、右の1匹の首を狙って両手で横薙ぎにフルスイングすると、ゴキッと首の骨が折れる音が聞こえた。
左の1匹の棍棒の振り下ろしを相手の後ろに回り込むようにしてかわし、振り向き様に上段から棒を脳天目がけて振り下ろし、ぐしゃりと頭を叩き潰した。
「はっ! 弱すぎんぜ!」
(ステータス)
武藤 零ニ(むとう れいじ)
レベル:5
属性:無
HP:650
MP:150
攻撃力:300
防御力:150
敏捷性:300
魔力:80
スキル
・アイテムボックス レベル1
・鑑定 レベル1
「お、新しいの覚えたみてえだな。」
(鑑定 レベル1:対象の情報を簡易的に見ることができる。)
「へへ、こりゃいいぞ。」
横たわる3匹に向けてスキルを使う。
(鑑定)
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コボルト
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「この毛むくじゃらはコボルトってのか、この棍棒は?」
(鑑定)
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木の棒
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「お、おぉ。なるほどな……。んじゃこの長い棒は?」
(鑑定)
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木の棒
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「殺すぞコラ! 適当すぎんだろ!」
炉端の石に長い棒の先端を擦りつけて尖らせた後鑑定してみると、木の槍に変化していた。どうやら鑑定は1回あたりMPを5消費するようだ。
木の槍を肩に担いで、森を進むのであった。
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