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一の願い
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したにのみ燻る我が身は蚊遣り火の
煙ばかりをこととやは見し
(心密かに思い慕う気持を持て余すわたしの心は、まさに蚊遣り火の煙と同じなのですよ)
【のちに、『走湯奉納百首』 [歌題]季夏「蚊遣火」として選歌】
夫の帰りを待つともなく、眠れずに床で悶々としていると、いつものように相模の心は、定頼(藤原定頼)へと自然に向かっていくのであった。
このようなことをいつまで続けるというのか。
「御前様、お目覚めですか」
壬生の女房、ミツが襖越しに尋ねるのが聞こえた。
一睡もしていない相模であったが、起きている徴に、声を返した。
「ミツ殿か、起きておる」
「はあ、只今ご用意いたします」
かすかな衣擦れの音を残して、急いで下がっていくのが分かる。
用意とは、顔や体を拭くための湯と綿布のことである。
ミツは、乙御前(歌人、相模)が相模に下向してからずっと女房として仕えている。
二年目の夏である。
何事に置いても行き届いていた。
名家、壬生家の別家の三女。
それで、乙御前は、ミツと呼んでいた。
実はこの朝、ミツは一刻も早く乙御前に伝えたいことがあった。
言うまでもなく、乙御前の身の回りのことは、女房たちが行うが、その中でも、ミツは乙御前にとって、特別であった。
もともと相性が良かったのかも知れない。
何かにつけて、乙御前はミツを頼った。
「中秋の月を見るには、どちらからがよろしいか」
最初の秋、乙御前はそう訪ねた。
ミツは迷うことなく、高麗山を薦めた。
それで、月見のための仮小屋が造られ、素晴らしい名月を愛でることができた。
「このあたりで、出世に御利益がある社はどこがありましょう」
「深見さまがよろしゅうございます」
すぐに返ってくる。
「早苗の景色は、どこであろう」
「足の上の里(足柄上)まで行かれてはいかがでございましょう」
このように、詰まることがないのである。
しかし、この度の願いは、少しの時を要した。
なぜなら、この二年の間に、何かにつけて縁ある寺院・神社はほとんど回り尽くしてしまっていたから。
それに、事が乙御前の目のことであるからなおさらである。
眼病は、乙御前の歌業にそのまま悪い影響を与えるからである。
一月ほど前から、目がかすむという。
疲れだとは思うが、目尻が潤んでいるようなこともあり、ミツも気にかかった。
眼病に御利益のある神様はどこであるか、であった。
それでも、ミツのことである。
尋ねる先には事欠かなかった。
そして、ようやく見つかった。
段取りもすでに整っている。
その事を伝えたかったのであった。
間もなく、もうひとりの女房(師長の国、桜井家の四女)を従え、ミツが支度をして戻った。
乙御前は、居室に二人を入れ、身を委ねる。
心地よかった。
一晩の内に溜まった疲れ、心の濁りまでもが解けていくようである。
「また、良くお休みにならなかったようにございますね」
図星であるが、ミツの声は咎めるのではなく、ただただ労りに満ちている。
「見つかりまして、ございます」
目を開いた、乙御前の顔がみるみるうちに明るくなった。
けふよりや秋のさかひにいりぬらむ
木暗かりつる夏の山かげ
(今日からは秋に入ったのでしょうか。夏の生い茂った深い木々で暗かった夏の山陰は)
【のちに、『走湯奉納百首』 [歌題]初秋「秋のさかひ」として選歌】
ちょうど、季節が秋に変わる頃であった。
七夕の前。
「この辺りで、一休みとされてはいかがでしょうか」
ミツが乙御前に問いかける。
「そういたしましょうか」
従者がすぐに気が付き、先導の騎馬に伝える。
後続の牛車も止まった。
乙御前は、徒歩での参詣にこだわった。
そうでなければ御利益はなかろうと。
しかし、そうなると返って、大げさな護衛となることを乙御前は知らないのだが、それを咎める者とてない。
「御前様、清水を」
牛車が引く籠に、乙御前を座らせると、ミツは竹筒を差し上げた。
「やはり、秋よのう。雲が高く見えます」
晴れ渡っていたが、様々な形のちぎれ雲が浮かんでいて、確かに空の高さを知らせているようだ。
四ノ宮の居館を早朝に出立して、二刻(約一時間)過ぎていた。
ミツの計画では、一刻毎に休憩を入れるはずだったが、乙御前がもう少しと言って、今になったのである。
既に田村の辻を過ぎ、大山道に入り一刻経った。
前方には、大山がそびえていて、乙御前が詠じたように、言われてみれば、盛夏の木々に比べると薄くなったようにも思われる。
雲の形を、兎だ、田鶴(鶴)だと楽しむ乙御前は、まるで幼子のようである。
この年、齢三十一であった。
十代の後半で最初の結婚に失敗した。
その後も、乙侍従として宮仕えするうちに、歌の才に恵まれた女子を世の男がほうっておくわけがなく、言い寄る者が多く居た。
しかし、一度痛い目を見ている乙侍従は、慎重に相手を選びたかった。
皮肉なことに、それが裏目に出た。
大江公資は、人目もはばからず、我先に乙侍従のもとに通いつめた。
そして間もなく、乙侍従の父母に取り入り、半ば強引に交際する承諾を得てしまう。
公資は、こうして事実上の通い夫になったのである。
こうなると、その他の殿方は取り入るすべがない。
特に、乙侍従が秘かに思いを寄せていた、藤原定頼との逢瀬も難しくなってしまうのであった。
そのような公資の手篭めに近い強引さを掛けて、今では相模の国の通い妻のもとに通い詰めで帰らない夫を、乙侍従は和歌に詠じた。
まこも草よどの渡りに刈りにきて
野飼ひの駒を馴つけてしかな
(浮気な夫の寝所のあたりへかりそめに行って、野飼いの馬のように勝手放題をしている夫を、手なづけたいものです)
【のちに、『走湯奉納百首』 [歌題]中夏「真菰草」として選歌】
「野飼いの馬」は、かつての自由な我が身(相模自身)を掛けているとも言われる。
自由恋愛を楽しんでいた自分を上手く手懐けたかつての夫は、今まさにその私を差し置いて他所の女に通っている。その夫の浮気現場に駆けつけて、手懐けてしまいたいものよ、ということか。
思い返せば、相模国下向の際に聞かされた訳も、まったくの嘘だったのではないか、と乙御前は最早確信していた。
ただただ、定頼から遠ざけたいだけの詭弁で、子を産んでくれ、と言ったのだろう。
この二年の、夫婦円満、子授け祈願は徒労に終わったのであった。
その事を願った和歌をどれだけ詠んだことだろう。
失意に沈み、一筋の光も見えなくなった時に、叔母(和泉式部)の声が聞こえたのだった。
「乙や、歌人として名を挙げたいのであれば、したたかに成らぬといけませぬ。とくにおなごはのう」
誰よりも敬愛する歌業の手本である叔母の有り難い言葉であった。
「そうです。わたくしには歌があります」
そう再び、心を奮い立たせた乙御前は、表向きは、貞節な受領の妻を演じ、我が為に生きる決意を固めたのである。
定頼への文も再開した。
そして何より、歌業において、和泉式部のように成功を収めるために生きることを決心したのであった。
それはすなわち、相模国を離れる前に、一度は走湯(伊豆山)権現への参詣を果たす、という目標に繋がったのだ。
そうした矢先に、目がかすむようになった。
目は、歌人にとってもっとも大切なものの一つ。
ここで躓くわけにはいかない、の一心であった。
「ミツ、そろそろ向かいましょうか」
「まだ、もう少しよろしいですが、向かわれますか」
「もう良い。早うせぬと、午の刻(十一時頃)には着けまい」
ミツの時間配分では、まだ余裕があったが、ミツは乙御前の逸る気持ちを重んじた。
「そういたしましょう」
この後、更に二回の休憩をとり、一行は日向薬師に到着した。
日向神社は、もとは日向山霊山寺と称し、天平の僧、行基が七一六年(霊亀二年)に開山した。
鎌倉時代、かの北条政子が安産祈願のために読経を行ったとされる寺だ。
日向薬師参詣の後、しばらく過ごす内に、忘れ去られるように、乙御前の目は治癒した。
さしてこし日向の山をたのむには
目もあきらかに見えざらめやは
(目指してやってきた日向薬師様に、眼病平癒を祈願したのだから、私の目もはっきり見えるようになりましょう)
私家集「相模集」に、「物詣歌」として収められたこの歌を、乙御前は参詣の帰りに、社殿の柱に書き付けたと記録している。
煙ばかりをこととやは見し
(心密かに思い慕う気持を持て余すわたしの心は、まさに蚊遣り火の煙と同じなのですよ)
【のちに、『走湯奉納百首』 [歌題]季夏「蚊遣火」として選歌】
夫の帰りを待つともなく、眠れずに床で悶々としていると、いつものように相模の心は、定頼(藤原定頼)へと自然に向かっていくのであった。
このようなことをいつまで続けるというのか。
「御前様、お目覚めですか」
壬生の女房、ミツが襖越しに尋ねるのが聞こえた。
一睡もしていない相模であったが、起きている徴に、声を返した。
「ミツ殿か、起きておる」
「はあ、只今ご用意いたします」
かすかな衣擦れの音を残して、急いで下がっていくのが分かる。
用意とは、顔や体を拭くための湯と綿布のことである。
ミツは、乙御前(歌人、相模)が相模に下向してからずっと女房として仕えている。
二年目の夏である。
何事に置いても行き届いていた。
名家、壬生家の別家の三女。
それで、乙御前は、ミツと呼んでいた。
実はこの朝、ミツは一刻も早く乙御前に伝えたいことがあった。
言うまでもなく、乙御前の身の回りのことは、女房たちが行うが、その中でも、ミツは乙御前にとって、特別であった。
もともと相性が良かったのかも知れない。
何かにつけて、乙御前はミツを頼った。
「中秋の月を見るには、どちらからがよろしいか」
最初の秋、乙御前はそう訪ねた。
ミツは迷うことなく、高麗山を薦めた。
それで、月見のための仮小屋が造られ、素晴らしい名月を愛でることができた。
「このあたりで、出世に御利益がある社はどこがありましょう」
「深見さまがよろしゅうございます」
すぐに返ってくる。
「早苗の景色は、どこであろう」
「足の上の里(足柄上)まで行かれてはいかがでございましょう」
このように、詰まることがないのである。
しかし、この度の願いは、少しの時を要した。
なぜなら、この二年の間に、何かにつけて縁ある寺院・神社はほとんど回り尽くしてしまっていたから。
それに、事が乙御前の目のことであるからなおさらである。
眼病は、乙御前の歌業にそのまま悪い影響を与えるからである。
一月ほど前から、目がかすむという。
疲れだとは思うが、目尻が潤んでいるようなこともあり、ミツも気にかかった。
眼病に御利益のある神様はどこであるか、であった。
それでも、ミツのことである。
尋ねる先には事欠かなかった。
そして、ようやく見つかった。
段取りもすでに整っている。
その事を伝えたかったのであった。
間もなく、もうひとりの女房(師長の国、桜井家の四女)を従え、ミツが支度をして戻った。
乙御前は、居室に二人を入れ、身を委ねる。
心地よかった。
一晩の内に溜まった疲れ、心の濁りまでもが解けていくようである。
「また、良くお休みにならなかったようにございますね」
図星であるが、ミツの声は咎めるのではなく、ただただ労りに満ちている。
「見つかりまして、ございます」
目を開いた、乙御前の顔がみるみるうちに明るくなった。
けふよりや秋のさかひにいりぬらむ
木暗かりつる夏の山かげ
(今日からは秋に入ったのでしょうか。夏の生い茂った深い木々で暗かった夏の山陰は)
【のちに、『走湯奉納百首』 [歌題]初秋「秋のさかひ」として選歌】
ちょうど、季節が秋に変わる頃であった。
七夕の前。
「この辺りで、一休みとされてはいかがでしょうか」
ミツが乙御前に問いかける。
「そういたしましょうか」
従者がすぐに気が付き、先導の騎馬に伝える。
後続の牛車も止まった。
乙御前は、徒歩での参詣にこだわった。
そうでなければ御利益はなかろうと。
しかし、そうなると返って、大げさな護衛となることを乙御前は知らないのだが、それを咎める者とてない。
「御前様、清水を」
牛車が引く籠に、乙御前を座らせると、ミツは竹筒を差し上げた。
「やはり、秋よのう。雲が高く見えます」
晴れ渡っていたが、様々な形のちぎれ雲が浮かんでいて、確かに空の高さを知らせているようだ。
四ノ宮の居館を早朝に出立して、二刻(約一時間)過ぎていた。
ミツの計画では、一刻毎に休憩を入れるはずだったが、乙御前がもう少しと言って、今になったのである。
既に田村の辻を過ぎ、大山道に入り一刻経った。
前方には、大山がそびえていて、乙御前が詠じたように、言われてみれば、盛夏の木々に比べると薄くなったようにも思われる。
雲の形を、兎だ、田鶴(鶴)だと楽しむ乙御前は、まるで幼子のようである。
この年、齢三十一であった。
十代の後半で最初の結婚に失敗した。
その後も、乙侍従として宮仕えするうちに、歌の才に恵まれた女子を世の男がほうっておくわけがなく、言い寄る者が多く居た。
しかし、一度痛い目を見ている乙侍従は、慎重に相手を選びたかった。
皮肉なことに、それが裏目に出た。
大江公資は、人目もはばからず、我先に乙侍従のもとに通いつめた。
そして間もなく、乙侍従の父母に取り入り、半ば強引に交際する承諾を得てしまう。
公資は、こうして事実上の通い夫になったのである。
こうなると、その他の殿方は取り入るすべがない。
特に、乙侍従が秘かに思いを寄せていた、藤原定頼との逢瀬も難しくなってしまうのであった。
そのような公資の手篭めに近い強引さを掛けて、今では相模の国の通い妻のもとに通い詰めで帰らない夫を、乙侍従は和歌に詠じた。
まこも草よどの渡りに刈りにきて
野飼ひの駒を馴つけてしかな
(浮気な夫の寝所のあたりへかりそめに行って、野飼いの馬のように勝手放題をしている夫を、手なづけたいものです)
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「野飼いの馬」は、かつての自由な我が身(相模自身)を掛けているとも言われる。
自由恋愛を楽しんでいた自分を上手く手懐けたかつての夫は、今まさにその私を差し置いて他所の女に通っている。その夫の浮気現場に駆けつけて、手懐けてしまいたいものよ、ということか。
思い返せば、相模国下向の際に聞かされた訳も、まったくの嘘だったのではないか、と乙御前は最早確信していた。
ただただ、定頼から遠ざけたいだけの詭弁で、子を産んでくれ、と言ったのだろう。
この二年の、夫婦円満、子授け祈願は徒労に終わったのであった。
その事を願った和歌をどれだけ詠んだことだろう。
失意に沈み、一筋の光も見えなくなった時に、叔母(和泉式部)の声が聞こえたのだった。
「乙や、歌人として名を挙げたいのであれば、したたかに成らぬといけませぬ。とくにおなごはのう」
誰よりも敬愛する歌業の手本である叔母の有り難い言葉であった。
「そうです。わたくしには歌があります」
そう再び、心を奮い立たせた乙御前は、表向きは、貞節な受領の妻を演じ、我が為に生きる決意を固めたのである。
定頼への文も再開した。
そして何より、歌業において、和泉式部のように成功を収めるために生きることを決心したのであった。
それはすなわち、相模国を離れる前に、一度は走湯(伊豆山)権現への参詣を果たす、という目標に繋がったのだ。
そうした矢先に、目がかすむようになった。
目は、歌人にとってもっとも大切なものの一つ。
ここで躓くわけにはいかない、の一心であった。
「ミツ、そろそろ向かいましょうか」
「まだ、もう少しよろしいですが、向かわれますか」
「もう良い。早うせぬと、午の刻(十一時頃)には着けまい」
ミツの時間配分では、まだ余裕があったが、ミツは乙御前の逸る気持ちを重んじた。
「そういたしましょう」
この後、更に二回の休憩をとり、一行は日向薬師に到着した。
日向神社は、もとは日向山霊山寺と称し、天平の僧、行基が七一六年(霊亀二年)に開山した。
鎌倉時代、かの北条政子が安産祈願のために読経を行ったとされる寺だ。
日向薬師参詣の後、しばらく過ごす内に、忘れ去られるように、乙御前の目は治癒した。
さしてこし日向の山をたのむには
目もあきらかに見えざらめやは
(目指してやってきた日向薬師様に、眼病平癒を祈願したのだから、私の目もはっきり見えるようになりましょう)
私家集「相模集」に、「物詣歌」として収められたこの歌を、乙御前は参詣の帰りに、社殿の柱に書き付けたと記録している。
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