その殺人鬼は裁かれない。
平和な日常を当然の様に謳歌するとある地方都市で、突如として巻き起こった連続殺人事件。殺されたのは三人の若い男達なのだが、その被害者たちの遺体は決まって著しい損傷を受けていた。地元の警察は一連の殺人事件を同一犯と断定し捜査を開始。だが何の手掛かりも掴めないままに三ヶ月が過ぎてしまう。極稀な猟奇殺人に不安がる市民の声に抗えず、地元警察は本庁に応援要請を発した。その声に応えるべく赴任させられたのは『紫鈴《むらさきリン》』とゆう女性警部だ。過去には巷を騒がせた保険金殺人や闇バイト殺人事件などを解決した実績がある敏腕の若き刑事。そんな彼女の綿密な捜査方針の見直しと推理の甲斐あって、犯人として浮上したひとりの青年。紫鈴は単身で、街に潜伏している殺人犯を炙り出し、ビルの屋上にまで追い詰める。慣れない拳銃を構え、対峙した青年に自首を促しながらも、なぜ連続殺人に及んだのかの経緯を訊ねてしまう。追い詰められながらも抵抗の意思を見せない彼が語ったのは、この国が抱えている不条理な階級制度だった。人の欲望の闇に絶望と嫌悪を晒した彼は、自ら屋上の柵を飛び越える。…そして…
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