無敵な女王様

慧野翔

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裏女王様の性事情 ※

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「ちょっと遅れたかな」

 俺は待ち合わせ時間を五分ほど過ぎている腕時計を見ながら、駅前へと向かっていた。
 待ち合わせ場所近くに着くと、夜だというのにまだ人の流れが多く、駅に向かう人やこれから飲みに行くであろう会社員などで駅前は騒がしかった。
 そんな人混みの中から、俺は一人の男を見つけた。
 改札横の壁に寄りかかり、煙草を吸っている二十代前半くらいの茶髪の男。
 あいつだ。
 俺は直感的にそう感じて、その男に近づいた。

「アンタがナオさん?」

 俺がそう声をかけると、相手は一瞬驚いたようだが、すぐに俺の姿を上から下まで見ると、笑って言った。

「君が……カズくん?」
「そうだよ。遅れてごめん」
「君みたいな子なら、待たされるのも苦じゃないよ」

 ふ~ん……自然とこんなセリフが出てくるやつか。
 背も高いし、顔も悪くない。なにより、遊び慣れた感じが面倒くさくなさそうだ。

「どうする。食事でもする?」

 ナオがそう聞いてきたのに対して、俺は即答で返す。

「直行でいいよ。アンタもそれが目的でしょ」

 誘うような視線でその言葉を言うと、ナオは少し驚いたようだ。
 今が八時ちょっと過ぎ……明日は平日だから、夜中には家に帰らないといけない。
 俺は食欲よりも性欲を選んだ。

「意外とカズは積極的なんだな」
「そういうのは嫌い?」

 俺の言葉に、ナオは笑いながら肩を抱いてきた。

「いや、大歓迎。じゃあ、近くのホテルでいい?」
「ナオに任せるよ」

 俺も甘えて肩に頭を乗せてみたりする。

「了解」

 甘えた態度が気に入ったのか、ナオは嬉しそうに言った。
 そうして俺達は、駅前から離れることにした。


     ◆     ◆     ◆


「俺は浴びてきたからいいけど。カズ、シャワー使う?」

 ホテルの部屋に入るなり、ナオが聞いてきた。

「うん、借りる」

 そう答えた俺はナオからタオルとバスローブを受け取り、浴室へと消えた。
 シャワーのお湯を頭から浴びて、俺はこれからのことを考える。
 ナオの連れて来たこのホテルは、男同士もOKで浴室設備がいいことが一部の人間には大人気だ。
 部屋の選び方からしてもナオがここを使うのは初めてじゃないことがわかる。
 久々に、満足出来るかも。
 やっぱり初めての人間よりも、男経験のある奴の方が断然いい。
 中には自分好みに調教したい奴もいるようだが、どうせ遊びなら相手のリードで、気持ちよくさせてもらった方が楽に決まっている。
 その点、ナオは男を抱き慣れてそうだし、あの自信ありそうな瞳は、テクもそれなりに持ってそうだ。
 あの腕に抱かれるかと思うと、ゾクッと全身に刺激が走る。
 そんな逸る気持ちを抑えつつ、俺は軽く身体を洗い流した。
 シャワーを浴び終えて出ると、すでにナオも服を脱いでバスローブ姿でベッドにいた。
 俺が近づくといきなり腕を引かれて、身体を反転してベッドの上へと押し倒された。

「んっ、ふぅ……」

 そのまま覆い被さるようにして、深いディープキスをされる。
 やっぱり、こいつ上手い。
 ナオのキスはかなり巧みだった。
 呼吸が苦しくならない程度に、強く舌を絡めてきたかと思うと、今度は労わるようなソフトなキスに変わる。
 しばらくして、ナオの唇が離れるころには俺はすっかりナオのキスの虜になっていた。

「ナオ……すごいね。キスだけでこんな感じさせてくれるなんて」

 解放された唇が何だか物足りなく感じて、俺は舌で自分の唇を舐めた。

「俺のキスは好き?」
「うん。すっごく感じる」

 俺が演技でもなく本心からそう言うと、ナオは満足げな笑みを浮かべて、俺の下へと手を移動させた。

「本当だ。カズのここ、キスだけでこんなになってる」
「あ……あぁ、んっ!」

 バスローブの裾から入り込んできたナオの大きな手の中に、俺自身を包み込まれて身体が震える。

「もっと俺にキスして欲しい?」

 ナオの右手に捉えられたまま、耳元でそう囁かれ俺は素直に頷く。
 耳にかかる吐息にすらキスされているようで、ナオの手の中でどんどん俺自身が育っていく。

「どこにされたい? カズがして欲しいところにしてあげる」
「あ……今、ナオが触ってる……」
「ここ?」

 そう言いながら、そこをキュッと握られた。

「あっ……そこ、口でして!」

 俺がはっきりと言葉にすると、ナオは笑いながら身体を下へとずらす。

「カズは、素直で可愛いな……ご褒美にディープなのしてあげるよ」

 言い終わると同時に、生暖かいナオの口へと包まれた。

「はぁっ、あ、すごいっ!」

 さっきは唇で堪能したナオの舌技を、今度はそこで味わうことになる。
 舌で所々を舐めまわされ、口全体で吸い付いたり緩めたりを繰り返されて、俺の意識は溺れてしまいそうだった。
 ヤバイ、気持ちいい……。
 いつもなら、ある程度は主導権が取れるはずなのに、ナオ相手だとただ翻弄されるだけになってしまう。

「あっ、ナオ! 出るっ」

 限界を訴えた俺に、ナオは先端部分を口に残したまま喋る。

「いいよ、このまま出して」

 そう言うと、今までより一番強くそこを吸われ、

「うっ……んあ、あぁっ!」

 俺はナオの口にそこを押しつけるようにして、欲望を解放してしまった。

「はぁ……はぁ……」
「大丈夫か? カズ」

 脱力している俺の顔を、ナオが心配そうに覗き込んでくる。

「俺……そんなに感度良すぎるわけじゃないのに……どこであんなテクを覚えてくるわけ?」

 俺の問いに、ナオはただ笑っているだけだった。

「俺とカズの身体の相性がいいんじゃない?」
「……答えになってない」

 ナオに翻弄されっぱなしなのが悔しくて、俺は身体を起こしてバスローブを脱ぎ捨てると、逆にナオの身体を押し倒した。

「カズ?」
「いいから黙ってて」

 何をするのか……といった様子のナオにそう言うと、俺はナオ自身へと唇を寄せた。
 やられっぱなしってのは性に合わない。
 まだ完全には反応していないナオのそこを、俺は唇と舌で愛撫していく。
 しばらく続けていると、だんだんと俺の愛撫にナオが反応を示す。

「ずいぶんと、上手だね。カズ」
「俺とナオの身体の相性がいいんじゃない?」

 さっきのナオの言葉を真似て俺が言うと、ナオはクスッと笑う。

「答えに……なってないよ」

 少し掠れ気味なナオの声に気を良くした俺は、もっと大胆に口に含んでいく。
 口に含みきれない部分は手で刺激を加える。

「ナオも……出していいよ」

 くぐもった声で俺がそう言うと、いつの間にか身体を起こしたナオに頭を撫でられた。

「俺はいいよ。それより、カズの中に早く入りたい」

 優しい声と手の動きに不釣合いなほど、直接的なセリフに柄にもなくドキッとした。

「わかった」

 俺は身体を起こすと、ナオと向かい合う形で腰を下ろそうとした。
 すると、それをナオに止められる。

「ちょっと待った。そのまま腰あげてて」

 何かと思うと、いきなり後ろにナオの指がゆっくりと入ってきた。

「あっ……」
「ちゃんと慣らしておかないとね」

 オイルか何かをつけていたのか、ナオの指は楽に俺の中で動いていく。

「そんなの……別にいいのに」

 俺が初めてじゃないことはナオにもわかっているだろうから多少の無理は平気なのに、ナオはまるで初めての相手にするかのように、じっくりとそこを解していく。

「ヤルからには気持ちよくなりたいでしょ」

 そう言いながら、ナオは探るように中の指を動かす。

「あぁっ!」

 ナオの指がある一点に触れると、俺の身体が大きく仰け反る。

「見つけた。カズのいい所」

 玩具を見つけた子供のようにナオは嬉しそうに言うと、指の数を増やして重点的にそこを攻めてくる。

「うっ……ん、あっ……」

 普段と違う角度の刺激に、俺はナオの両肩に手をおいて耐えるが、胸の突起にまでナオが舌を絡めてくると、膝で立っているのも限界が近い。

「ナオ、焦らすなよ」
「じゃあ、ゆっくり腰を下ろして」

 そう言うと、ナオは素早く自身にゴムをつけると優しく俺の唇にキスをくれた。
 俺が腰を下ろしていくと、中が濡れていたため、何の抵抗もなくナオが俺の中へと入ってくる。

「あっ、ああ……」

 ナオの全部が収まると、俺はナオの身体に抱きついて腰を揺らす。
 そんな俺に応えて、ナオも自分から奥を突いてくれるもんだから、俺の口からは喘ぎ声が抑えられなくなっていた。

「んっ、ああ……ナオ、んぅっ!」

 俺とナオの身体の相性は、本当に恐ろしいほど合うようだ。
 二人の腹の間にある俺自身がすでに解放を求めて、震えている。

「あっ、ああ……イイ……」

 俺は余りの気持ちよさに、かなり夢中になってナオを求めていた。
 俺が自分自身をナオの腹に押し付けるように動くと、ナオは俺の腰をさらに抱き寄せてくれた。

「ああっ、いや、ナオ……もうイクッ!」

 鼻にかかった甘ったるい声でそう言いながら、俺はナオに解放が近いことを告げる。
 ナオはそんな俺の唇にキスを仕掛けながら、腰の動きをさらに激しいものへと変えていく。

「んっ、ふぅ……んんっ!」

 俺の喘ぎは重ねられたナオの唇へと消えていく。

「んっ、むぅ……! んんぅっ!」

 俺は刺激に耐え切れなくなり、身体を震わせながら絶頂を迎えた。
 そして一瞬だけ真っ白になった意識の中で、俺の最奥でナオもイッたのを感じていた。


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