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裏女王様の暴走・2
しおりを挟む「い……いつから?」
しばらくして、亮太が震える声でそう聞いてきた。
「中一だから……三年くらい前か?」
お前が小さい頃に俺と約束さえしなければ、もっと早く打ち明けられてたのに。
「もしかして、二年前にカズだけが引っ越した理由って……」
どうやら亮太は余計な心配までし出したらしい。
確かに俺は今、実家から少し離れたマンションで一人暮らしをしていた。
でもそれは、二年前に父さんの弟……つまり、俺の叔父さん家族が居候することになったからだ。
海外をブラブラしていた叔父家族が、しばらく日本に腰を落ち着かせるということで一緒に住むのを機に、俺の今のマンションでの生活が始まったのだ。
「別に家族にそのことがバレて追い出されたわけじゃない」
たぶん亮太のことだから、そんな心配でもしたんだろう。
「ちょうど叔父さんにも年頃の娘がいたし、いきなりの大所帯になったら、勉強に集中出来なくなるんじゃないかってことで、俺だけ今のとこに越した……って、当時も何度も説明したよな、これ」
「だって~」
俺が呆れてそう言うと、亮太は拗ねたように俯いた。
そうだった……。
俺の引っ越しが決まってから、実際に越すまで亮太はずっと駄々をこねていたんだった。
俺に何かあったんじゃないのか、自分のことが嫌いになったから越すんじゃないのか……と、泣き喚く亮太を宥めるために何度もこの説明をしていた気がする。
もっとも引っ越し先は、実家まで歩いていける距離なんだが。
本当に亮太は昔から変わらない。いつも真っ直ぐで一生懸命な馬鹿……。
俺だけが変わってしまったんだと思い知らされる。
「じゃあ……カズはさっきみたいなのが好きなタイプなの?」
突然の亮太の問いに、今度は俺が驚く番だった。
「俺が? あんな気の弱そうな男を?」
信じられないといった表情で答えた俺に、亮太が慌てて言う。
「えっ、だって、好きなタイプだから……その、ここに……」
照れながら言葉を探す亮太の姿に、俺は亮太の言いたいことを理解した。
「別に。後腐れなく相手してくれれば誰でもよかった」
俺の言葉にその場の空気が、一気に冷たいものへと変わる。
「何それ……? どういうこと?」
亮太が俺を睨みながら、聞いてきた。
明らかに態度が不機嫌になっている。
(もしかして……亮太のやつ、怒ってる?)
俺が亮太のいきなりの変化に何も答えずにいると、亮太はソファから立ち上がり俺に近づいてくる。
「カズは好きでもない相手と寝るのかよ」
なんだ、そんなことくらいで怒ってんのか。
「セックスなんて誰としたって同じだろ。気持ちよくなれさえすれば……」
パァンッ!
一瞬、何が起こったのかわからなかった。
だが、左頬に熱を感じて亮太に叩かれたのだと気づく。
「……ってぇな! 何すんだよ、馬鹿!」
「馬鹿はカズの方だろ! そんな簡単に誰かと寝るなんて」
叩かれた左頬を押さえながら怒鳴ると、それ以上の声で亮太に返された。
「お前だって彼女とヤッてたんだろ! それと同じだ」
「同じにするな! 俺は好きでもない人とは出来ない。誰でもいいなんて最低だよ、カズ! 見損なった」
普段からは想像がつかないほどの亮太からの罵声に、俺は一気に頭に血が上るのを感じた。
「だったら俺に男と恋愛しろって言うのか? 無理に決まってんだろ、そんなの!」
気がついたら俺は亮太の胸倉を掴んで、そう言っていた。
「なんで無理だって決めつけるんだ! そんな逃げ腰のカズ、らしくないよ!」
俺らしくない? なんだよ、それ。
俺のこと何も知らないくせに……そんな簡単に言うな!
男同士の恋愛なんて、おまえらみたいに楽にはいかないんだ。だから……。
「一時の快楽さえあればいいんだよ」
「違う。好きな相手とじゃなきゃあんなこと出来ない」
亮太ははっきりと、そう言い切った。
本当に、この亮太の真っ直ぐさがすごいと思う。
でも……それに腹が立つ。
「ふっ……」
「カズ?」
急に鼻で笑った俺の顔を亮太が訝しげにのぞき込んできた。
その次の瞬間
「んっ、んんぅっ!」
俺は強引に亮太の唇に濃厚なキスを仕掛けていた。
小学生からの付き合いだが、亮太にこんなことをしたのは初めてだ。
当然、亮太は暴れるが、頭を抑え舌を深く絡めて逃がさない。
抵抗した亮太がベッドの上に倒れ込み、俺も一緒に覆い被さるように倒れたことで唇が離れた。
「な、何するんだよ! カズ」
顔を真っ赤にさせて怒鳴る亮太を、上から体重をかけてベッドへ抑えつける。
そして、自分のズボンのベルトを外すと亮太の両手を頭の上でひとくくりに纏めてしまう。
「ちょっと、カズ!」
「好きな相手じゃなくても、触られれば反応する。俺が教えてやるよ」
亮太の顔の前でそう囁くと、俺は目を見開いて驚いている亮太に再度、唇を重ねていった。
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