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【1】やっぱり聖女になっちゃった
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「お父さん、もし私が聖女だったら、約束守ってくれるよね?」
「ああ、しかし、うちは王族でも貴族でもないぞ。そんな事無いと思うけどなぁ・・・」
「だから万が一よ!」
私は念を押す。
「あ~分かった分かった」
パン屋を営む父は、うんざりした様に答える。
この国では5歳になると魔法能力の検査を受けさせられる。
5歳となった私はこの日を迎えた。
聖女でなければ平民として平穏に暮らせるのだけど・・・
「はい、メリッサ、次は君の番だよ」
呼ばれて私は水晶球に手を翳す。
途端に水晶球は光輝く。
「こりゃ驚いた! 君は光魔法の使い手。聖女だよ!」
あーーーー! やっぱりクソゲーの通りになっちゃった!
**********
「お父さん! 早く早く!」
私は父を急かして馬車をとばす。
目指すはブラックバーン男爵領とハンドレページ公爵領の領境だ。
私は両親と共に今まで住んでいたバラックバーン男爵領からハンドレページ公爵領に逃げ込もうとしているのだ。
私が聖女だと分かってしまった以上、ブラックバーン男爵は私を養女として迎え入れようとするだろう。
王家に対して有利な手駒として。
だったら、より権威のあるハンドレページ公爵領に逃げ込んで保護してもらおうという算段だ。
あの悪役令嬢であるグロリア・ハンドレページの居る領地だ。
**********
領境が見えてきた。
当然そこには検問所があって兵士も駐屯しているのだけど。
パン職人の父は領境を越えてハンドレページ公爵領までパンを売りに行っている。
その為、通行手形も持っている。
「今日は家族も一緒かい?」
顔馴染みらしい兵士が訊いてくる。
「ああ、大規模なバザーがあってね。今日は女房や娘にも手伝ってもらおうと思って連れてきた」
「そうかい。まあがんばれよ」
領境をブラックバーン男爵の追っ手が来る前に通過する事が出来た。
**********
公爵領に入ると以前より取引のあった商人の家に厄介になる。
その商人は公爵領館に物品を納めているので、その紹介で後日、公爵殿下と謁見する事が出来た。
一介の平民風情が王家並みの天上人である公爵殿下に謁見するなんて、普通はありえないし、だいたい公爵ともなれば王都に居るもんだよね。
そこはゲームの世界ならではの御都合主義に助けられた。
「私は先日の検査で聖女に認定されました。
ですが、そうなりますとブラックバーン男爵家は私を養女と迎え入れようとするでしょう。
それを嫌ってこちらに逃げてきました」
「5歳との事だが、物言い一つとっても随分と賢そうだな。さすが聖女というべきか」
公爵殿下は感心している。
こちとら外見は5歳の少女でも中身は20ん歳なんだ。年季が違う。
「公爵様、どうか私たち家族を保護していただけないでしょうか?」
私は懇願する。
「あい分かった。
お父さんはパン職人という事だったな。だったら厨房でこの館のパンを焼いてもらおう。
お母さんには館の家事を手伝ってもらおう。
君にはそうだな? 賢そうだから娘のグロリアの友達となってくれ」
うわっ 悪役令嬢グロリアの友達にさせられちゃったよ。
それのしても随分ともの解りの良い公爵殿下だ。このあたりも御都合主義なのかな?
ともかくも私たちは館の敷地内にある小さいながらも一軒家を与えられ、そこに住む事となった。
ちなみに「ブラックバーン男爵が私たちを取返しに来ませんか?」と訊いたら、
「あの男爵にはいろいろ援助しているから大丈夫」との事。
こうして新天地での生活が始まった。
「ああ、しかし、うちは王族でも貴族でもないぞ。そんな事無いと思うけどなぁ・・・」
「だから万が一よ!」
私は念を押す。
「あ~分かった分かった」
パン屋を営む父は、うんざりした様に答える。
この国では5歳になると魔法能力の検査を受けさせられる。
5歳となった私はこの日を迎えた。
聖女でなければ平民として平穏に暮らせるのだけど・・・
「はい、メリッサ、次は君の番だよ」
呼ばれて私は水晶球に手を翳す。
途端に水晶球は光輝く。
「こりゃ驚いた! 君は光魔法の使い手。聖女だよ!」
あーーーー! やっぱりクソゲーの通りになっちゃった!
**********
「お父さん! 早く早く!」
私は父を急かして馬車をとばす。
目指すはブラックバーン男爵領とハンドレページ公爵領の領境だ。
私は両親と共に今まで住んでいたバラックバーン男爵領からハンドレページ公爵領に逃げ込もうとしているのだ。
私が聖女だと分かってしまった以上、ブラックバーン男爵は私を養女として迎え入れようとするだろう。
王家に対して有利な手駒として。
だったら、より権威のあるハンドレページ公爵領に逃げ込んで保護してもらおうという算段だ。
あの悪役令嬢であるグロリア・ハンドレページの居る領地だ。
**********
領境が見えてきた。
当然そこには検問所があって兵士も駐屯しているのだけど。
パン職人の父は領境を越えてハンドレページ公爵領までパンを売りに行っている。
その為、通行手形も持っている。
「今日は家族も一緒かい?」
顔馴染みらしい兵士が訊いてくる。
「ああ、大規模なバザーがあってね。今日は女房や娘にも手伝ってもらおうと思って連れてきた」
「そうかい。まあがんばれよ」
領境をブラックバーン男爵の追っ手が来る前に通過する事が出来た。
**********
公爵領に入ると以前より取引のあった商人の家に厄介になる。
その商人は公爵領館に物品を納めているので、その紹介で後日、公爵殿下と謁見する事が出来た。
一介の平民風情が王家並みの天上人である公爵殿下に謁見するなんて、普通はありえないし、だいたい公爵ともなれば王都に居るもんだよね。
そこはゲームの世界ならではの御都合主義に助けられた。
「私は先日の検査で聖女に認定されました。
ですが、そうなりますとブラックバーン男爵家は私を養女と迎え入れようとするでしょう。
それを嫌ってこちらに逃げてきました」
「5歳との事だが、物言い一つとっても随分と賢そうだな。さすが聖女というべきか」
公爵殿下は感心している。
こちとら外見は5歳の少女でも中身は20ん歳なんだ。年季が違う。
「公爵様、どうか私たち家族を保護していただけないでしょうか?」
私は懇願する。
「あい分かった。
お父さんはパン職人という事だったな。だったら厨房でこの館のパンを焼いてもらおう。
お母さんには館の家事を手伝ってもらおう。
君にはそうだな? 賢そうだから娘のグロリアの友達となってくれ」
うわっ 悪役令嬢グロリアの友達にさせられちゃったよ。
それのしても随分ともの解りの良い公爵殿下だ。このあたりも御都合主義なのかな?
ともかくも私たちは館の敷地内にある小さいながらも一軒家を与えられ、そこに住む事となった。
ちなみに「ブラックバーン男爵が私たちを取返しに来ませんか?」と訊いたら、
「あの男爵にはいろいろ援助しているから大丈夫」との事。
こうして新天地での生活が始まった。
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