テンプレ通りに悪役令嬢ものを書いてみた Ⅱ

【２】やっぱり絡まれちゃった

公爵殿下にはグロリア様とお友達になってくれと言われていたのだけど、当の本人はいつでも仏頂面。
かといって私を邪険にしている訳ではなく、親切にいろいろ教えてくれる。仏頂面でだけど。
勉強量も凄くて全然私はついていけない。20ん歳の知識があってもだよ。
さすが将来の国母となるべくお妃教育はバッチリだよね。


ここでハンドレページ公爵家について簡単に説明しておこう。
ハンドレページ公爵領は海に面していて良港もある。
この港を通して外国との貿易も盛んで、ここから揚がる膨大な利益は王家にも多大な貢献をしている。
だからハンドレページ公爵を繋ぎとめたい王家にとって両者の婚約は必然的なものだったんだ。
そして実際、グロリア様は王太子殿下と婚約した。

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１歳上のグロリア様は王都の貴族学校に進学し、私も今年進学する事となった。
平民の私では貴族学校に進学出来ないので、便宜上、私はハンドレページ公爵の養女となった。
純粋な公爵令嬢であるグロリア様とは月とスッポンであるが、一応は私も公爵令嬢だ。
あ、両親からは引き離されず一緒に住んでいるよ。念の為。

入学早々、聖女というだけで、グロリア様の婚約者である王太子殿下に絡まれる事になった。
｢平民上がりの君では分からない事も多いだろうから、私がいろいろと教えてあげよう｣と。

聖女じゃなかったら、別段絡まれる事もなかっただろうね。
いちおクソゲーではヒロインだったので、それなりに可愛らしい顔立ちはしているけどね。
テンプレの義妹みたいに婚約者の座を奪おうという野心はこれっぽっちもないし。
それにね、私もいちお公爵令嬢なんですけど。
ま、グロリア様と較べれば月とスッポンなんだけど。
だから令嬢としての教育はそれなりに受けているいるよ。
それに分からない事があったら、グロリア様に訊くよ。その方がずっと良いし。

やり方も陰湿なんだよね。
まず先鋒隊として、あのブラックバーン男爵の令息がやって来るんだ。
クソゲー通りだったら私の義兄になった奴だよ。
けれども所謂はパシり。下級貴族の男爵じゃ仕方ないか。
それから例によって宰相の令息だの騎士団長の令息だのの取巻きを連れて王太子殿下がやって来る。
クソゲー通り顔立ちは整っているけど、頭の中はお花畑な連中だ。蝶々まで飛んでそう。
ウザい事この上ないのだが、一応は王太子殿下はグロリア様の婚約者だし、彼女や公爵家に失礼があってはならないと思ったので、適当に愛想笑いをして｢はいはい｣と聞いていた。
これがマズかった。連中をつけ上がらせる事となった。

その結果が･･･