あだ花姫は18禁ジャンルからジャンル替えしたいみたいです。

チョコパイ

文字の大きさ
114 / 201
光の海原

心の闇

しおりを挟む
こういう時、自分が女であることが恨めしく感じる。

強く抱かれて馬鹿みたいにときめくのだ…

「離して……」

裏腹な言葉がこぼれ落ちる。
本当は嬉しくて仕方ないのに…それを認めたら私はきっと私ではなくなってしまう。

「絶対に嫌なの…他の人と殿下が一緒にいるのを見守るなんて…絶対に嫌なの…」

殿下の上着をにぎりしめる。

「私もティナが他の男と居るのは耐えられない。昨夜だってオルカ殿に求婚されているのをみてどれだけ不安になったか…」

私を抱く手に力が入る。

「ティナの周りにはティナの前世の結ばれた人が沢山いて、考えただけで胸が痛みで張り裂けそうになるんだ。

兄上とはどう愛しあったんだろう?
私よりも愛していたんじゃないか?

スネイクとはどんな風に夜を重ねたのか?

デミアンにどんな風にして愛を交わしたのか?

ティナが前世でどんな風に愛し、どんな風にして愛されたのか考えてはいつも嫉妬してたんだ。

今だって…自分を押し殺しているんだ。さもなければティナ、私はティナを抱き潰しているよ。」

!!!

殿下の言葉に殿下の余裕のなさが伝わる。

それは私も同じだ。

私は今、殿下と一線を越えたい…殿下と身体を重ねたい…女の私が欲をだしていることがわかる。

殿下の首に手をまわす。
キスをねだる時の私のサイン。

殿下は体を少し離すと私の顎をもちあげる。

いつもは触れあう優しいキスからはじめるのに、今はお互いに余裕がなく深く舌をからめあう。

殿下が欲しくて、殿下の全てを私のものにしたくて唇を深く深く重ねあう。

あぁ…いっそこのまま抱かれてしまえば自分の小さなプライドも未来の不安も消えるのだろうか?

このまま流されるように抱かれてしまえば…


『ミューズ…ごめん。
アクアミューズの為に王妃はカトレアを娶らなければいけないんだ。
でもすぐにミューズを側室として迎え入れるから……』

頭の中に走馬灯の記憶が駆け巡る。

『ミューズ…ごめん。
カトレアが身籠った。
暫くは君を迎えにいけない…でも信じて愛しているのは君だけだから…』

オルカの背中を泣きながら見送るミューズ(私)。

『ミューズ…ごめん。
新しい妃を娶ることになった。
次こそはミューズを娶るから…信じて待っていて…』

オルカは結局、三年経ってもミューズ(私)をむかえることはなかった。

三日に一度の逢瀬が十日に一度になり、次は二十日に一度…そして……
私はアクアミューズから逃げ出した。

オルカとは三ヶ月以上便りの一つもなかった。
新聞では四人目のお子が生まれ、来月には第五夫人を娶ると書いてあった。

地上に逃げた私を待っていたのは……

「お嬢様!!お嬢様!!」

気がつくとベッドの中だった。
泣きながらラビッが私の手をにぎりしめる。

「皇太子殿下に抱えられて運ばれてきた時はビックリしたんですからね。
顔色は真っ青だし、ずっとうなされているし…
二日も意識を取り戻さないし…」

あれは前世の私とオルカの辿った道なのね……

同じ轍を踏むわけには行かない。
殿下のことはあきらめよう…
あんな惨めな想いはしたくない。

地上に戻ったミューズ(私)を待っていたのは、人々の憐れみの視線と心ない言葉だった。

三年もの間、太陽の光を浴びず、闇の中で隠されるように生きていたミューズ(私)の瞳は太陽の光で一瞬にして光を失い、皮膚はボロボロと剥けていく。

そして最後は自ら生命を散らした。

私はオルカにすぐに断りの手紙を書いた。

そして殿下にも……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

処理中です...