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第二部六章 光の海原
心の闇
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こういう時、自分が女であることが恨めしく感じる。
強く抱かれて馬鹿みたいにときめくのだ…
「離して……」
裏腹な言葉がこぼれ落ちる。
本当は嬉しくて仕方ないのに…それを認めたら私はきっと私ではなくなってしまう。
「絶対に嫌なの…他の人と殿下が一緒にいるのを見守るなんて…絶対に嫌なの…」
殿下の上着をにぎりしめる。
「私もティナが他の男と居るのは耐えられない。昨夜だってオルカ殿に求婚されているのをみてどれだけ不安になったか…」
私を抱く手に力が入る。
「ティナの周りにはティナの前世の結ばれた人が沢山いて、考えただけで胸が痛みで張り裂けそうになるんだ。
兄上とはどう愛しあったんだろう?
私よりも愛していたんじゃないか?
スネイクとはどんな風に夜を重ねたのか?
デミアンにどんな風にして愛を交わしたのか?
ティナが前世でどんな風に愛し、どんな風にして愛されたのか考えてはいつも嫉妬してたんだ。
今だって…自分を押し殺しているんだ。さもなければティナ、私はティナを抱き潰しているよ。」
!!!
殿下の言葉に殿下の余裕のなさが伝わる。
それは私も同じだ。
私は今、殿下と一線を越えたい…殿下と身体を重ねたい…女の私が欲をだしていることがわかる。
殿下の首に手をまわす。
キスをねだる時の私のサイン。
殿下は体を少し離すと私の顎をもちあげる。
いつもは触れあう優しいキスからはじめるのに、今はお互いに余裕がなく深く舌をからめあう。
殿下が欲しくて、殿下の全てを私のものにしたくて唇を深く深く重ねあう。
あぁ…いっそこのまま抱かれてしまえば自分の小さなプライドも未来の不安も消えるのだろうか?
このまま流されるように抱かれてしまえば…
『ミューズ…ごめん。
アクアミューズの為に王妃はカトレアを娶らなければいけないんだ。
でもすぐにミューズを側室として迎え入れるから……』
頭の中に走馬灯の記憶が駆け巡る。
『ミューズ…ごめん。
カトレアが身籠った。
暫くは君を迎えにいけない…でも信じて愛しているのは君だけだから…』
オルカの背中を泣きながら見送るミューズ(私)。
『ミューズ…ごめん。
新しい妃を娶ることになった。
次こそはミューズを娶るから…信じて待っていて…』
オルカは結局、三年経ってもミューズ(私)をむかえることはなかった。
三日に一度の逢瀬が十日に一度になり、次は二十日に一度…そして……
私はアクアミューズから逃げ出した。
オルカとは三ヶ月以上便りの一つもなかった。
新聞では四人目のお子が生まれ、来月には第五夫人を娶ると書いてあった。
地上に逃げた私を待っていたのは……
「お嬢様!!お嬢様!!」
気がつくとベッドの中だった。
泣きながらラビッが私の手をにぎりしめる。
「皇太子殿下に抱えられて運ばれてきた時はビックリしたんですからね。
顔色は真っ青だし、ずっとうなされているし…
二日も意識を取り戻さないし…」
あれは前世の私とオルカの辿った道なのね……
同じ轍を踏むわけには行かない。
殿下のことはあきらめよう…
あんな惨めな想いはしたくない。
地上に戻ったミューズ(私)を待っていたのは、人々の憐れみの視線と心ない言葉だった。
三年もの間、太陽の光を浴びず、闇の中で隠されるように生きていたミューズ(私)の瞳は太陽の光で一瞬にして光を失い、皮膚はボロボロと剥けていく。
そして最後は自ら生命を散らした。
私はオルカにすぐに断りの手紙を書いた。
そして殿下にも……
強く抱かれて馬鹿みたいにときめくのだ…
「離して……」
裏腹な言葉がこぼれ落ちる。
本当は嬉しくて仕方ないのに…それを認めたら私はきっと私ではなくなってしまう。
「絶対に嫌なの…他の人と殿下が一緒にいるのを見守るなんて…絶対に嫌なの…」
殿下の上着をにぎりしめる。
「私もティナが他の男と居るのは耐えられない。昨夜だってオルカ殿に求婚されているのをみてどれだけ不安になったか…」
私を抱く手に力が入る。
「ティナの周りにはティナの前世の結ばれた人が沢山いて、考えただけで胸が痛みで張り裂けそうになるんだ。
兄上とはどう愛しあったんだろう?
私よりも愛していたんじゃないか?
スネイクとはどんな風に夜を重ねたのか?
デミアンにどんな風にして愛を交わしたのか?
ティナが前世でどんな風に愛し、どんな風にして愛されたのか考えてはいつも嫉妬してたんだ。
今だって…自分を押し殺しているんだ。さもなければティナ、私はティナを抱き潰しているよ。」
!!!
殿下の言葉に殿下の余裕のなさが伝わる。
それは私も同じだ。
私は今、殿下と一線を越えたい…殿下と身体を重ねたい…女の私が欲をだしていることがわかる。
殿下の首に手をまわす。
キスをねだる時の私のサイン。
殿下は体を少し離すと私の顎をもちあげる。
いつもは触れあう優しいキスからはじめるのに、今はお互いに余裕がなく深く舌をからめあう。
殿下が欲しくて、殿下の全てを私のものにしたくて唇を深く深く重ねあう。
あぁ…いっそこのまま抱かれてしまえば自分の小さなプライドも未来の不安も消えるのだろうか?
このまま流されるように抱かれてしまえば…
『ミューズ…ごめん。
アクアミューズの為に王妃はカトレアを娶らなければいけないんだ。
でもすぐにミューズを側室として迎え入れるから……』
頭の中に走馬灯の記憶が駆け巡る。
『ミューズ…ごめん。
カトレアが身籠った。
暫くは君を迎えにいけない…でも信じて愛しているのは君だけだから…』
オルカの背中を泣きながら見送るミューズ(私)。
『ミューズ…ごめん。
新しい妃を娶ることになった。
次こそはミューズを娶るから…信じて待っていて…』
オルカは結局、三年経ってもミューズ(私)をむかえることはなかった。
三日に一度の逢瀬が十日に一度になり、次は二十日に一度…そして……
私はアクアミューズから逃げ出した。
オルカとは三ヶ月以上便りの一つもなかった。
新聞では四人目のお子が生まれ、来月には第五夫人を娶ると書いてあった。
地上に逃げた私を待っていたのは……
「お嬢様!!お嬢様!!」
気がつくとベッドの中だった。
泣きながらラビッが私の手をにぎりしめる。
「皇太子殿下に抱えられて運ばれてきた時はビックリしたんですからね。
顔色は真っ青だし、ずっとうなされているし…
二日も意識を取り戻さないし…」
あれは前世の私とオルカの辿った道なのね……
同じ轍を踏むわけには行かない。
殿下のことはあきらめよう…
あんな惨めな想いはしたくない。
地上に戻ったミューズ(私)を待っていたのは、人々の憐れみの視線と心ない言葉だった。
三年もの間、太陽の光を浴びず、闇の中で隠されるように生きていたミューズ(私)の瞳は太陽の光で一瞬にして光を失い、皮膚はボロボロと剥けていく。
そして最後は自ら生命を散らした。
私はオルカにすぐに断りの手紙を書いた。
そして殿下にも……
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