あだ花姫は18禁ジャンルからジャンル替えしたいみたいです。

チョコパイ

文字の大きさ
160 / 201
縺れた糸

罪は罪

しおりを挟む
「・・・でっ、ここに連れてきたと…」

おじ様が苦笑いを浮かべる。

「難しい話しは私には無理かな…と思って…

ほら…色々な手続きがあるでしょ?

自首だと罪がかるくなるんだっけ?

あれ?
そもそも裁判てあるのかしら?」

罪は罪だ。
バハムートがたとえ被害者だったとしても、自分のやったことの落とし前はつけなくてはいけない。

「ミカエルはどうしたいんだ?」

きっと母なら、バハムートのやったことを考えれば、ためらうことなく聖なる炎で焼き尽くすだろう。

でも私は……

大学の論理の講義でロジカルシンキングの一例として「死刑制度」についてのグループセッションを行ったことがある。

人を殺したら、生命を持って償うべきなのか?

被害者家族を考慮して加害者を処罰することで、被害者家族は加害者になるのではないか?

さまざまな意見の中、個々の意見は似ているようでみな違っていた。

正義の物差しは個人によって違うということを私はそこで学んだ。

だからこそ

「バハムートには罪は罪として償うべきだと思います。

でも…それは命をもって償うのではなく、きちんと自分が犯した罪と向き合うことだと私は思うのですが…」

おじ様が微笑む。

「ミカエルらしい罰だな…

でもそれは、もしかしたらバハムートにとって、死ぬことより苦しい事だと思うのだが…

バハムート、君はどう思う?

死んで楽になるか?
生きて苦しむか?」

おじ様の言葉に気づかされる。

「あだ花姫」と呼ばれていた頃、生きるのが本当に辛かった。

言われもない言葉の暴力や蔑む視線、逃げ場のない苦しみを私は知っている。

でも…
だからこそ…

「・・償いたいです。」

バハムートが答える。

「全ての罪が赦されるとは思ってはいません…でも……楽になるために死ぬのは違う気がして……」

おじ様がバハムートに尋ねる。

「ルシファーは君に何を約束したのかい?」

約束?

おじ様が首をかしげる私に

「ルシファーは人の心につけ入るのが上手いんだよ。

皆、心に何かしら問題を抱えているからね。」

バハムートは静かに答える。

「雌雄同体でも愛されるべきだと…」

バハムートの大きな体が震える。

その言葉の意味が私には良くわかる。

ただ愛されたかったのだ。

オルカとの前世で私が感じた
『愛されたい孤独』

暗闇で孤独なあの地下で、私はひたすら愛されたいと願っていた。

震えるバハムートを抱きしめる。

「大丈夫…貴方も愛されるべき人だわ……

罪をつぐなったらリオン公爵家にいらっしゃい…皆が歓迎するわ。

まずはリハビリ施設でボランティア活動をして自分の犯した罪の結果をちゃんと見てきた方がいいわね。

あとはルシファーを捕まえてからかしら…」

おじ様がうなずく。

「オルカの方も実を見つけたらしいから…
治療もはかどるだろう…」

天人と帝国側の騎士に連れられてバハムートがリハビリ施設へと向かう。

「クリスティーナ、二人の婚約に割り込んでしまってすまなかった。

私は想い合う二人の姿に憧れたんだと思う。

私も二人みたいに想う相手が欲しかったのかも知れない…」

愛されたいと願うのは誰もが同じだ。

だからこそ…

バハムートの背中を見送りながら

「全部終わったら、主と話し合う場をもたないと……」

私の言葉におじ様はうなずいた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

処理中です...