あだ花姫は18禁ジャンルからジャンル替えしたいみたいです。

チョコパイ

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Go for broke

Go for broke ~前編~

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薄暗い部屋の中、拘束された母が主やおじ様達を前に跪いている。

父や殿下達は壁際の椅子に腰掛け母を見守っている。

「ミカエルこちらに…」

主に呼ばれて上座にある主の隣の席に腰かける。

「先にどちらの母と話したい?」

主が私に尋ねる。

聖なる光を放つ母と、闇の暗黒を放つ母。

私にとってどちらも母だ。

ならば…

「お母様…どうでしたか?

少しは気が晴れましたか?」

母の瞳が私をとらえる。

「聞いてクリスティーナ…あなたを傷つけるつもりはなかったの!!」

母が叫ぶ。

「いえ、お母様は私を自分と同じ目に合わせたかったんですもの…
傷つけるつもりがないなんて、あり得ないわ。

自分が両親に愛されなかったから、私を突き放し、

自分がルシファーに犯されたから、私を犯させ、

自分が望まぬ子を孕んだから、私を孕ませ…

どうでしたか?
気分は晴れましたか?

自分の苦しんだ道を娘に辿らせて…

どうでしたか?
壊れていく私を見て、面白かったですか?」


大学に入るまで、薙刀も空手も道場で学んでいた。

だから大学に入って初めて部活動に参加した。

知らなかった。
世の中には理不尽な暴力があるということを。 

師範代や兄弟子がいる道場と違い部活動はほぼ生徒が自主的に練習を行う。

そこには習わしがあり、かつて上級生に受けた仕打ちを下級生にかえす理不尽なしごきがあった。

不思議で仕方なかった。

自分がされて嫌だったことを人にするなんて…

私には理解できなかった。

だから顧問が居る部会の時に聞いてみたのだ。

「上級生が下級生に荷物を持たせたり、買い物をさせたりするのは何の練習になるのか?

礼節を重んじる競技に礼節を欠く事を黙認する理由を教えて欲しいと…」

後に空気の読めない脳筋ストーリーとしてキャンパスで語り継がれるようになった。

その時に学んだ。
自分がされたのだから、同じようにしてもいいのだと考える人がいることを…

母はまさにそのタイプだったのだろう。


「わっ私は…そんなつもりじゃ…私…私は…」

しろどもどろ話す母に怒りも憤りも感じなかった。

ただただ悲しかった。

「クリスティーナ…私は…ただ知って欲しかったの…あなたならわかるでしょ…私がどれだけ傷ついて苦しくて辛かったか……

ねぇ…クリスティーナ…あなたならわかるでしょ…ねぇったら…

理由もわからないまま嫌われて殴られて…

助けられたと思ったら、私が神子ということだけで蔑まされ、嘲笑われて…

努力しても努力しても、認めてもらえなくて……

嫌だと拒んでも泣いてお願いしても男根で何度も身体を貫かれて…

それなのに一度知ってしまった身体の疼きに弄ばれて…

ねぇ…クリスティーナ
あなたならわかってくれるでしょ??

だって私達は何も悪くないのだから…

ねぇ?」

私があだ花姫の中のクリスティーナなら、もしかしたら今の母の言葉を理解できたのかも知れない。

でも…私はあだ花姫の中のクリスティーナではない。

岩瀬有希子としてのクリスティーナだ。

だから……

「ちっともわからないわ。

第一、自分がされて嫌だったことを人に、それも自分が望まなかったとしても我が子にするなんて…

結局、自分を苦しめた嫌なクズに成り下がっただけじゃない。

馬鹿みたい…

自分を傷つけ忌み嫌ったゴミと同じになるなんて…」

母の顔が歪んで見える。

下の目蓋から溜まった涙が頬を伝う。

「自分が成り下がるぐらいなら助けを求めれば良かったのよ。

みっともなくても、恥ずかしくても…助けを求めれば良かったのよ…

少なくとも主もおじ様もお父様も…助けを求めたならば手を差しのべてくれたはずだわ…

私にばかり試練をあたえてまでも、あなたを守りたかったのだから!!」

私の言葉に主もおじ様もそして父も皆、言葉を失ったまま傷ついた表情で私から視線を外した。

「そうでしょう?

お父様……まったく知らなかったわけじゃないよね。

娘がどんな風にあつかわれていたか……

おじ様なら、とっくに私ぐらい救えたわよね?
あんな回りくどいことをしなくても、元凶を断ち切ればいいだけなのに…そうはしなかった。

主はもっとひどいわ。
私が苦しむことを知っていても何度も同じ道を辿らせたのだから…」

ギュウッ……

殿下が私を抱きしめる。

「ティナ…ティナ……
知らなくて…ごめん。

助けてあげられなくて……」

殿下が知るわけがない。

だって殿下はいつも序盤で殺されてしまうから……

「うっ……うわぁ~ん
私だって…私だって…」

殿下にしがみつき大声をあげる。

いくら前世の記憶をアダルトゲームの内容としてしか覚えていなくても、あの惨劇を何度も何度も繰り返させたのは彼等だ。

静まりかえった部屋に私の泣き声だけが響いていた。
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