あだ花姫は18禁ジャンルからジャンル替えしたいみたいです。

チョコパイ

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あだ花姫

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「なんでもっと早く言ってくれなかったの!!」

母が泣きながら私を強く抱きしめる。

「小さな頃から手のかからない子だと…我慢強い子だと…自分の良い方にしか考えていなかったの…

ごめんね。
ごめんね。美久…」


有希子が亡くなって三回忌の法要の後、有希子の次兄に声をかけられた。

「美久ちゃん、少し話せるかな?」

お寺の駐車場、次兄は私に一冊のノートを手渡す。

「どうしようか、悩んだんだけど…昨夜、久しぶりに有希子の夢を見たんだ。

君にこれを見せて欲しいって…

よかったら読んであげて欲しいんだ。

有希子が君に伝えたかったことだと思うから…

必要がなくなったら返してくれればいいから…」

何の変哲もない大学ノートには有希子らしい角ばった文字で“日記”
と書いてあった。

帰りのバスの中、我慢できずに日記帳を開いてみる。

空手の練習メニューや薙刀の技の改善点…
学食のメニューの採点やら、有希子らしい内容が書かれている。

懐かしさと愛しさが胸をしめつける。

あっ…

有希子と二人で撮った写真がはさんであったのだ。

写真を手に取る。

二人して馬鹿殿の格好をして撮った写真。

確か学園祭の出し物でお笑いカフェの制服にお揃いで着たんだっけ…

!!!

写真の裏には

“一番の親友と…”

堪えていた涙が一気にこぼれ落ちる。

写真がはさんであったページにはこう書かれてあった。

“教育実習の説明会に美久が参加しなかった。

てっきり私と同じ高校の数学教師になるんだと思っていたから…

帰りの電車の中、

『私みたいな冷血漢には教師は無理だって…ほら教師って有希子みたいな熱血漢じゃないと…』

美久はいつも自分を冷たいと言うけど、冷静に人を見極める能力は絶対に人の役にたつし、教師にむいていると思うんだけどなぁ…

何度言ってもわかってもらえないんだよなぁ…

美久は冷たいんじゃなくて、『気にしい』なんだよなぁ…

気にせず相手の懐に飛びこんでいけばいいのに…”

くっぅ…
有希子はずるい…
こんなこと言われたら忘れられるわけないじゃん。

こんなこと言われたら…


帰宅すると母が夕飯の準備をしている。

久しぶりに母を見た気がした。

「お母さん……」

私はキッチンに立つ母にポツポツと話し始める。

いつも一人ぼっちだったこと…

一人でいすぎて人に興味がもてなくなっていたこと…

大好きな本当に大切で大好きな友人が亡くなったこと…

有希子が居なくなってから自傷行為をくりかえしていたこと…

母の顔が悲しみに歪む。

でも堪えてきた、ずっと耐えてきた心の叫び声は止むことはなかった。

全てをぶちまけた後、耳元で

「良くできました。」

有希子の声が聞こえた気がした。

母は何度も何度も私に謝る。

母の腕の中、不思議と笑みが溢れた。

なんだ…こんな簡単な事だったんだ。

人に自分の想いを伝えることって…

自室に入ると有希子の日記帳の続きを読んでいく。

どのページにも有希子らしい想いが綴られている。

学食のカツの脂身が好きすぎる~。

空気が読めないと言われたんだけど…
空気は読むものじゃなくて吸って吐くものよ‥

プッ…アハハハ

有希子ったら…馬鹿じゃん。

本当に……

ページの最後の日付け…二年前の昨日。

“美久…助けて
あだ花姫のジャンル変更の仕方がわからない……”

ジャンル変更??

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