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第三章 新たなる脅威
それぞれの想い
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~皇太子の私室~
これは悪夢だ。
甘ったるい香りが鼻腔をくすぐる。
身体はふわふわと宙をまい
女の唇だけが生々しく光る。
このまま…最後まで
身体が蕩けていく…
霞んでよく見えない視界に艶やかな真っ黒な長い髪が風に揺れている。
心が叫ぶ。
目を覚ませと叫んでいる。
「ティナ…」
微かに自分の意識で動く指先に力をいれる。
ギュッと力強く握った拳の手のひらに自分の爪がギュウギュウと押し込まれていく。
「…っつ、」
痛みがわずかな希望へと変わる。
目のはしに映る
愛しい君の悲し気な顔を
唇を奪われながら見つめる。
兄上と見つめあいながら
踊る君を悪夢の中、見つめる。
兄上と手をとりあい
微笑みながら立ち去る君を
暗闇の中、一人見送る。
「嫌だ」
失いたくない
「行かないで」
私を置いていかないで
「ティナ!!」
バシーン
頭に衝撃がはしる。
泣き笑いしてる
ティナが私を見つめている。
ボロボロと涙がこぼれる。
「ごめん。情けない男で
ごめんなさい。たくさん傷つけて。
ごめん。ごめん。本当にごめんなさい。」
「次はないんだから……
次したら…」
言葉が皇太子の唇に閉じこめられる。
口づけを交わしながら
互いの指を絡める。
不器用な唇同士…
時折、歯と歯がぶつかりながらも、深く深く互いを求める。
「ティナ、今すぐ婚約しよう。そしてティナが学園を卒業したら、その日に結婚しよう。」
「うん。婚約する。
そして結婚する。」
~魔の祭壇~
「これはひどいな……」
むせかえる血の臭いに
胃の中の物が逆流しそうになる。
「陛下は見ない方がいい。」
ブラックライオンの獣人であるリオン公爵の瞳が、
冷たく光る。
「陛下、大量の子宮が廃棄されています。
どうやら魅惑の魔法の捧げ物かと思われます。」
「捧げ物…か?」
「魅惑の魔法と言うよりは魅惑の呪いですね。
殿下はよく耐えましたね。こんな強い悪意に…」
「それだけクリスティーナに惚れているという事だろう。
認めてはくれぬか?
今の息子ならクリスティーナを大事にするだろう。
無論、子は優先的にそちらの跡取りとすればいい。」
「……」
~リオン公爵家~
「オースティン、あなたどこまで記憶があるの?」
「全部あります。お母様
多分、スネイクも公子も記憶が戻ったと思います。
だから……離れることを選んだのでしょう。
私達では、結局、守り抜くことが出来ないのだから。」
過去、クリスティーナは私の妻だった。
結ばれてしばらくは幸せな日々を過ごせるのに、数年するとクリスティーナは
「人ならぬ者」に囚われ
孕女として悲惨な人生を歩むことになる。
「私は今も昔もクリスティーナだけを愛しています。それはきっと他の人も同じでしょう。
だからこそ幸せになって欲しいのです。あんな悲惨な死を迎えさせたくはありません。」
「私も、もう黙ってやられるだけの母親はやめたの。オースティン、クリスティーナの為に力をかしてね。その前に……
スネイク、隠れてないで出てきなさい。」
柱の影からスネイクが出てくる。
「パンジーを愛していないなら、巻き込まないであげなさい。
愛しているのなら、クリスティーナのことはキッパリと手を引きなさい。
人の気持ちを利用するのは許さないわ。」
これは悪夢だ。
甘ったるい香りが鼻腔をくすぐる。
身体はふわふわと宙をまい
女の唇だけが生々しく光る。
このまま…最後まで
身体が蕩けていく…
霞んでよく見えない視界に艶やかな真っ黒な長い髪が風に揺れている。
心が叫ぶ。
目を覚ませと叫んでいる。
「ティナ…」
微かに自分の意識で動く指先に力をいれる。
ギュッと力強く握った拳の手のひらに自分の爪がギュウギュウと押し込まれていく。
「…っつ、」
痛みがわずかな希望へと変わる。
目のはしに映る
愛しい君の悲し気な顔を
唇を奪われながら見つめる。
兄上と見つめあいながら
踊る君を悪夢の中、見つめる。
兄上と手をとりあい
微笑みながら立ち去る君を
暗闇の中、一人見送る。
「嫌だ」
失いたくない
「行かないで」
私を置いていかないで
「ティナ!!」
バシーン
頭に衝撃がはしる。
泣き笑いしてる
ティナが私を見つめている。
ボロボロと涙がこぼれる。
「ごめん。情けない男で
ごめんなさい。たくさん傷つけて。
ごめん。ごめん。本当にごめんなさい。」
「次はないんだから……
次したら…」
言葉が皇太子の唇に閉じこめられる。
口づけを交わしながら
互いの指を絡める。
不器用な唇同士…
時折、歯と歯がぶつかりながらも、深く深く互いを求める。
「ティナ、今すぐ婚約しよう。そしてティナが学園を卒業したら、その日に結婚しよう。」
「うん。婚約する。
そして結婚する。」
~魔の祭壇~
「これはひどいな……」
むせかえる血の臭いに
胃の中の物が逆流しそうになる。
「陛下は見ない方がいい。」
ブラックライオンの獣人であるリオン公爵の瞳が、
冷たく光る。
「陛下、大量の子宮が廃棄されています。
どうやら魅惑の魔法の捧げ物かと思われます。」
「捧げ物…か?」
「魅惑の魔法と言うよりは魅惑の呪いですね。
殿下はよく耐えましたね。こんな強い悪意に…」
「それだけクリスティーナに惚れているという事だろう。
認めてはくれぬか?
今の息子ならクリスティーナを大事にするだろう。
無論、子は優先的にそちらの跡取りとすればいい。」
「……」
~リオン公爵家~
「オースティン、あなたどこまで記憶があるの?」
「全部あります。お母様
多分、スネイクも公子も記憶が戻ったと思います。
だから……離れることを選んだのでしょう。
私達では、結局、守り抜くことが出来ないのだから。」
過去、クリスティーナは私の妻だった。
結ばれてしばらくは幸せな日々を過ごせるのに、数年するとクリスティーナは
「人ならぬ者」に囚われ
孕女として悲惨な人生を歩むことになる。
「私は今も昔もクリスティーナだけを愛しています。それはきっと他の人も同じでしょう。
だからこそ幸せになって欲しいのです。あんな悲惨な死を迎えさせたくはありません。」
「私も、もう黙ってやられるだけの母親はやめたの。オースティン、クリスティーナの為に力をかしてね。その前に……
スネイク、隠れてないで出てきなさい。」
柱の影からスネイクが出てくる。
「パンジーを愛していないなら、巻き込まないであげなさい。
愛しているのなら、クリスティーナのことはキッパリと手を引きなさい。
人の気持ちを利用するのは許さないわ。」
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