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第七章 愛の形
劣情
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身を投じて救いの手を差しのべる彼女を遠くから見つめる。
両親を殺されたあの日の記憶がよみがえる。
私にも彼女のように救いの手を差しのべてくれる人がいたら、未来は変わっていたのかも知れない。
埃まみれになりながらも、ただひたむきに生命を救うその姿は、かつて恋い焦がれ自らの手で汚した女性の姿とは髪の色も瞳の色も何もかも違う。
でも愛した女性と同じ、眼差しと光の強さは彼女が愛した女性の娘だと証明する。
母子して私に劣情を抱かせる。
まさかこんな形で再会するなんて……
闇の力は絶大だ。
それでもウリエルの光は帝国の闇を焼き払った。
闇を国教とするこの公国でもう少し力を蓄えたかったのだが……
こんなに早く見つかるなんて。
ウリエルが私の気配を感じ、光の雨を降らせる。
揺るがない正義感こそウリエルの魅力だ。
公国中がウリエルの聖なる光で燃えつくされる。
折っても折っても決して枯れることのないその姿を見るたびに、狂おしいほど壊したくなる。
ウリエルの肌の滑らかさを、私の賜物を包み締め上げるヒダの熱さを、抱いても抱いてもすり抜けてしまう、まるで蜃気楼のようなウリエルを、ぐちゃぐちゃに壊したくなる。
それと同じぐらい
甘やかせてかわいがってどろどろに愛したくなる。
少なくとも、ウリエルは今、私を感じているはずだ。
憎しみだろうが怒りだろうが私の事を強く意識しているはずだ。
あの時の無機質なウリエルではない。
今、ここでこの娘を壊したらウリエルはどうなるだろうか?
劣情で賜物が熱くいきりたつ。
シュッ……
ダガーが私の頬を切り裂く。
間髪いれずに次のタガーが私の髪をかすめる。
ウリエルと同じまっすぐで曇りなき眼でこちらを睨みつける。
耳元のイヤリングが射すように光輝く。
あれは……
裁きの剣。
ウリエルではなく、その娘が引き継いだのか…
両親を殺した男を無罪にした剣。
主は剣をかかげ言った。
「罪を赦し人を愛しましょう。」と……
あの時、幼かった私から両親を奪った男を主は
赦すだけではなく、愛せと言ったのだ。
愛せ……と。
あの時、主の手に握られていた裁きの剣が…
まずは力を……
私は闇へとかえる。
おじ様が浄化と再生の光を放つ。
「ありがとう。クリスティーナ……
私に捨てる勇気をあたえてくれて。」
私はダンテを強く抱きしめる。
「ダンテ、私達は友達なんだから、これからも何かあったら言ってね。
そのかわり私に何かあったら助けてね。」
ダンテが私を強く抱きかえす。
「約束するよ。
何があってもクリスティーナを守るって。」
ポッポポポゥ
鳩殿下が私の頭に乗ってツツキはじめる。
ダンテが、笑いながら
「殿下のお怒りがひどくならないうちに……
名残惜しいですが、私はここで失礼します。」
ダンテが鳩殿下に頭を深々と下げると立ち去っていく。
私は頭の上に乗っかっている鳩殿下をつかむと
「殿下、そろそろ言いたいことがあるなら鳩にならずに口に出して下さい。」
ポッポポポゥ…ポッポ
ウルウルと瞳を潤ませた殿下が私を見つめる。
はぁっ…
私は大きなため息をつくと、鳩殿下のクチバシに優しくキスをおとした。
両親を殺されたあの日の記憶がよみがえる。
私にも彼女のように救いの手を差しのべてくれる人がいたら、未来は変わっていたのかも知れない。
埃まみれになりながらも、ただひたむきに生命を救うその姿は、かつて恋い焦がれ自らの手で汚した女性の姿とは髪の色も瞳の色も何もかも違う。
でも愛した女性と同じ、眼差しと光の強さは彼女が愛した女性の娘だと証明する。
母子して私に劣情を抱かせる。
まさかこんな形で再会するなんて……
闇の力は絶大だ。
それでもウリエルの光は帝国の闇を焼き払った。
闇を国教とするこの公国でもう少し力を蓄えたかったのだが……
こんなに早く見つかるなんて。
ウリエルが私の気配を感じ、光の雨を降らせる。
揺るがない正義感こそウリエルの魅力だ。
公国中がウリエルの聖なる光で燃えつくされる。
折っても折っても決して枯れることのないその姿を見るたびに、狂おしいほど壊したくなる。
ウリエルの肌の滑らかさを、私の賜物を包み締め上げるヒダの熱さを、抱いても抱いてもすり抜けてしまう、まるで蜃気楼のようなウリエルを、ぐちゃぐちゃに壊したくなる。
それと同じぐらい
甘やかせてかわいがってどろどろに愛したくなる。
少なくとも、ウリエルは今、私を感じているはずだ。
憎しみだろうが怒りだろうが私の事を強く意識しているはずだ。
あの時の無機質なウリエルではない。
今、ここでこの娘を壊したらウリエルはどうなるだろうか?
劣情で賜物が熱くいきりたつ。
シュッ……
ダガーが私の頬を切り裂く。
間髪いれずに次のタガーが私の髪をかすめる。
ウリエルと同じまっすぐで曇りなき眼でこちらを睨みつける。
耳元のイヤリングが射すように光輝く。
あれは……
裁きの剣。
ウリエルではなく、その娘が引き継いだのか…
両親を殺した男を無罪にした剣。
主は剣をかかげ言った。
「罪を赦し人を愛しましょう。」と……
あの時、幼かった私から両親を奪った男を主は
赦すだけではなく、愛せと言ったのだ。
愛せ……と。
あの時、主の手に握られていた裁きの剣が…
まずは力を……
私は闇へとかえる。
おじ様が浄化と再生の光を放つ。
「ありがとう。クリスティーナ……
私に捨てる勇気をあたえてくれて。」
私はダンテを強く抱きしめる。
「ダンテ、私達は友達なんだから、これからも何かあったら言ってね。
そのかわり私に何かあったら助けてね。」
ダンテが私を強く抱きかえす。
「約束するよ。
何があってもクリスティーナを守るって。」
ポッポポポゥ
鳩殿下が私の頭に乗ってツツキはじめる。
ダンテが、笑いながら
「殿下のお怒りがひどくならないうちに……
名残惜しいですが、私はここで失礼します。」
ダンテが鳩殿下に頭を深々と下げると立ち去っていく。
私は頭の上に乗っかっている鳩殿下をつかむと
「殿下、そろそろ言いたいことがあるなら鳩にならずに口に出して下さい。」
ポッポポポゥ…ポッポ
ウルウルと瞳を潤ませた殿下が私を見つめる。
はぁっ…
私は大きなため息をつくと、鳩殿下のクチバシに優しくキスをおとした。
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