中学生のボク理論〜明けない夜はない〜

十人 秋夜

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イマドキの中学生

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 実際のところボクはそんな変なヤツではないかな、と思ってきた方がいたら良いのだが、今度はボクが苦手なことについて話そうと思う。
 もしかしたら適切な言葉があるのかもしれないが、ボクの少ないボキャブラリーの中から選抜した言葉を連ねると、「人間の力」というところがボクの弱点だ。ここでポイントなのが、人間のというところだ。難しいラインではあるが、生物でもセーフではないかと思う。勘の鋭いタイプの方は、つまり人間でないものにはできないことだな、なんて思うかもしれない。大正解に限りなく近い。再びボクなりの例えを使うと、学生の本業のお勉強。テスト採点を半分先生に、半分AI(機械)に任せるとどうなるだろうか。やってみてはないが、おそらくいたって普通の結果になるだろう。普通と言うと漠然としているかもしれないが、大した差はないという感じで受け止めてほしいと思う。では、一応ボクの特技の中の一つのピアノをAIと人が点数化、または順位をつけたとする。これもやったことはないし、人が二人でやったって好みや評価基準によって大きくズレるだろう。と、なると結果に正確さを求めることは難しい。ただ人が評価するということは、こういったこともあるのではないだろうか。演奏のレベルは同じくらいだが、所属教室の知名度や実力はAよりもBの方が良いから、Bの順位を上げる。とか、Aの方が見た目に清潔感があるから順位を上げる。
 では、もしこの順位に優れた方が有名人とコラボできるというゴールがあったらどうだろうか。
 Bの方が実力はあったが、Aの方が人付き合いも良いし、明るい雰囲気の見た目でテレビに映るにしても、CDジャケットになるにしても絵になるから、Aを選ぶ。世の中は様々な人の思惑によって人は振り回されているのではないだろうか。こうなると、機械は演奏だけに集中して評価できるという点と、一定の基準を定めればブレない結果を導けるかもしれない。近い将来、芸術分野のコンクールなどで機械と人の両方で審査することが当たり前になるかもしれない。いやぁ今の高音良かったねぇ、なんて機械が言っていたら笑えてしまうかもしれない。
 ボクにはもう一つ苦手なことがある。好感度を上げることがとてつもなく苦手なのだ。友達は隣の席の子以外にもちゃんといる。毎日コントのようなプチケンカを披露してくれる二人組も決して多くないボクの友達なのだ。そして些細なことで「春ノ日!こいつが!」「あいつが!」なんて言うもんだから、笑いが止まらなくなる。急にお互いに、吉田沙保里と河北麻友子になりきって話し出したり、本当にそこらのお笑い芸人のコントよりも面白いのだ。そしてそんな二人を見つつ、時には暴走しだすボクを止めて普通の世界に引き戻してくれる大事な人達なのだ。
 ただそれは親しくなり、ある程度お互いの事を知った上でのことで、大多数の人からボクを見ると「怖い人」みたいだ。ボクは大人数を前にしてもはっきり喋れるし、人前で意見を言うのも躊躇わない。反論に対してもマッハで答えるのだが、そうするといつでもキリキリしている人に見えてしまうようだ。当然だが、日常的にそうではない。おそらく、ボクのことをあまり知らない人達は、気の強い厄介な人と思っているのだろう。だからか、なんとなくあんまり好かれていない気がするのだが、広く浅い友情よりも狭く深い友情に勝手に満足している。誤解を解こうとも思わない。なぜなら、幅広い交友関係はコミュニケーション能力を高めてくれて、孤独感から切り離してくれる一方で、ストレスが溜まったり、傷ついたり、トラブルに巻き込まれやすかったりもすると思う。実はボクのすぐ側に交友関係が広い人がいる。弟だ。毎日代わる代わる違う友達がピンポンを鳴らし、いつも友達のことばかり話している。もし弟がそういう人でなければたくさん友達が欲しいと思い続けていたかもしれないが、そう良いことばかりではないことを知って、今の自分に満足することができている。
 ボクの苦手なことに触れてきたが、決してボクが「人間の力」がゼロなロボット風の人間ではないし、とびきり一人ぼっちな訳でもない。誰だって苦手なことがある。良いことと悪いことはいつも背中合わせで、良いとこどりができる都合の良い世の中ではない。ボクは人と関わる的なものはない。でも一人になることはあんまり怖くない。一人になると言っても天涯孤独と言う意味ではなく、この後長ーく語ろうと思ってたことにも触れるが、ボクは部活も百人いないくらいの学年の中で15個くらいあるかどうかの部活の中で、たった一人である部に入った。その競技が得意だったとかではなく、中学に入って初心者として始めた。それも「なんとなく」という理由で。
 こんな感じで一人が大丈夫なボクだが、ボクはグダグダっとしたことが嫌いなのだ。あの人がそう言うから付いて行こうとかイヤだ。じゃああの人はボクを引っ張って行かなきゃいけなくなる。そんな申し訳なさにボクは耐えられないのだ。だから自分を偽らず、楽しい友達とまったり学校生活をおこることに満足している。
 ボクの学校だけではないと思いたいのだが、校則に載っていないルールがたくさんあるのも嫌だ。ルールを破りたいとかではなくを知らないだけで先生に怒られるのはおかしいと思うが、顔色をうかがいまくりなボクが物申せる訳もなく、卒業まで残り少なくなってきてしまった。今改善が進められているエレベーターの右か左に寄って乗るということも、当たり前のようにしていたが、確かにどこにもとは書いていなかった。社会の中でルールを守っているだけで上手く付き合っていけるかと言えば、違うと思う。それでも、ルールと気遣いの一部の間に線を引きたいかなとボクは思っている。
 おそらく、だ円形の日本の世の中に、ボクは円に近い正二十角形として収まっている。また下手くそな例えだが、丸っぽいけど角があるというイメージを持っていただければ大丈夫。だから、動くと角が他の人の形にぶつかったりして、削れてしまって痛い、辛い、という感情になっているのではないかと思う。ただ、世の中にはもっと鋭利な三角形や四角形の人、そしてボクの友達のような丸よりも丸い優しく棘のない人もいるだろう。なぜ八福神かというと、八人目の七福神でもおかしくないくらい穏やかだからだ。ちょっぴりボクは憧れていたりもするが、ボクがあんな風になるなんて、ものすごく難しいことも分かっているので、憧れるだけで留めておく。十人十色とよく聞くが、ボクはそれどころか十人百色くらいあると思う。人の中身は平面ではないので、様々な面があり、面ごとに色が違うと思う。色の好みはあるけれど、どれも本当は良い色で、時々出会う嫌な奴っていうのはその組み合わせがボクの組み合わせと違いすぎた人なんだと思う。
 これではボクの友達が不思議な隣の席の子と、コントをしてくれる二人組と、八福神と、強すぎる個性の人ばかりみたいになってしまう。これから話そうと思う友達は彼らほど個性が強い訳ではないが、ボクを今、とても悩ませている子なのだ。
 ボクは、人に思いを強く言えない、人だと勝手に思っている。入学してすぐに、同じクラスのちーさんと仲良くなった。背が低い者同士だったからか、血液型が同じだったからかは分からないが仲良くなった。ボク達の関係はとても歪んでいる。ちーさんは時々ボクに「寂しい」とかこぼすことがある。ラインで電話をすればなかなか切らせてくれなかったりもする。世の中には様々な家庭がある。ボクのように普通に暮らしている方が、少ない時代なのかもしれない。ちーさんのことを知れば知るほど、なおさら放っておけなくなり、ちーさんもそんなボクを分かっているような気がする。
 ちーさんはこんなことをさらっと言ったりもするのだ。「春ノ日が好き」決して告白っという感じの雰囲気でもないし、それが恋愛的な好きなのか、心の隙間を埋めてくれるボクをつなぎとめている感情が好きなのかはわからないが、ボクは笑って「そっか」という。
 ここで注意点として、ボクとちーさんが異性ということはお伝えしたい。
 そろそろちゃんとさせたくて、コントの二人組の片方(小学生から八年同じクラス)に相談したりもした。きっと多くの人もそう言うだろう。「はっきり言えばいいじゃん」ボクだって何度も機会をうかがってきた。でも、たとえそのチャンスがボクの目の前に落ちていてもボクは拾えない。もはや優しさなんかじゃなくて、ただの臆病者なんだと思う。傷ついた顔を見て、さらに自分が傷つくことが分かっているから、傷つけない。こういう人のことを偽善者と呼ぶのかな、なんて自己嫌悪になったりもする。きっとボクはとんだ偽善者で、ちーさんの気持ちに向き合おうともせず、自分が傷つくことを恐れて、作り笑顔でごまかしてる。何が正解で、何が間違いなのか分からなくなってきている。そんなボクにふと思い浮かんだのは、アイツだった。先に結論から言うと「他に好きな人がいる」って言えばいいじゃんと言われたのだ。素直で単純なボクはずっとちーさんのことが好きじゃないことをどう伝えれば良いかしか考えていなかった。さすが隣の席の子だなぁなんて思った。
 が、未だに伝えられないまま夏休みに入ってしまった。ボクはどこまでいってもヘタレのままなのだ。
 ボクはまだ決められていないのだ。このまま卒業してしまえば、しばらく、もしかしたら一生会わないかもしれない。きっと高校に入ったちーさんは早々に別の相手を見つけるに決まっている。ボクなんて一瞬の気の迷いで、本気かどうかだって定かじゃないんだもの。
 またボクは逃げ始めてしまったのだ。難しいのは、ちーさんのボクに対する気持ちが複雑なところだと思う。簡単な恋愛感情とかだったら、もう少し解決し易かったかもしれない。ボクには経験がなさすぎて、どうしたら良いか分からないままなのだ。
 こんなボクの悩みだって、いつか終わりは来るのだ。それでも、放ったらかしにもしたくなくて、ボクの気持ちが固まってから、考えようかなと思う。
 そういえば、最近自殺をする人が多い。ボクは負けず嫌いだから、自ら命を絶つことは負けだと思う。それでも生きるって辛いと思い知らされることがあると、死んでしまえば楽かな、なんて思ってしまう。もし読んでくださっている方の中にボクの同じことを思っている人や、周りにそうっぽい人がいたらこれを唱えてほしい。
「自殺をすると残り生きていたはずの時間の間、水の入ったバケツをずっと持ち続ける」
 つまり人生の辛さは、水の入ったバケツを持ち続けるのと同じくらい辛いのではないだろうか。人は辛いところばかりに目を向け、些細な幸福を見過ごしがちだ。自分を幸せにしてくれるのは自分自身ではないだろうか。だから、一生懸命自分を幸せにしたいと思う。
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