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内緒話は手を取り合って
ザ・引きこもり姫
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ぼんやりとしたひかりに包まれた部屋。
ぼんやりとした意識。
背中の辺りが妙に重い。
あの甲高い笑い声がいつまでも脳髄に響いて、ジオラの優しい笑顔が霞んだ。
こんな自分でギレイベリアが守れるのだろうか。彼に愛されるだけの価値があるのだろうか。そもそもここに、この世に、貢献するどころか、負担をかけている。
そんな風に考えると、わざわざ起き上がるのがバカバカしく感じた。
「奥様、お目覚めでしょうか?お部屋の鍵を開けてください」
困ったメイドの声が聞こえて来て、現実に引き戻される。
「鍵が開かな~い」
腑抜けた声が壁に当たる。もう、誰にも会いたくない。
早く彼に会いたいのに、一人が寂しいのに、この身の側には誰もいない。寒くて冷たい空気に耐え兼ね、布団を顔まで被った。
「奥様、それは大変困ります。お部屋を開けてください」
「実を言いますと、オディールは不出来の子なんです。ですので、フォルゲンカトゥルには不要なんですの」
無駄なことを言う妹。いつも、家族はオデットの味方だ。父親譲りの澄んだ瞳の色と、母親譲りの愛らしい髪の色。たったそれだけ。
そんな姉は家族だけでなく、何もかもを奪っていった。
「ん~もう少し寝させて?」
大嫌いな姉。たくさんの人に好かれる姉。
そんな姉のように振る舞えば、もう寂しい思いをしなくて済むと思っていた。
ただ無理なものは無理である。双子と言えど二人はちっとも似ていない。
「分かりました」
***
「オディール・・・オディール・・・」
肩を激しく揺すられ、うっすらと瞼を開く。
「ん・・・ジークフリード・・・?」
諦めたようにため息を吐いたのはジオラだった。
深緑の髪が目に入り、オディールは自分を起こした人を把握した。
ゆっくり上体を起こし、ぐしゃぐしゃになった髪をなんとなくまとめた。
「オディール?」
「ジオラ様・・・おはようございます・・・」
随分長い間寝ていたようで、寝疲れしてしまった。まだ、若干ぼやけている視界。
そっとジオラの手のひらが頰に当てられ、顔を覗き込まれると、オディールの頰は仄かに染まった。
「泣いていた・・・のか?」
柔らかな声に安心する一方、オデットと親しげにしていた様子がチラついて、オディールは複雑な心情だった。
「いえ・・・昨日、久しぶりに家族と会って・・・疲れてしまいまして・・・」
静かなオディールの言葉は、矛盾していた。
わずかに暗くなるジオラの表情はオディールの視界には入らず、その表情の裏側の複雑な思いまでに気づかない。
「申し訳ないことをしたな。君がこんな所に嫁いで来た理由を考えれば・・・」
「ジオラ様は悪くありません。こんな私がいけないのです」
再び涙が滲んできて、情けない、と自分を突き飛ばす。
真っ白い髪を震える手で梳いて、熟れた柘榴(ザクロ)のような瞳を潤した。
「俺は、オディールがあの人達が言ってたような人だとは思わない」
っ!
その瞳は今にも溶け落ちてしまいそうで、
大きく、大きく、
見開いていた
ぼんやりとした意識。
背中の辺りが妙に重い。
あの甲高い笑い声がいつまでも脳髄に響いて、ジオラの優しい笑顔が霞んだ。
こんな自分でギレイベリアが守れるのだろうか。彼に愛されるだけの価値があるのだろうか。そもそもここに、この世に、貢献するどころか、負担をかけている。
そんな風に考えると、わざわざ起き上がるのがバカバカしく感じた。
「奥様、お目覚めでしょうか?お部屋の鍵を開けてください」
困ったメイドの声が聞こえて来て、現実に引き戻される。
「鍵が開かな~い」
腑抜けた声が壁に当たる。もう、誰にも会いたくない。
早く彼に会いたいのに、一人が寂しいのに、この身の側には誰もいない。寒くて冷たい空気に耐え兼ね、布団を顔まで被った。
「奥様、それは大変困ります。お部屋を開けてください」
「実を言いますと、オディールは不出来の子なんです。ですので、フォルゲンカトゥルには不要なんですの」
無駄なことを言う妹。いつも、家族はオデットの味方だ。父親譲りの澄んだ瞳の色と、母親譲りの愛らしい髪の色。たったそれだけ。
そんな姉は家族だけでなく、何もかもを奪っていった。
「ん~もう少し寝させて?」
大嫌いな姉。たくさんの人に好かれる姉。
そんな姉のように振る舞えば、もう寂しい思いをしなくて済むと思っていた。
ただ無理なものは無理である。双子と言えど二人はちっとも似ていない。
「分かりました」
***
「オディール・・・オディール・・・」
肩を激しく揺すられ、うっすらと瞼を開く。
「ん・・・ジークフリード・・・?」
諦めたようにため息を吐いたのはジオラだった。
深緑の髪が目に入り、オディールは自分を起こした人を把握した。
ゆっくり上体を起こし、ぐしゃぐしゃになった髪をなんとなくまとめた。
「オディール?」
「ジオラ様・・・おはようございます・・・」
随分長い間寝ていたようで、寝疲れしてしまった。まだ、若干ぼやけている視界。
そっとジオラの手のひらが頰に当てられ、顔を覗き込まれると、オディールの頰は仄かに染まった。
「泣いていた・・・のか?」
柔らかな声に安心する一方、オデットと親しげにしていた様子がチラついて、オディールは複雑な心情だった。
「いえ・・・昨日、久しぶりに家族と会って・・・疲れてしまいまして・・・」
静かなオディールの言葉は、矛盾していた。
わずかに暗くなるジオラの表情はオディールの視界には入らず、その表情の裏側の複雑な思いまでに気づかない。
「申し訳ないことをしたな。君がこんな所に嫁いで来た理由を考えれば・・・」
「ジオラ様は悪くありません。こんな私がいけないのです」
再び涙が滲んできて、情けない、と自分を突き飛ばす。
真っ白い髪を震える手で梳いて、熟れた柘榴(ザクロ)のような瞳を潤した。
「俺は、オディールがあの人達が言ってたような人だとは思わない」
っ!
その瞳は今にも溶け落ちてしまいそうで、
大きく、大きく、
見開いていた
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