救いようのないバカを娶りました

十人 秋夜

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病名、かまってかまって病

不機嫌な理由

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ジークフリード・・・

 どこでも聞いたことがないし、彼女の親族にそんな人はいない。
 彼女にとって、寝起きで顔を見るような人だろうか。名前からして、男だろう。
 そんな風にとっさに出てくるような男。

 煙たい
 そんな言葉が似つかわしい。
 胸の中になんとも表現し難い、不快感。
 
 目の前で繰り広げられた、オディールの悪口大会。
 本人の目の前であれだけのことを言って、ケラケラ笑っている。あの人達が考えていることが理解できない。
 散々傷つけられ、一人で泣いたーー
 一人で泣かせてしまったことに、罪悪感があった。黙りこんで、下を向いて、弱々しい拳を強く握って、一体何を思いあの場にいたのだろう。

 なんだか今日は 何もかもが


 手につかない

***

 ピタリと静まった瞬間。
 なんだか気まずい空気の中、気まずい空気に変えた張本人が口を開いた。
「何かありましたか?」
 そそくさと部屋を去る者、慌ててカーテンを閉める者、窓の周りに集まるメイド。
 違和感の漂う空間に、一人だけ何も分からない。
「な、何もございません!会議にはまだ、お時間ございますが・・・」
「こくおーっ!」
「おわっ!」
 思いきり突進して来た小さなもの。
 満面の笑みで抱きつく、無邪気な子供。
「レオ、走ったらいけないと何度言ったら分かるんだ」
 レオ、と呼ばれた少年は、ジオシアン・レオル。ジオラの腹違いの弟であり、先日六歳になったばかりだ。
「レオねっ、レオねっ、かわいー人見たよ!」
 興奮気味に話す幼い弟を見つめ、また成長を実感した。
「もう、女に興味があるのか・・・」
「まっしろなんだよっ、かみのけすっごく白いのっ!」
 心当たりのある女性がジオラの脳裏に浮かび、口元を緩ませた。
(確かに何もしなけりゃ、可愛いかもな・・・・・)
「会いたいか?」
 ジオラは、愛らしい笑顔でコクンと頷く弟の頭を撫でた。

***
 
 寂しげに俯く女の頭を、困ったように撫でて説得でもしているような男。
 背を向けた男の手を引く女。
 困ったように振る舞うくせに、どこか嬉しそうな男。
 納得したのか、小さく手を振る俺の嫁。
 笑顔で手を振り返す、俺の知らない男。

 何も考えずに、その場を去った。

 後先のことなんて考えられなかった。

 どうにもならない感情が胸の中で収まりきらなかった。
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