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第1章 異世界転移とそれからの事
第4話 案内された先 そこは謎の魔法儀式の場所だった
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オレは院長室を出た後、オスリラの後に従って救貧院の奥へと向かっていた。
少しばかり不安もあったので、ここはオスリラに向けて問いかける。
「先ほど院長がおっしゃっていた『処置』とは何なんですか?」
「ご心配はいりませんよ。私も受けた事がありますから」
安心させるようにオスリラは答える。
少なくともウソをついているようには見えない彼女の笑顔を見て、オレも一安心する。
どうやら恐れていた『女装による疑似百合ハーレム』は避けられる見通しだ。
ここは胸をなで下ろすべきだろう。
しばしの後、オレはオスリラに連れられて救貧院の奥に位置する建物に案内された。
それは質素で目立たない様子だが、見るからに頑丈そうな石造建築だ。
位置的にも救貧院の奥まったところにあり、いかにも重大な秘密が隠されていそうな雰囲気がしてくる。
「具体的には何をするんですか? もうここまで来たのだから、オスリラさんも教えてくれていいでしょう?」
「申し訳ないのですが、お教えする権限はないのです。私はあくまでも案内するだけの役割でしかありませんから」
役目の事を盾に取られると、オレとしても引き下がらざるを得ない。
今さら考えても仕方ない。
オレの前には『ハーレム』という名の、洋々たる前途が広がっているのだからその前に少々、煩わしい事があったとしても、笑顔でクリアするしかないのである。
建物の中に入ると、中は質素だが荘厳な空気で満たされている。
やや薄暗いがかなり広い部屋で、中には聖女らしき女性が何人か働いていた。
ここでオスリラは振り返って、オレに真剣な視線を注ぐ。
いよいよらしいな。
オレは覚悟を固めて、彼女に対面する。
「それではお願いを聞いていただけますか?」
「なんでしょうか?」
「服を全て脱いでいただきたいのです」
オスリラの言葉には冗談の余地は微塵もなかった。
「あのう……」
さすがのオレも少々困惑する。
いくら何でもこれは予想外だった。
まあ十八禁作品のように『ここで衆人環視の中、交わります』なんて事はさすがに無いだろうが、それでも女性の前で全裸になることには躊躇せざるを得ない。
「どうぞ。よろしくお願いします」
「いえ……その……」
オレの困惑を見てオスリラは深々と頭を下げるけどその態度には有無を言わさぬものがあって、こっちは思わず後ずさる。
そりゃあ冷静に考えればオスリラはじめ聖女達は、医者でもあるわけなので、医療行為の最中に男の股間を見る事など、日々行っている当然の業務活動だろう。
意識などしないのはむしろ当然と言える。
だがオレの方はそういうわけにはいかないのだ。
少なくともオレには露出趣味はないし、もちろん男性ストリッパーになろうと思ったことも無い。
なにしろオレは母親以外の女性に自分の秘められたところを見せた事も無い、そんな奥手な高校生なのだ。
「世俗を捨て、古い己を捨てるために、ここで全てを脱ぎ去らねばならないのです。お分かり下さい」
ああ。そういえばオスリラも、成長してから回復魔法の才能を見いだされてスカウトされたのだったな。
だからこの儀式も知っているわけで、オレが全裸になる必要があることも当然、ご存じの上でここまで案内してくれたわけだ。
これは要するにオスリラはこのオレを『異性』としては、全く意識してないということも意味している。
まあいい。彼女をハーレムに入れるには、何らかのイベントが必要だって事だ。
とにかくオレの夢である『世界に一人だけの男子』としてハーレムを建設するためだと思えば、ここは我慢するより他はあるまい。
そんなわけでオレは並々ならぬ決意と共に、自らの服を脱ぎ去ることにした。
しばしの後『生まれたままの姿』となったオレは、周囲の美女達の視線を一身に受けていた。
たぶん元の世界で同じ目に遭っていたら、むしろオレはビビって縮み上がっていただろう。
残念ながらオレはゲーム世界以外で、女と付き合った事がないのだ。
だけどここは異世界で、オレはチートだと思うと、むしろ興奮して血が頭と共に下半身にも集まってくるのを感じざるを得なかった。
そして全裸となったオレが案内されたのは、薄暗い中で魔方陣とおぼしき光がぼんやりと輝いているところであり、待っていたらしい幾人もの聖女は無言でその中央部を指し示す。
どうやらそこに横たわれという事らしく、オレは言われたとおりにする。
横たわったオレの股間が血でたぎっているのを見て、オスリラは懐かしげに小さな感嘆の声を挙げた。
「ああ……私は『それ』がどういうものだったか殆ど忘れてしまいましたけど、すぐにあなたも同じになりますよ」
「え? それはどういう意味――」
オスリラの不可解な言葉にオレが不安を感じて、問いかけようとした瞬間、横たわっていた魔方陣が輝き、そこから発された『光の網』がオレの身体を包み込んだ。
いったいこれはなに――
発しようとした言葉は形にならず、瞬く間にオレの意識も身体も暗闇の中へと呑み込まれていった。
「さようなら。アタルさん」
オレが最期に耳にしたのは、少しばかり寂しげなオスリラの別れの声だった。
少しばかり不安もあったので、ここはオスリラに向けて問いかける。
「先ほど院長がおっしゃっていた『処置』とは何なんですか?」
「ご心配はいりませんよ。私も受けた事がありますから」
安心させるようにオスリラは答える。
少なくともウソをついているようには見えない彼女の笑顔を見て、オレも一安心する。
どうやら恐れていた『女装による疑似百合ハーレム』は避けられる見通しだ。
ここは胸をなで下ろすべきだろう。
しばしの後、オレはオスリラに連れられて救貧院の奥に位置する建物に案内された。
それは質素で目立たない様子だが、見るからに頑丈そうな石造建築だ。
位置的にも救貧院の奥まったところにあり、いかにも重大な秘密が隠されていそうな雰囲気がしてくる。
「具体的には何をするんですか? もうここまで来たのだから、オスリラさんも教えてくれていいでしょう?」
「申し訳ないのですが、お教えする権限はないのです。私はあくまでも案内するだけの役割でしかありませんから」
役目の事を盾に取られると、オレとしても引き下がらざるを得ない。
今さら考えても仕方ない。
オレの前には『ハーレム』という名の、洋々たる前途が広がっているのだからその前に少々、煩わしい事があったとしても、笑顔でクリアするしかないのである。
建物の中に入ると、中は質素だが荘厳な空気で満たされている。
やや薄暗いがかなり広い部屋で、中には聖女らしき女性が何人か働いていた。
ここでオスリラは振り返って、オレに真剣な視線を注ぐ。
いよいよらしいな。
オレは覚悟を固めて、彼女に対面する。
「それではお願いを聞いていただけますか?」
「なんでしょうか?」
「服を全て脱いでいただきたいのです」
オスリラの言葉には冗談の余地は微塵もなかった。
「あのう……」
さすがのオレも少々困惑する。
いくら何でもこれは予想外だった。
まあ十八禁作品のように『ここで衆人環視の中、交わります』なんて事はさすがに無いだろうが、それでも女性の前で全裸になることには躊躇せざるを得ない。
「どうぞ。よろしくお願いします」
「いえ……その……」
オレの困惑を見てオスリラは深々と頭を下げるけどその態度には有無を言わさぬものがあって、こっちは思わず後ずさる。
そりゃあ冷静に考えればオスリラはじめ聖女達は、医者でもあるわけなので、医療行為の最中に男の股間を見る事など、日々行っている当然の業務活動だろう。
意識などしないのはむしろ当然と言える。
だがオレの方はそういうわけにはいかないのだ。
少なくともオレには露出趣味はないし、もちろん男性ストリッパーになろうと思ったことも無い。
なにしろオレは母親以外の女性に自分の秘められたところを見せた事も無い、そんな奥手な高校生なのだ。
「世俗を捨て、古い己を捨てるために、ここで全てを脱ぎ去らねばならないのです。お分かり下さい」
ああ。そういえばオスリラも、成長してから回復魔法の才能を見いだされてスカウトされたのだったな。
だからこの儀式も知っているわけで、オレが全裸になる必要があることも当然、ご存じの上でここまで案内してくれたわけだ。
これは要するにオスリラはこのオレを『異性』としては、全く意識してないということも意味している。
まあいい。彼女をハーレムに入れるには、何らかのイベントが必要だって事だ。
とにかくオレの夢である『世界に一人だけの男子』としてハーレムを建設するためだと思えば、ここは我慢するより他はあるまい。
そんなわけでオレは並々ならぬ決意と共に、自らの服を脱ぎ去ることにした。
しばしの後『生まれたままの姿』となったオレは、周囲の美女達の視線を一身に受けていた。
たぶん元の世界で同じ目に遭っていたら、むしろオレはビビって縮み上がっていただろう。
残念ながらオレはゲーム世界以外で、女と付き合った事がないのだ。
だけどここは異世界で、オレはチートだと思うと、むしろ興奮して血が頭と共に下半身にも集まってくるのを感じざるを得なかった。
そして全裸となったオレが案内されたのは、薄暗い中で魔方陣とおぼしき光がぼんやりと輝いているところであり、待っていたらしい幾人もの聖女は無言でその中央部を指し示す。
どうやらそこに横たわれという事らしく、オレは言われたとおりにする。
横たわったオレの股間が血でたぎっているのを見て、オスリラは懐かしげに小さな感嘆の声を挙げた。
「ああ……私は『それ』がどういうものだったか殆ど忘れてしまいましたけど、すぐにあなたも同じになりますよ」
「え? それはどういう意味――」
オスリラの不可解な言葉にオレが不安を感じて、問いかけようとした瞬間、横たわっていた魔方陣が輝き、そこから発された『光の網』がオレの身体を包み込んだ。
いったいこれはなに――
発しようとした言葉は形にならず、瞬く間にオレの意識も身体も暗闇の中へと呑み込まれていった。
「さようなら。アタルさん」
オレが最期に耳にしたのは、少しばかり寂しげなオスリラの別れの声だった。
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