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第8章 ライバンス・魔法学院編
第181話 女神の化身に……だが謎は深まる
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絶体絶命だった危機を乗り切って、本来ならば歓喜するべき場面のはずなんだけど、オレは自分の身に起きた異常事態 ―― たぶん性転換させられた時以来の驚愕だと思う ―― に思わず立ちすくんでいた。
ここでオレの心に安心させるような声が響く。
ただしそれはどういうわけか、外からではなく、オレの内から聞こえてくるように感じられたのだ。
『分かりませんか? 今のあなたはわたくしの化身となっているのですよ』
「え? どういうことです?」
『何度も言っているように神は自らの権能を通じてのみ、力を振るう事しか許されていません。しかし例外が一つだけあります。自らの力を吹き込み相手を化身とすることでこの世界でも限定的ですが力を使う事が出来るようになります』
つまり今の大人になったように見えるオレは成長したのではなく、前よりも更に女神に近い姿に変わったと表現するのが正しいのだろう。
もともと髪や目の色は一緒だったし、顔立ちもかなり似ていた様子だから、それで一見すれば成長しただけに思える外見になったらしい。
ついでに言えば服装は既にボロボロなんだけど、お陰であちこちきわどいところがギリギリ見えるようで見えない、かなりエロい格好になっているようだ。
『当然ながらそれが出来るのはその器となるものが、神の力を受け入れるだけの存在でなければ、仮に化身としても力を振るうことなど出来ませんが、あなたには十分にその資格があります』
そんな事を言われても全くありがたみがありません。
しかしこの危機を切り抜けられただけでも、感謝するしかないんだろうな。
だけど更に女神に近づくということは、どう好意的に受け止めようと、オレの本来の目的とは正反対だよ。
窮地を切り抜けられたところで、全く喜ばしく思えない。
とにかくこの場合はせめて『元のアルタシャ』に戻れるよう、女神様にはさっさとオレの身体を離れてもらいたいところだ。
『しかしわたくしはこれまで数多の者に力を分け与えてきましたが、殆どの者は力を引き出す事も出来ず、その身を離れるしかありませんでした。それを考えるとあなたはわたくしが現し身とした中でも、もっとも優れた器と言えるでしょう』
なんですかその言いぐさは?
ひょっとしてこれからも呼べばオレの身に宿ってくれるとでも?
そんな事は真っ平ゴメンだよ。
信徒にとっては自分の身体が神の器になるなんて、最高の栄誉なんでしょうけどオレにとっては『どうしようもなくなって、やむなく選ぶ最後の手段』なんですよ。
「ありがたすぎて感涙で窒息しそうですけど、出来ればもう遠慮させてもらいたいです」
『そうですか? 確かに殆ど全ての信徒は生涯でただ一度、我が力を受け入れる機会があるかないかですが、あなたでしたら――』
そこまでイロールが口にしたところで、オレに耳には別の方向から困惑の声が響いてきた。
「君は……アルタシャなのか?」
思わず振り向くと、そこではガランディアがオレを凝視していた。
その目には周囲の惨劇だとか、破壊の爪痕だとかは全く写っておらず、ただ度肝を抜かれてオレを見つめているだけだった。
まあ要するに状況を忘れて、オレに見とれていたということだ。
先ほどの事をどこまでガランディアが覚えているかよく分からないが、さすがにホン・イール相手にあそこまでしでかしたのを記憶しておきながら、オレに見とれるような人でなしとは思いたくないな。
「その姿はいったい……どういうことなんだ?」
おいおい。オレを凝視するあまり周囲の有様が目に入ってないぞ。
しかしこのままにしておくわけにもいかないが、説明するとなるといろいろと厄介だ。
仕方ないので肝心な部分は先送りにする。
「すみません。後で説明しますから、今はもっとやるべき事があります」
「そ、そうだね……確かに言われてみればそうだ」
ここでようやくガランディアは周囲の惨状に自分の認識が追いついたらしい。
本当にスケベ野郎だな。
まあ今はそんな事などどうでもいい。
非道な実験に使われた結果、浮かばれない怨霊共を追い払ったからと言って、事態が全て解決したわけじゃない。
致命傷を受けているはずのホン・イールの事もあれば、力尽きたらしけどどうなっているのか分からないビューゼリアンの件もある。
ガランディアだって乗っ取られていたとしても、それで罪を問われずに済むかどうかは別の問題だ。
そして何よりオレ自身の身体が、このままというのはひとまず避けたい。
そりゃまあ男だった時の原型を止めていないと言う点では、さっきまでの少女の姿と今の大人の女性の姿とでは五十歩百歩かもしれない。
もちろん女である事に変わりは無いし、敢えて言えば『元のアルタシャ』が成長したらこんな姿になるのだろうけど、それでもこれ以上この身を変えられるのは激しく遠慮したい。
やっぱり年齢的にも元の男子だったときに近い方がいいのだ。
それとあんまり認めたくないのだが、やっぱり少女だったときの姿の方にどこか愛着めいたものが心に芽生えている事を否定出来ない自分がいたのだ。
うう。ますます男だった時の事が遠ざかっていく一方の気がするよ。
勝利したはずなんだけど、むしろ自分が負けたように思えるのは気のせいじゃないはずだ。
美しき女神様と身も心もひとつになるなんて、これが男の頃のオレだったら、歓喜して彼女の胸に飛び込みつつ、あんなことやこんなことをしまくったはず ―― 嘘です。
もし男のオレがこの場にいても、たぶん今のガランディアのように圧倒され、見とれて立ちすくむのがやっとだったろうな。
だけどオレの場合はガランディアと違って、好意を抱いてくれる女の子なんて一人もいなかったわけだが。
ええい! そんな事はどうでもいい!
とりあえずガランディアを落ち着かせたところで、脳裏にはこの身に宿っている女神の言葉が飛び込んでくる。
『もうわたくしがこれ以上、この世に留まる必要はありませんね? それではまたしばしのお別れです』
ここでオレはどうしても放置するわけにいかない疑問を確認する。
「ちょっと待って下さい。こっちはこれからずっとこの姿なんですか?」
『いいえ。あなたに宿っていたのはごく短時間ですから、影響は一時的なものです。しばらくすれば元通りになるでしょう』
あんたの言う『元通り』はオレにとってはその言葉の意味通りじゃないんだけど、それでも一安心というところだろうか。
それでも神様の器にされるような、とんでもないパワーアップには何か代償がつきまとう可能性がある。
使うたびに記憶が消えるとか、回復不能のダメージを受けて次第に身体がぼろぼろになっていくなんて、実にありがちな展開じゃないか。
しかもそれを神様の方が隠していて、本当に取り返しがつかない状況までこっちが気づかなかったりするから、まるで安心出来ないよ。
都合のいい言いぐさかもしれないけど、本当に命がけで無い限り、こんなことはこれっきりにしてもらいたい。
それともう一つ確認しておきたい事もある。
「あのう。ガランディアは変な怨霊に憑かれていたのですけど、大丈夫なのでしょうか?」
『かの者に宿っていたのは、長年の間にただ恨みだけが残り、他の者を吸収してその憎しみを晴らすことしか考えられなくなった低級な霊体です』
口調は丁寧だけど、やっぱり蔑みの感情が含まれているな。
オレやガランディアは一歩間違えば、あいつらの一部になりかねなかったのだけど、たぶんこの女神はそんな事を気にもとめていない。
『あれはただ単に、あなたの魔力を吸収したのであれだけの力を放つ事が出来るようになったに過ぎません。取り憑いた人間を操ることは出来ても、その身体に目に見えるような影響を与えるほどの存在ではありませんよ』
そうか。それはいちおう安心だな。
『それでは一時のお別れです。また会いましょう』
「もう次は……二度は真っ平ですよ」
オレはこの身から去りゆく女神にどうにかそれだけを伝える。
だがここでまたしてもイロールはどこか困った様子で返事をしてきた。
『次が二度目? あなたはまた勘違いをしていますね』
「どういうことです?」
おいおい。オレがあんたの現し身になったのは、今回が初めてだろう。
幾らオレがドジでも、こんなことが前にあったら忘れるはずがない。
しかし小さくフェードアウトしていく女神の意志は最後に思わぬ事をオレに伝えてきた。
『わたくしがあなたに宿るのは、もう今回が二度目ですよ』
「え? 二度目……なんですって?」
それでは一度目はいったい何だったんだ?
『そろそろ消えます。後の事はあなたにお任せしましょう』
「だから話がまだ――」
オレの問いかけは空しく中空に呑み込まれ、返答は消え失せた。
そしてそれと共に、オレに身は先ほどと同様にズシリと重りがのせられたような感覚が生じる ―― 実際には女神に取り憑かれていた時が力にあふれて軽かったというべきなんだろう。
しかしオレがイロールの化身になるのはこれが二度目だって?
絶対におかしい。その件についてこちらの記憶には欠片ものこっていない。
いくら何でも寝ているうちにこっそりオレを化身に変えて、身体を操っていたとかそんなお茶目な真似はしないだろう。
この話が嘘でないとしたら、オレが覚えていないだけなのか?
ひょっとしたら女神と一体になる度に、過去の記憶が失われていって、最終的には完全に呑み込まれてしまうとか、そんなハードな展開が待っているのか?
いや。それも不自然だな。
もしその想像の通りだったのなら、今まで数多くの人間を化身としてきたらしいイロールは、こちらの記憶が欠落して一度目を忘れているであろうことに即座に気付いたはずだ。
それがあの女神にとって望ましい事なのであれば、わざわざこちらに指摘するのはおかしいし、逆に望ましく無いのなら記憶が欠落する事を伝えるだろう。
もちろんファンタジーだと『なんでそんな大事なことを黙っていたの?』と後でツッコミを入れられる神様は全く珍しくない。
これまでの接触からどうもあの女神は何かを隠す気は無いけど、重要なところに気付いていない可能性が高いな。
まあどっちにしても何度もあの女神と一体にはなりたくないので、もう二度とこんなことはしない ―― で済ませられたらいいなあ。
なにしろ今までこんな願望がかなった事は一度として無いのだ。
とりあえず今は気分を切り替えて、目の前の事をどうにか片付け、後の事はそれから考えよう。
ここでオレの心に安心させるような声が響く。
ただしそれはどういうわけか、外からではなく、オレの内から聞こえてくるように感じられたのだ。
『分かりませんか? 今のあなたはわたくしの化身となっているのですよ』
「え? どういうことです?」
『何度も言っているように神は自らの権能を通じてのみ、力を振るう事しか許されていません。しかし例外が一つだけあります。自らの力を吹き込み相手を化身とすることでこの世界でも限定的ですが力を使う事が出来るようになります』
つまり今の大人になったように見えるオレは成長したのではなく、前よりも更に女神に近い姿に変わったと表現するのが正しいのだろう。
もともと髪や目の色は一緒だったし、顔立ちもかなり似ていた様子だから、それで一見すれば成長しただけに思える外見になったらしい。
ついでに言えば服装は既にボロボロなんだけど、お陰であちこちきわどいところがギリギリ見えるようで見えない、かなりエロい格好になっているようだ。
『当然ながらそれが出来るのはその器となるものが、神の力を受け入れるだけの存在でなければ、仮に化身としても力を振るうことなど出来ませんが、あなたには十分にその資格があります』
そんな事を言われても全くありがたみがありません。
しかしこの危機を切り抜けられただけでも、感謝するしかないんだろうな。
だけど更に女神に近づくということは、どう好意的に受け止めようと、オレの本来の目的とは正反対だよ。
窮地を切り抜けられたところで、全く喜ばしく思えない。
とにかくこの場合はせめて『元のアルタシャ』に戻れるよう、女神様にはさっさとオレの身体を離れてもらいたいところだ。
『しかしわたくしはこれまで数多の者に力を分け与えてきましたが、殆どの者は力を引き出す事も出来ず、その身を離れるしかありませんでした。それを考えるとあなたはわたくしが現し身とした中でも、もっとも優れた器と言えるでしょう』
なんですかその言いぐさは?
ひょっとしてこれからも呼べばオレの身に宿ってくれるとでも?
そんな事は真っ平ゴメンだよ。
信徒にとっては自分の身体が神の器になるなんて、最高の栄誉なんでしょうけどオレにとっては『どうしようもなくなって、やむなく選ぶ最後の手段』なんですよ。
「ありがたすぎて感涙で窒息しそうですけど、出来ればもう遠慮させてもらいたいです」
『そうですか? 確かに殆ど全ての信徒は生涯でただ一度、我が力を受け入れる機会があるかないかですが、あなたでしたら――』
そこまでイロールが口にしたところで、オレに耳には別の方向から困惑の声が響いてきた。
「君は……アルタシャなのか?」
思わず振り向くと、そこではガランディアがオレを凝視していた。
その目には周囲の惨劇だとか、破壊の爪痕だとかは全く写っておらず、ただ度肝を抜かれてオレを見つめているだけだった。
まあ要するに状況を忘れて、オレに見とれていたということだ。
先ほどの事をどこまでガランディアが覚えているかよく分からないが、さすがにホン・イール相手にあそこまでしでかしたのを記憶しておきながら、オレに見とれるような人でなしとは思いたくないな。
「その姿はいったい……どういうことなんだ?」
おいおい。オレを凝視するあまり周囲の有様が目に入ってないぞ。
しかしこのままにしておくわけにもいかないが、説明するとなるといろいろと厄介だ。
仕方ないので肝心な部分は先送りにする。
「すみません。後で説明しますから、今はもっとやるべき事があります」
「そ、そうだね……確かに言われてみればそうだ」
ここでようやくガランディアは周囲の惨状に自分の認識が追いついたらしい。
本当にスケベ野郎だな。
まあ今はそんな事などどうでもいい。
非道な実験に使われた結果、浮かばれない怨霊共を追い払ったからと言って、事態が全て解決したわけじゃない。
致命傷を受けているはずのホン・イールの事もあれば、力尽きたらしけどどうなっているのか分からないビューゼリアンの件もある。
ガランディアだって乗っ取られていたとしても、それで罪を問われずに済むかどうかは別の問題だ。
そして何よりオレ自身の身体が、このままというのはひとまず避けたい。
そりゃまあ男だった時の原型を止めていないと言う点では、さっきまでの少女の姿と今の大人の女性の姿とでは五十歩百歩かもしれない。
もちろん女である事に変わりは無いし、敢えて言えば『元のアルタシャ』が成長したらこんな姿になるのだろうけど、それでもこれ以上この身を変えられるのは激しく遠慮したい。
やっぱり年齢的にも元の男子だったときに近い方がいいのだ。
それとあんまり認めたくないのだが、やっぱり少女だったときの姿の方にどこか愛着めいたものが心に芽生えている事を否定出来ない自分がいたのだ。
うう。ますます男だった時の事が遠ざかっていく一方の気がするよ。
勝利したはずなんだけど、むしろ自分が負けたように思えるのは気のせいじゃないはずだ。
美しき女神様と身も心もひとつになるなんて、これが男の頃のオレだったら、歓喜して彼女の胸に飛び込みつつ、あんなことやこんなことをしまくったはず ―― 嘘です。
もし男のオレがこの場にいても、たぶん今のガランディアのように圧倒され、見とれて立ちすくむのがやっとだったろうな。
だけどオレの場合はガランディアと違って、好意を抱いてくれる女の子なんて一人もいなかったわけだが。
ええい! そんな事はどうでもいい!
とりあえずガランディアを落ち着かせたところで、脳裏にはこの身に宿っている女神の言葉が飛び込んでくる。
『もうわたくしがこれ以上、この世に留まる必要はありませんね? それではまたしばしのお別れです』
ここでオレはどうしても放置するわけにいかない疑問を確認する。
「ちょっと待って下さい。こっちはこれからずっとこの姿なんですか?」
『いいえ。あなたに宿っていたのはごく短時間ですから、影響は一時的なものです。しばらくすれば元通りになるでしょう』
あんたの言う『元通り』はオレにとってはその言葉の意味通りじゃないんだけど、それでも一安心というところだろうか。
それでも神様の器にされるような、とんでもないパワーアップには何か代償がつきまとう可能性がある。
使うたびに記憶が消えるとか、回復不能のダメージを受けて次第に身体がぼろぼろになっていくなんて、実にありがちな展開じゃないか。
しかもそれを神様の方が隠していて、本当に取り返しがつかない状況までこっちが気づかなかったりするから、まるで安心出来ないよ。
都合のいい言いぐさかもしれないけど、本当に命がけで無い限り、こんなことはこれっきりにしてもらいたい。
それともう一つ確認しておきたい事もある。
「あのう。ガランディアは変な怨霊に憑かれていたのですけど、大丈夫なのでしょうか?」
『かの者に宿っていたのは、長年の間にただ恨みだけが残り、他の者を吸収してその憎しみを晴らすことしか考えられなくなった低級な霊体です』
口調は丁寧だけど、やっぱり蔑みの感情が含まれているな。
オレやガランディアは一歩間違えば、あいつらの一部になりかねなかったのだけど、たぶんこの女神はそんな事を気にもとめていない。
『あれはただ単に、あなたの魔力を吸収したのであれだけの力を放つ事が出来るようになったに過ぎません。取り憑いた人間を操ることは出来ても、その身体に目に見えるような影響を与えるほどの存在ではありませんよ』
そうか。それはいちおう安心だな。
『それでは一時のお別れです。また会いましょう』
「もう次は……二度は真っ平ですよ」
オレはこの身から去りゆく女神にどうにかそれだけを伝える。
だがここでまたしてもイロールはどこか困った様子で返事をしてきた。
『次が二度目? あなたはまた勘違いをしていますね』
「どういうことです?」
おいおい。オレがあんたの現し身になったのは、今回が初めてだろう。
幾らオレがドジでも、こんなことが前にあったら忘れるはずがない。
しかし小さくフェードアウトしていく女神の意志は最後に思わぬ事をオレに伝えてきた。
『わたくしがあなたに宿るのは、もう今回が二度目ですよ』
「え? 二度目……なんですって?」
それでは一度目はいったい何だったんだ?
『そろそろ消えます。後の事はあなたにお任せしましょう』
「だから話がまだ――」
オレの問いかけは空しく中空に呑み込まれ、返答は消え失せた。
そしてそれと共に、オレに身は先ほどと同様にズシリと重りがのせられたような感覚が生じる ―― 実際には女神に取り憑かれていた時が力にあふれて軽かったというべきなんだろう。
しかしオレがイロールの化身になるのはこれが二度目だって?
絶対におかしい。その件についてこちらの記憶には欠片ものこっていない。
いくら何でも寝ているうちにこっそりオレを化身に変えて、身体を操っていたとかそんなお茶目な真似はしないだろう。
この話が嘘でないとしたら、オレが覚えていないだけなのか?
ひょっとしたら女神と一体になる度に、過去の記憶が失われていって、最終的には完全に呑み込まれてしまうとか、そんなハードな展開が待っているのか?
いや。それも不自然だな。
もしその想像の通りだったのなら、今まで数多くの人間を化身としてきたらしいイロールは、こちらの記憶が欠落して一度目を忘れているであろうことに即座に気付いたはずだ。
それがあの女神にとって望ましい事なのであれば、わざわざこちらに指摘するのはおかしいし、逆に望ましく無いのなら記憶が欠落する事を伝えるだろう。
もちろんファンタジーだと『なんでそんな大事なことを黙っていたの?』と後でツッコミを入れられる神様は全く珍しくない。
これまでの接触からどうもあの女神は何かを隠す気は無いけど、重要なところに気付いていない可能性が高いな。
まあどっちにしても何度もあの女神と一体にはなりたくないので、もう二度とこんなことはしない ―― で済ませられたらいいなあ。
なにしろ今までこんな願望がかなった事は一度として無いのだ。
とりあえず今は気分を切り替えて、目の前の事をどうにか片付け、後の事はそれから考えよう。
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