222 / 1,316
第9章 『思想の神』と『英雄』編
第222話 神様の次は人間達を口八丁でどうにかする
しおりを挟む
ウルハンガからいっとき力を貸してもらったと言えど、今のオレに出来る事など所詮は限られている。
少なくとも圧倒的な神の力を示し、連中を屈服させるなんて都合のいい事はオレには不可能なのだ ―― もっともそんな力があったとしても、オレがそれを振るうかと言えば、たぶん出来ないだろうな。
だがこの時を逃したらまた凄惨な戦いが始まって、どの勢力が勝とうが多大な犠牲は避けられない。
その元凶であるウルハンガ本人はもう姿を消して、今はオレの中に入っている ―― ちょっと卑猥な気がするが ―― だけであったとしてもそれを聞いてハイそうですかと引き下がってくれるような物わかりのいい連中だったら、そもそもこんな殺し合いを始めるはずがないんだ。
そんなわけでオレはいま固唾を呑んでこっちを見守っている連中を、それぞれを引き下がらせるために、何を言えばいいのだろうか。
いや。細かい事を考えていても仕方ない。
いまこの場に集まっている奴らについてオレの理解を最大限振り絞って、戦いをやめさせるしかないんだ。
幸いにもそれぞれの連中に別の意志を伝える事が出来るということは、全く別の事を伝えても大丈夫ということだな。
どうせこいつらは互いの意志疎通なんてやる気も無いし、発言を録音されて広められるわけでもないから、別々に矛盾した事を言っても付き合わされる心配は無い ―― この世界がそんな状態だからウルハンガの思想にダメ出ししたオレなのだが、今はそれを最大限に利用させてもらうおう。
とりあえずウルハンガを『偉大な光の神として崇めている連中』に対しては――
『ウルハンガは争いばかりのこの世を離れ、より高みを目指し、新たな啓発を得るために去りました。あなたたちもウルハンガに倣って、争いをやめて元いたところに戻りなさい』
オレのこの呼びかけを受け、連中のなかには安堵と喜び、そして一部には落胆が湧きあがったようだ。
落胆したのは千年前の偉大な帝国の伝説を知っていて、その再興を夢見ていた奴らなんだろうなあ。申し訳ないけど、その夢はずっと先にウルハンガともども生まれ変わって実現してくれ。
「!!!」
連中は口々にオレに問いかけてきているが、あいにくそれに答えてやるほどオレは人が良くない ―― というよりはそこまで嘘つきにもなりきれないのが、オレの限界というものなんだろうな。
幸いにもウルハンガは女神の姿 ―― その場合の名はラーショナラ ―― を取ることも広く知られている。それがあって連中はどうやらオレがラーショナラの化身だと思っているようだ。
自分から敢えて騙す気は無いけど、向こうが誤解しているならそのままにしておこう。
『ウルハンガは皆さんの事を決して忘れません。だから次に再臨した時に備えて、あなた方の家族や教会の元に戻りなさい』
この言葉を受けて、連中にはどこかホッとした空気が流れる。
まあ探し求めていた神様が更に高みを目指して去って行ったという話 ―― 全部嘘では無いからな ―― は連中にとっても『落としどころ』として十分だろう。
これで満足して引いてくれる事を祈るしか無い。
そしてウルハンガを『人々の心を腐らせる《裏切りもの》の邪神』だと思って打倒に来た連中にはどうするか。
『あなた方の追っていた《裏切りもの》は消しました。もうこの世界のどこにもいません。だからもうこれ以上、あなた達は戦う必要はありません』
オレの言葉を受けて、連中には喜びの色が広がるが、同時に困惑も見える。
そりゃまあいきなり現れた『どこの誰か知らない光輝く乙女』が彼らの追い求めていた邪神を消し去ったと言ってそれを簡単に信じられるはずが無い。
しかしそこでオレの姿を見ていた連中から驚きと問いかけの声が上がる。
「もしや……あなた様はイロールの化身と言われる聖女アルタシャ様でございますか?」
うげえ。どことなく予想していたけど、勝手に名声が広がっているからオレの容姿を見れば、そこの見当ぐらいはついて当然か。
ここは不本意だが付き合うしかない。
『そうです。アルタシャです。皆さんにかわって、わたしが《裏切りもの》をこの世界から去るようにしたのです。もう戦う事はありません』
ああ。自分から『アルタシャ』の名前を使って、大勢の人を動かす真似をしたのは初めだけど、やむを得ない事とは言えどまたどこかで一線を越えてしまった気がしてくるよ。
そしてオレの言葉を聞いた連中は、次から次に歓声を上げてこちらを称えているようだ。
思惑通りなのにまるで嬉しくないのは、いつものことだけどな。
そしてウルハンガを『自分たちの悪行を支持する邪神』として崇拝している連中に対してはもっと厳しく行くべきだろう。
『ウルハンガ ―― 邪神グバシは消え失せました。もうあなた方の悪行を認めるものはいないのです』
「!!!」
連中はオレの言葉を聞いて、大多数は愕然となったようだ。
元の世界の狂信者だと、実際に神様なんて存在しないからこそ、説得で引き下がらせるのは困難だったけど、こっちの世界だと彼らの目の前で神様の象徴とおぼしき『光の巨人』が消えてしまったので、それを目の当たりにした以上、受け入れざるを得まい。
『もしもこれ以上、争うというならばあなた達もグバシの後を追わせる事になりますよ』
ここで連中は話しの途中でありながら、次から次へと慌てて逃げ出す。
まあ殆どはちょっと前の漁港でオレとエウスブスを襲ってきたような、チンピラ連中だったのだろうから、当てにしていたウルハンガが消えたらとっとと逃げ出すはずだ。
他にもいろいろな連中がいるようだけど、だいたいそいつらに合わせて適当な事を伝えたら大体は戦意を喪失してくれたらしい。
これも今の『アルタシャ』が『ウルハンガの力を受けてまばゆく輝く乙女』になっているからで、これが男子高校生だった時のオレの姿で接してもまるで相手にされなかった事だけは間違いない。
それが分かっていて、去って行く連中を見ながらオレはホッとしたというか、誇らしい気分というか、そういうものを抱いていて、別の意味で自分がヤバい状況にあることをヒシヒシと感じずにはいられなかったよ。
少なくとも圧倒的な神の力を示し、連中を屈服させるなんて都合のいい事はオレには不可能なのだ ―― もっともそんな力があったとしても、オレがそれを振るうかと言えば、たぶん出来ないだろうな。
だがこの時を逃したらまた凄惨な戦いが始まって、どの勢力が勝とうが多大な犠牲は避けられない。
その元凶であるウルハンガ本人はもう姿を消して、今はオレの中に入っている ―― ちょっと卑猥な気がするが ―― だけであったとしてもそれを聞いてハイそうですかと引き下がってくれるような物わかりのいい連中だったら、そもそもこんな殺し合いを始めるはずがないんだ。
そんなわけでオレはいま固唾を呑んでこっちを見守っている連中を、それぞれを引き下がらせるために、何を言えばいいのだろうか。
いや。細かい事を考えていても仕方ない。
いまこの場に集まっている奴らについてオレの理解を最大限振り絞って、戦いをやめさせるしかないんだ。
幸いにもそれぞれの連中に別の意志を伝える事が出来るということは、全く別の事を伝えても大丈夫ということだな。
どうせこいつらは互いの意志疎通なんてやる気も無いし、発言を録音されて広められるわけでもないから、別々に矛盾した事を言っても付き合わされる心配は無い ―― この世界がそんな状態だからウルハンガの思想にダメ出ししたオレなのだが、今はそれを最大限に利用させてもらうおう。
とりあえずウルハンガを『偉大な光の神として崇めている連中』に対しては――
『ウルハンガは争いばかりのこの世を離れ、より高みを目指し、新たな啓発を得るために去りました。あなたたちもウルハンガに倣って、争いをやめて元いたところに戻りなさい』
オレのこの呼びかけを受け、連中のなかには安堵と喜び、そして一部には落胆が湧きあがったようだ。
落胆したのは千年前の偉大な帝国の伝説を知っていて、その再興を夢見ていた奴らなんだろうなあ。申し訳ないけど、その夢はずっと先にウルハンガともども生まれ変わって実現してくれ。
「!!!」
連中は口々にオレに問いかけてきているが、あいにくそれに答えてやるほどオレは人が良くない ―― というよりはそこまで嘘つきにもなりきれないのが、オレの限界というものなんだろうな。
幸いにもウルハンガは女神の姿 ―― その場合の名はラーショナラ ―― を取ることも広く知られている。それがあって連中はどうやらオレがラーショナラの化身だと思っているようだ。
自分から敢えて騙す気は無いけど、向こうが誤解しているならそのままにしておこう。
『ウルハンガは皆さんの事を決して忘れません。だから次に再臨した時に備えて、あなた方の家族や教会の元に戻りなさい』
この言葉を受けて、連中にはどこかホッとした空気が流れる。
まあ探し求めていた神様が更に高みを目指して去って行ったという話 ―― 全部嘘では無いからな ―― は連中にとっても『落としどころ』として十分だろう。
これで満足して引いてくれる事を祈るしか無い。
そしてウルハンガを『人々の心を腐らせる《裏切りもの》の邪神』だと思って打倒に来た連中にはどうするか。
『あなた方の追っていた《裏切りもの》は消しました。もうこの世界のどこにもいません。だからもうこれ以上、あなた達は戦う必要はありません』
オレの言葉を受けて、連中には喜びの色が広がるが、同時に困惑も見える。
そりゃまあいきなり現れた『どこの誰か知らない光輝く乙女』が彼らの追い求めていた邪神を消し去ったと言ってそれを簡単に信じられるはずが無い。
しかしそこでオレの姿を見ていた連中から驚きと問いかけの声が上がる。
「もしや……あなた様はイロールの化身と言われる聖女アルタシャ様でございますか?」
うげえ。どことなく予想していたけど、勝手に名声が広がっているからオレの容姿を見れば、そこの見当ぐらいはついて当然か。
ここは不本意だが付き合うしかない。
『そうです。アルタシャです。皆さんにかわって、わたしが《裏切りもの》をこの世界から去るようにしたのです。もう戦う事はありません』
ああ。自分から『アルタシャ』の名前を使って、大勢の人を動かす真似をしたのは初めだけど、やむを得ない事とは言えどまたどこかで一線を越えてしまった気がしてくるよ。
そしてオレの言葉を聞いた連中は、次から次に歓声を上げてこちらを称えているようだ。
思惑通りなのにまるで嬉しくないのは、いつものことだけどな。
そしてウルハンガを『自分たちの悪行を支持する邪神』として崇拝している連中に対してはもっと厳しく行くべきだろう。
『ウルハンガ ―― 邪神グバシは消え失せました。もうあなた方の悪行を認めるものはいないのです』
「!!!」
連中はオレの言葉を聞いて、大多数は愕然となったようだ。
元の世界の狂信者だと、実際に神様なんて存在しないからこそ、説得で引き下がらせるのは困難だったけど、こっちの世界だと彼らの目の前で神様の象徴とおぼしき『光の巨人』が消えてしまったので、それを目の当たりにした以上、受け入れざるを得まい。
『もしもこれ以上、争うというならばあなた達もグバシの後を追わせる事になりますよ』
ここで連中は話しの途中でありながら、次から次へと慌てて逃げ出す。
まあ殆どはちょっと前の漁港でオレとエウスブスを襲ってきたような、チンピラ連中だったのだろうから、当てにしていたウルハンガが消えたらとっとと逃げ出すはずだ。
他にもいろいろな連中がいるようだけど、だいたいそいつらに合わせて適当な事を伝えたら大体は戦意を喪失してくれたらしい。
これも今の『アルタシャ』が『ウルハンガの力を受けてまばゆく輝く乙女』になっているからで、これが男子高校生だった時のオレの姿で接してもまるで相手にされなかった事だけは間違いない。
それが分かっていて、去って行く連中を見ながらオレはホッとしたというか、誇らしい気分というか、そういうものを抱いていて、別の意味で自分がヤバい状況にあることをヒシヒシと感じずにはいられなかったよ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる