270 / 1,316
第10章 神造者とカミツクリ
第270話 『遠見の間」にて
しおりを挟む
テセルに案内されたところで、そういえばこの支部長室よりも上にも部屋があった事に今さらながら気がついた。
しかしそんなところから何をするつもりなんだ?
まあいくら何でも神造者支部の頂上にレーザ光線砲が搭載されているとか、巨大ロボットに変形して立ち上がるとか、そんなアホな事は想像するだけムダなのは分かっているが、いずれにしても機密事項が秘められているのは間違いない。
「副支部長に黙って最上階に、神造者でない人間を入れていいんですか?」
「そうだな。そんないけない娘には、支部長としておしおきが――」
「下らないことを言っていると、出ていきますよ」
オレはテセルに背を向ける。
「ああ。分かった。分かった。そう怒るなよ。とりあえずこっちを見ろ」
テセルにうながされて案内された部屋の中に入ってみる。
そこは一見すると窓も無ければ、家具の類いもなく、全く殺風景な部屋だった。
しかしよくよく見ると部屋の壁や床、天井にはびっしりと複雑な紋様が描きこまれており、遠近感がずれているのか、広いとも狭いとも感じられる奇妙な景色になっていた。
「いったいここは?」
「支部長室よりも上に位置するこの部屋の名前は『遠見の間』だ。本来は支部長もしくはその許可を受けた神造者以外は入る事の出来ない神聖な部屋なんだぞ。もちろん支部における最も重要な場所の一つである。光栄に思うがいい」
確かにここが支部でもっとも高い位置にある部屋だろうけど、窓の一つも無いのにそんな名前がついているということは、普通に考えれば結論は一つだ。
「まさかここからバッド・ディール市の全てが見通せるのですか?」
そんな便利な部屋があるのなら、確かに安全に廃虚の地域を捜索出来るだろう。
しかしそれだと先ほどテセルが口にした『廃虚地域に入って活動する』という話とまた違ってくることになる。
「まあお前の想像している事は分かるぞ。そして残念だがそれは半分だけ当たりだな」
「どういうことです?」
「黙って見ていろ。すぐに分かる」
そういうと複雑な紋様が描かれた部屋の中央にテセルは立ち、目をつぶって精神を集中させる。
すると周囲には、ボンヤリとした半透明の街や山、川が紋様の中から浮かび上がり、次いで色や形、大小さまざまな光の点がその中を動き回りはじめた。
テセルが何らかの魔術的な儀式をしていることはすぐに分かったが、実を言うとこの時のオレの気分はかなり悪かった。
こういう魔法儀式を見ると、真っ先に聖女協会で女にされてしまった時の事を思い出すし、それ以外でもロクな目にあったためしがないのだ。
そんなわけでテセルが何をしているのか問う気力もなく、ただ見ていると光が集まって形を取り始める。
そのぼんやりとした姿を見た時点で、オレにもこれが何なのかはすぐに分かった。
元の世界の歴史教科書などでよく見た、上空から見た都市の絵にそっくりなのだ。
つまりここの映っているのはバッド・ディール市なのだろう。
その形がハッキリしてきたのを目をこらして見れば、家の一軒一軒、道一本まで感じ取れる、半透明のミニチェアを並べた都市の画像だ。
たぶん殆ど文明では ―― 以前に出会った第五階級の連中を除き ―― 絵地図ぐらいしか存在しないこの世界では極めて精度の高い地図ということになるだろう。
そして半透明のバッド・ディールのミニチェアの中ではいろいろな色とりどりの光の点が動いている。
最初はこの街にいる人間かと思ったけど、どうも違うようだ。
「ふふん。お前はこれを見ても分からないだろうけど、訓練を受けた神造者であれば、その光の大小、色、動き、形から多くの情報を引き出せるのだぞ」
そこまで言われると、オレにもこの光が何を意味するかの見当ぐらいはつく。
「ひょっとすると……この光の点は信仰の力を示しているのですか?」
「ああそうだ。支部長はここで地域において、神に捧げられた信仰の流れを掌握し、それを基にして管轄地を効率的に運用し、問題があれば修正することになっているんだ。もっともこれは信仰の精力を使うから、通常は三ヶ月に一度ぐらいしか使用出来ないのだけどな」
「それでは公私混同でしょうが!」
オレはついついツッコミを入れてしまう。
「心配するな。新任の支部長による管轄地の調査という名目なら問題は無いから」
それは確かに表向きの問題は無くとも、副支部長との確執が原因なんだから、あまりすっきりしないな。
中央から来たエリートと、地元たたき上げ官僚の軋轢にその地の人々の捧げた信仰の力が浪費されるというのは、他人事ながら実によろしくない。
「言っておくけど、僕はいまここで表示されている事は全部頭に入れているからな。問題点は後で全て解決する。だから決して副支部長との意地の張り合いで貴重な信仰の精力をムダにしているわけではないのだぞ」
オレの表情から、何を言いたいのか分かったらしくテセルは断りを入れてきた。まあコイツは毒舌家ではあるが、官僚としての使命について嘘はつかないのは分かっているので、ここは納得しておこう。
しかしまだ問題点はあった。
光で描かれているバッド・ディールの街の半分は真っ暗なのだ。
「ところでここでは廃虚地域の部分はやっぱり見えないですね」
神造者が管轄していないバッド・ディール廃虚地域の方はこの『遠見の間』でも暗闇のままである。当然といえば当然だが、これでは肝心の事が分からずじまいだ。
さすがのエリート神造者も当てが外れたのか、と思ったがここでテセルは余裕の笑みを浮かべる。
「心配するな。肝心なのはこれからだからな」
「それはどういうことですか?」
「考えて見ろよ。ただこの『遠見の間』でバッド・ディールを見るだけなら、わざわざお前を連れてくる必要なんかないだろ? ただ神造者の力を見せつけるためだけに、そんな事をしたと思ったか?」
今の今までそう思っていましたけど。
しかしテセルはオレの返答を確認する事も無く、何か別の儀式を始めだした。
「それではいくぞ」
「え? 何のつもりで――」
何事かと問いかけようとしたとき、テセルが何らかの魔術を放ち、そしてオレの視界は白一色で埋め尽くされる事となった。
しかしそんなところから何をするつもりなんだ?
まあいくら何でも神造者支部の頂上にレーザ光線砲が搭載されているとか、巨大ロボットに変形して立ち上がるとか、そんなアホな事は想像するだけムダなのは分かっているが、いずれにしても機密事項が秘められているのは間違いない。
「副支部長に黙って最上階に、神造者でない人間を入れていいんですか?」
「そうだな。そんないけない娘には、支部長としておしおきが――」
「下らないことを言っていると、出ていきますよ」
オレはテセルに背を向ける。
「ああ。分かった。分かった。そう怒るなよ。とりあえずこっちを見ろ」
テセルにうながされて案内された部屋の中に入ってみる。
そこは一見すると窓も無ければ、家具の類いもなく、全く殺風景な部屋だった。
しかしよくよく見ると部屋の壁や床、天井にはびっしりと複雑な紋様が描きこまれており、遠近感がずれているのか、広いとも狭いとも感じられる奇妙な景色になっていた。
「いったいここは?」
「支部長室よりも上に位置するこの部屋の名前は『遠見の間』だ。本来は支部長もしくはその許可を受けた神造者以外は入る事の出来ない神聖な部屋なんだぞ。もちろん支部における最も重要な場所の一つである。光栄に思うがいい」
確かにここが支部でもっとも高い位置にある部屋だろうけど、窓の一つも無いのにそんな名前がついているということは、普通に考えれば結論は一つだ。
「まさかここからバッド・ディール市の全てが見通せるのですか?」
そんな便利な部屋があるのなら、確かに安全に廃虚の地域を捜索出来るだろう。
しかしそれだと先ほどテセルが口にした『廃虚地域に入って活動する』という話とまた違ってくることになる。
「まあお前の想像している事は分かるぞ。そして残念だがそれは半分だけ当たりだな」
「どういうことです?」
「黙って見ていろ。すぐに分かる」
そういうと複雑な紋様が描かれた部屋の中央にテセルは立ち、目をつぶって精神を集中させる。
すると周囲には、ボンヤリとした半透明の街や山、川が紋様の中から浮かび上がり、次いで色や形、大小さまざまな光の点がその中を動き回りはじめた。
テセルが何らかの魔術的な儀式をしていることはすぐに分かったが、実を言うとこの時のオレの気分はかなり悪かった。
こういう魔法儀式を見ると、真っ先に聖女協会で女にされてしまった時の事を思い出すし、それ以外でもロクな目にあったためしがないのだ。
そんなわけでテセルが何をしているのか問う気力もなく、ただ見ていると光が集まって形を取り始める。
そのぼんやりとした姿を見た時点で、オレにもこれが何なのかはすぐに分かった。
元の世界の歴史教科書などでよく見た、上空から見た都市の絵にそっくりなのだ。
つまりここの映っているのはバッド・ディール市なのだろう。
その形がハッキリしてきたのを目をこらして見れば、家の一軒一軒、道一本まで感じ取れる、半透明のミニチェアを並べた都市の画像だ。
たぶん殆ど文明では ―― 以前に出会った第五階級の連中を除き ―― 絵地図ぐらいしか存在しないこの世界では極めて精度の高い地図ということになるだろう。
そして半透明のバッド・ディールのミニチェアの中ではいろいろな色とりどりの光の点が動いている。
最初はこの街にいる人間かと思ったけど、どうも違うようだ。
「ふふん。お前はこれを見ても分からないだろうけど、訓練を受けた神造者であれば、その光の大小、色、動き、形から多くの情報を引き出せるのだぞ」
そこまで言われると、オレにもこの光が何を意味するかの見当ぐらいはつく。
「ひょっとすると……この光の点は信仰の力を示しているのですか?」
「ああそうだ。支部長はここで地域において、神に捧げられた信仰の流れを掌握し、それを基にして管轄地を効率的に運用し、問題があれば修正することになっているんだ。もっともこれは信仰の精力を使うから、通常は三ヶ月に一度ぐらいしか使用出来ないのだけどな」
「それでは公私混同でしょうが!」
オレはついついツッコミを入れてしまう。
「心配するな。新任の支部長による管轄地の調査という名目なら問題は無いから」
それは確かに表向きの問題は無くとも、副支部長との確執が原因なんだから、あまりすっきりしないな。
中央から来たエリートと、地元たたき上げ官僚の軋轢にその地の人々の捧げた信仰の力が浪費されるというのは、他人事ながら実によろしくない。
「言っておくけど、僕はいまここで表示されている事は全部頭に入れているからな。問題点は後で全て解決する。だから決して副支部長との意地の張り合いで貴重な信仰の精力をムダにしているわけではないのだぞ」
オレの表情から、何を言いたいのか分かったらしくテセルは断りを入れてきた。まあコイツは毒舌家ではあるが、官僚としての使命について嘘はつかないのは分かっているので、ここは納得しておこう。
しかしまだ問題点はあった。
光で描かれているバッド・ディールの街の半分は真っ暗なのだ。
「ところでここでは廃虚地域の部分はやっぱり見えないですね」
神造者が管轄していないバッド・ディール廃虚地域の方はこの『遠見の間』でも暗闇のままである。当然といえば当然だが、これでは肝心の事が分からずじまいだ。
さすがのエリート神造者も当てが外れたのか、と思ったがここでテセルは余裕の笑みを浮かべる。
「心配するな。肝心なのはこれからだからな」
「それはどういうことですか?」
「考えて見ろよ。ただこの『遠見の間』でバッド・ディールを見るだけなら、わざわざお前を連れてくる必要なんかないだろ? ただ神造者の力を見せつけるためだけに、そんな事をしたと思ったか?」
今の今までそう思っていましたけど。
しかしテセルはオレの返答を確認する事も無く、何か別の儀式を始めだした。
「それではいくぞ」
「え? 何のつもりで――」
何事かと問いかけようとしたとき、テセルが何らかの魔術を放ち、そしてオレの視界は白一色で埋め尽くされる事となった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに
千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】
魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。
ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。
グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、
「・・・知ったからには黙っていられないよな」
と何とかしようと行動を開始する。
そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。
他の投稿サイトでも掲載してます。
※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる