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第18章 奇怪なる殺戮者?
第722話 夜道を進んでみると
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こっそりと人気のない夜の街路に降り立ったところで、ひとまず周囲の様子を確認する。
オレの場合は知覚系の魔法として、夜目のきく『猫目』や霊体を見る『霊視』、魔法を見る『魔法眼』をかけているので、暗くても行動には支障はない。
ただ残念なのは上空から見下ろす『鷹の目』は文字通り『鳥目』であって、暗くなると何も見えなくなってしまうので、視界の外についてはよく分からない。
明かりに関しては街路のあちこちが光系の魔法で照らされ、町の神の寺院など重要な地点は離れていても、空に放たれる光が見えるぐらいだ。
だが元の世界における、夜でも煌々と輝く不夜城の明かりとでは比較にもならない。
世を騒がせる殺人鬼に出くわすかもしれないかと思うと、ちょっとどころではなく緊張するし、もちろん怖れだってあるさ。
しかし神様を含め、今まで出会ってきた存在の事を考えれば、こんな町中で活動している相手には、油断さえしなければどうにかなるだろうという自負はある。
もちろんオレ自身には直接の戦闘力は無いに等しいけど、こちらを攻撃出来ないようにする魔法は幾つかあるし、それで警邏隊に身柄を引き渡す事が出来ればそれでいい。
まあそれもこれも本当に殺人鬼に対面した場合の事だ。
普通に考えると、かなり大勢の警邏隊が出張って監視しているのに、そんな中で凶行に出るとはちょっと考えにくいのだが、対象がそもそも『普通』ではないからな。
それが単独犯であれ、複数犯であれ、町中で連続猟奇殺人を起こし、町を挙げた追跡をも振り切って犯行を繰り返しているのだ。
相手が何者であれ、ただの粗暴な殺人鬼ではなく、それでいてまともな人間でもない事だけは確かだから、警戒するに越した事はあるまい。
そんな事を考えつつオレは先ほど見かけた、小さな人影にこっそりと近づく。
幸いにも相手はこちらには気付いていないようなので、ここはちょっとばかり観察させてもらおう。
相手は今のオレから見ても小柄な体型で、外套で覆ってその顔を隠している。
明かりも持たずにこそこそと移動しては、周囲をキョロキョロと見て回っている様子だ。
どことなく今のオレ自身を思わせる動きで、ちょっとばかり苦笑してしまう。
ただその行動からすると、何らかの明確な目的地があるわけではなく、それでいて何かを――または『誰か』を――探しているように見受けられる。
見たところ武装している様子も無く、仮に武器を隠し持っていたとしてもせいぜい短刀とかその類いだろう。
普通に考えると、噂のように人間の内臓をぶちまけるほどの真似が出来る相手とはとても思えない。
しかしこの世界では見た目と中身が全然違う事だって珍しくはない――実際、オレ自身がそうなのだから。
この小柄な相手が優秀な魔法使いであり、強力な攻撃魔法で人体をミンチにするぐらい造作も無い可能性だってあるのだ。
これまで『霊視』で見ている限りでは、有する霊力は『弱い』のだけど、何しろ今のオレの場合は町の神のような小神クラスでも同じランクになってしまうので、この区分けには殆ど意味が無くなっているのだ。
我ながら霊力が増すのも良し悪しだな。
そんなわけで小さいからと言って甘く見て迂闊に近づくわけにはいかない。
そう思って遠巻きに見ていると、街路の向こうからランタンを手にした二人組の警邏隊員が歩いてくる。
その明かりを見つけた外套の相手は、慌てた様子で警邏隊を避けるように横道に入っていくが、オレも後を追うことにする。
オレの場合はその気になれば建物の外壁に張り付くのも、屋根をつたって移動するのも造作も無いから警邏隊から隠れるのも簡単だ――我ながら不審人物というよりは、ほとんど怪物の域に達しているかもしれない。
もしもこの姿を知らない人間に見られたら、噂に尾ひれがついてまた面倒な事になりかねないぞ。
そして警邏隊を避けた外套の姿は、裏道を進んでいく。
おいおい。もう警邏隊の人は去って行ったんだから、元の道に戻った方がいいぞ。
内心で忠告したけど、考えてみれば相手は警邏隊の動きなど分かっていないのだろうな。
夜間外出禁止令に反して出歩いているわけだから、ただ見つかるわけにいかないと思って、どんどん街路から離れて、暗い方向へと進んでいるに違いない。
正直なところ、そのおっかなびっくりの動きを見ている限り、とても噂の殺人鬼とは思えないな。
その真意はよく分からないけど、ひょっとすると本当に事件とは無関係なのか。それならばずいぶんと無駄骨を折ってしまったものだ。
これまで何かする都度、変な事件に出くわしすぎて、小さな事でも気にしすぎていたのかもしれない。
もしも宿の人がオレの姿の無い部屋を見たら不審に思われるのは確実だ。
心配されるのなら申し訳ないし、もしも犯罪がらみだと思われて警邏隊に通報されたらいろいろと面倒だ。すぐに引き返した方がいいだろう。
安堵しつつもちょっとばかり拍子抜けしたところで、とっとと宿に戻ることにする。
だがそう思って少し離れた直後、オレの耳には甲高い悲鳴が鳴り響き、思わず足が地面に縫い付けられる事となった。
オレの場合は知覚系の魔法として、夜目のきく『猫目』や霊体を見る『霊視』、魔法を見る『魔法眼』をかけているので、暗くても行動には支障はない。
ただ残念なのは上空から見下ろす『鷹の目』は文字通り『鳥目』であって、暗くなると何も見えなくなってしまうので、視界の外についてはよく分からない。
明かりに関しては街路のあちこちが光系の魔法で照らされ、町の神の寺院など重要な地点は離れていても、空に放たれる光が見えるぐらいだ。
だが元の世界における、夜でも煌々と輝く不夜城の明かりとでは比較にもならない。
世を騒がせる殺人鬼に出くわすかもしれないかと思うと、ちょっとどころではなく緊張するし、もちろん怖れだってあるさ。
しかし神様を含め、今まで出会ってきた存在の事を考えれば、こんな町中で活動している相手には、油断さえしなければどうにかなるだろうという自負はある。
もちろんオレ自身には直接の戦闘力は無いに等しいけど、こちらを攻撃出来ないようにする魔法は幾つかあるし、それで警邏隊に身柄を引き渡す事が出来ればそれでいい。
まあそれもこれも本当に殺人鬼に対面した場合の事だ。
普通に考えると、かなり大勢の警邏隊が出張って監視しているのに、そんな中で凶行に出るとはちょっと考えにくいのだが、対象がそもそも『普通』ではないからな。
それが単独犯であれ、複数犯であれ、町中で連続猟奇殺人を起こし、町を挙げた追跡をも振り切って犯行を繰り返しているのだ。
相手が何者であれ、ただの粗暴な殺人鬼ではなく、それでいてまともな人間でもない事だけは確かだから、警戒するに越した事はあるまい。
そんな事を考えつつオレは先ほど見かけた、小さな人影にこっそりと近づく。
幸いにも相手はこちらには気付いていないようなので、ここはちょっとばかり観察させてもらおう。
相手は今のオレから見ても小柄な体型で、外套で覆ってその顔を隠している。
明かりも持たずにこそこそと移動しては、周囲をキョロキョロと見て回っている様子だ。
どことなく今のオレ自身を思わせる動きで、ちょっとばかり苦笑してしまう。
ただその行動からすると、何らかの明確な目的地があるわけではなく、それでいて何かを――または『誰か』を――探しているように見受けられる。
見たところ武装している様子も無く、仮に武器を隠し持っていたとしてもせいぜい短刀とかその類いだろう。
普通に考えると、噂のように人間の内臓をぶちまけるほどの真似が出来る相手とはとても思えない。
しかしこの世界では見た目と中身が全然違う事だって珍しくはない――実際、オレ自身がそうなのだから。
この小柄な相手が優秀な魔法使いであり、強力な攻撃魔法で人体をミンチにするぐらい造作も無い可能性だってあるのだ。
これまで『霊視』で見ている限りでは、有する霊力は『弱い』のだけど、何しろ今のオレの場合は町の神のような小神クラスでも同じランクになってしまうので、この区分けには殆ど意味が無くなっているのだ。
我ながら霊力が増すのも良し悪しだな。
そんなわけで小さいからと言って甘く見て迂闊に近づくわけにはいかない。
そう思って遠巻きに見ていると、街路の向こうからランタンを手にした二人組の警邏隊員が歩いてくる。
その明かりを見つけた外套の相手は、慌てた様子で警邏隊を避けるように横道に入っていくが、オレも後を追うことにする。
オレの場合はその気になれば建物の外壁に張り付くのも、屋根をつたって移動するのも造作も無いから警邏隊から隠れるのも簡単だ――我ながら不審人物というよりは、ほとんど怪物の域に達しているかもしれない。
もしもこの姿を知らない人間に見られたら、噂に尾ひれがついてまた面倒な事になりかねないぞ。
そして警邏隊を避けた外套の姿は、裏道を進んでいく。
おいおい。もう警邏隊の人は去って行ったんだから、元の道に戻った方がいいぞ。
内心で忠告したけど、考えてみれば相手は警邏隊の動きなど分かっていないのだろうな。
夜間外出禁止令に反して出歩いているわけだから、ただ見つかるわけにいかないと思って、どんどん街路から離れて、暗い方向へと進んでいるに違いない。
正直なところ、そのおっかなびっくりの動きを見ている限り、とても噂の殺人鬼とは思えないな。
その真意はよく分からないけど、ひょっとすると本当に事件とは無関係なのか。それならばずいぶんと無駄骨を折ってしまったものだ。
これまで何かする都度、変な事件に出くわしすぎて、小さな事でも気にしすぎていたのかもしれない。
もしも宿の人がオレの姿の無い部屋を見たら不審に思われるのは確実だ。
心配されるのなら申し訳ないし、もしも犯罪がらみだと思われて警邏隊に通報されたらいろいろと面倒だ。すぐに引き返した方がいいだろう。
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