955 / 1,316
第21章 神の試練と預言者
第955話 火口部にて、神の前に『預言者』と対面?
しおりを挟む
いったいテセルは何に気づいたのか?
これまでの話からして、シャンサが神造者と何らかの関係があるのは確かだろう。
テセルは否定していたが、もしもシャンサが道を踏み外した神造者ならば、外部の人間を敵視する教義を唱える事はさほど不思議でもない。
以前にテセルは『地方に配属されたエリート神造者の中には、中央に戻って出世競争をするのではなく、配属地でお山の大将になるものもいる』と言っていた。
それと同じように、シャンサはこの荒廃した地でイル=フェロ信徒の支配者となり、この地域に外部の人間を近づかせないようにしようとして『外部の人間は堕落しているから、どんな仕打ちをしても構わない』という教えを広める事は十分にあり得るな。
「いったいどういうことなのですか? 教えて下さい」
「今のところは推測に過ぎないからな。まあ山頂に登ってみれば分かるだろう」
「大丈夫なのですか?」
いま山頂にいる連中が、オレ達に対して友好的である事を期待するのは、テセルがいきなり真人間になるより可能性は低いだろう。
「万一の時は――」
「わたしを当てにしないで下さいよ」
そんなことを言っても、本当にテセルが危うければ助けてしまうのは分かっているが、それでも一応は釘を刺しておこう。
しかし本当にテセルには何らかの当てがあるようだが、それが推測なのも間違いない。
それでも躊躇せずに命を賭けて行動するところは、本当に相変わらずだが、その点に関してはオレも似たようなものだ。
オレがなんだかんだ言いつつ、こうやってテセルと付き合っているのは、それが理由なのかもしれないな。
「これは……またアルがやってくれたのか」
サロールは意識を取り戻したところで、自分の身を改めて確認し驚いている様子だ。
先ほどのサロールの受けていたやけどは、間違いなく致命傷だったけど、殆ど跡形もなく治っているのだからな。
「わたしたちを守って戦ってくれたのですから、これぐらいは当然ですよ」
「お前はそういうが……」
サロールはオレの事をいろいろと意識はしているが、それをどう表現していいのか分からないらしい。
ううむ。いろいろと面倒だけど、毎度の事ながらそのあたりは先延ばしさせてもらおう。
「ところで聖地は目の前です。また何かやってくる前に急ぎたいところなのですけど、あそこに見えている人たちについてサロールさんはなにかご存じですか?」
「いや。俺は知らん」
ひょっとしたら聖地である火口を守護している役目のあるイル=フェロ信徒がいるのかと思っていたが、少なくともサロールは何も知らないらしい。
ただの山頂ならいざ知らず、今も噴煙を上げている活火山の火口近くに常時活動している人間がいるはずがないし、やはり直接行って確認するしかないか。
「とにかく先に行きましょう」
火口にいる連中が正体不明だからと言って、サロールがこの場で引き返す筈もない。
こうなれば一緒に向かう以外に、選択肢はないか。
危険は承知だが、この先に何があるのか興味が抑えきれないのは、テセルだけではなくオレ自身についても言える事なのだ。
しばしの後、火口にて待ち構えている連中に近づいたが、少なくとも相手はすぐにオレ達を攻撃する様子は無い。
先ほどの『溶岩人形』は無関係だったのか?
それとも『聖地の守護者』だとすればよくあるパターンだが、オレ達を試したのか?
その謎はこの先にあるのは間違いないが、相応の危険があるのも確かだ。
相手の正確な数は、未だに分からないけど、少なくとも十人はいるらしい。
一斉に襲いかかられたら、いろいろと面倒なのは間違いないので、ひとまず暴力的活動を抑止する『調和』をかけておく。
そんなわけで緊張しつつ、オレ達一行は硫黄の匂いが漂うイル=フェロ神の聖地たる火口の端にたどり着いた。
先ほどからこちらを見ている奴らは、一見したところその装備はサロールと殆ど違いのない典型的なイル=フェロ信徒のものだ。
そして火口の端には比較的最近になって作られたと思しき、石を組み上げた粗末な建物があった。
恐らくはイル=フェロ神の社なのだろう。
「俺の名はサロール! 偉大なるイル=フェロに会いに来た!」
サロールが高らかに名乗りを上げると、見ていた連中から一人、中年の男がオレ達の方に近づいてくる。
相手は高位のイル=フェロ信徒らしく、鍛え上げられた身体を持ち、腰のバックルもかなり手の込んだ細工が施されている。
「お前たちの事は、大いなる預言者もお待ちかねだ」
「預言者だと? それはいったい誰のことだ?」
サロールは警戒を露わにしつつ問いかける。
「もちろん我らが新たな指導者たるシャンサ様だ」
思った通り、こいつらはシャンサの支持者だったのか。
しかもこの先にその『預言者』当人がいるとは、いったい何をしているんだ?
もちろんこの火口部がイル=フェロ信徒の聖地なのは分かるが、元の世界のようにどこにいても簡単に連絡が取れるはずもなく、ここに居座るのはどうにも不自然だ。
だがここでサロールは喧嘩腰で叫びをあげる。
「ふざけるな! あのような教えをゆがめるものが偉大なるイル=フェロの預言者であるはずがない!」
おい。状況を考えろよ。
ここにいるのがみんなシャンサの手先なのは間違いないのに、いきなり宣戦布告するようなものだろう。
幾らオレが『調和』で暴力的な活動を抑止していたとしても、魔法がかかったときに視界に入っていなかった相手には効果が無いのだ。
オレはハラハラしつつ見ていると、周囲の連中は特に怒る様子も無く、むしろこちらに対してあざ笑うかのような表情を示している。
「我らも最初はお前と同じような事を言っていたものだ。だがあのお方に接した事で、それが間違いだったと思い知らされたのだ」
そして男は改めて先ほどの社を指し示す。
「まずは大いなるシャンサに目通りするがいい。『溶岩人形』を倒したお前には十分にその資格がある」
男はそう言って余裕のある笑みをオレ達に注いだのだった。
これまでの話からして、シャンサが神造者と何らかの関係があるのは確かだろう。
テセルは否定していたが、もしもシャンサが道を踏み外した神造者ならば、外部の人間を敵視する教義を唱える事はさほど不思議でもない。
以前にテセルは『地方に配属されたエリート神造者の中には、中央に戻って出世競争をするのではなく、配属地でお山の大将になるものもいる』と言っていた。
それと同じように、シャンサはこの荒廃した地でイル=フェロ信徒の支配者となり、この地域に外部の人間を近づかせないようにしようとして『外部の人間は堕落しているから、どんな仕打ちをしても構わない』という教えを広める事は十分にあり得るな。
「いったいどういうことなのですか? 教えて下さい」
「今のところは推測に過ぎないからな。まあ山頂に登ってみれば分かるだろう」
「大丈夫なのですか?」
いま山頂にいる連中が、オレ達に対して友好的である事を期待するのは、テセルがいきなり真人間になるより可能性は低いだろう。
「万一の時は――」
「わたしを当てにしないで下さいよ」
そんなことを言っても、本当にテセルが危うければ助けてしまうのは分かっているが、それでも一応は釘を刺しておこう。
しかし本当にテセルには何らかの当てがあるようだが、それが推測なのも間違いない。
それでも躊躇せずに命を賭けて行動するところは、本当に相変わらずだが、その点に関してはオレも似たようなものだ。
オレがなんだかんだ言いつつ、こうやってテセルと付き合っているのは、それが理由なのかもしれないな。
「これは……またアルがやってくれたのか」
サロールは意識を取り戻したところで、自分の身を改めて確認し驚いている様子だ。
先ほどのサロールの受けていたやけどは、間違いなく致命傷だったけど、殆ど跡形もなく治っているのだからな。
「わたしたちを守って戦ってくれたのですから、これぐらいは当然ですよ」
「お前はそういうが……」
サロールはオレの事をいろいろと意識はしているが、それをどう表現していいのか分からないらしい。
ううむ。いろいろと面倒だけど、毎度の事ながらそのあたりは先延ばしさせてもらおう。
「ところで聖地は目の前です。また何かやってくる前に急ぎたいところなのですけど、あそこに見えている人たちについてサロールさんはなにかご存じですか?」
「いや。俺は知らん」
ひょっとしたら聖地である火口を守護している役目のあるイル=フェロ信徒がいるのかと思っていたが、少なくともサロールは何も知らないらしい。
ただの山頂ならいざ知らず、今も噴煙を上げている活火山の火口近くに常時活動している人間がいるはずがないし、やはり直接行って確認するしかないか。
「とにかく先に行きましょう」
火口にいる連中が正体不明だからと言って、サロールがこの場で引き返す筈もない。
こうなれば一緒に向かう以外に、選択肢はないか。
危険は承知だが、この先に何があるのか興味が抑えきれないのは、テセルだけではなくオレ自身についても言える事なのだ。
しばしの後、火口にて待ち構えている連中に近づいたが、少なくとも相手はすぐにオレ達を攻撃する様子は無い。
先ほどの『溶岩人形』は無関係だったのか?
それとも『聖地の守護者』だとすればよくあるパターンだが、オレ達を試したのか?
その謎はこの先にあるのは間違いないが、相応の危険があるのも確かだ。
相手の正確な数は、未だに分からないけど、少なくとも十人はいるらしい。
一斉に襲いかかられたら、いろいろと面倒なのは間違いないので、ひとまず暴力的活動を抑止する『調和』をかけておく。
そんなわけで緊張しつつ、オレ達一行は硫黄の匂いが漂うイル=フェロ神の聖地たる火口の端にたどり着いた。
先ほどからこちらを見ている奴らは、一見したところその装備はサロールと殆ど違いのない典型的なイル=フェロ信徒のものだ。
そして火口の端には比較的最近になって作られたと思しき、石を組み上げた粗末な建物があった。
恐らくはイル=フェロ神の社なのだろう。
「俺の名はサロール! 偉大なるイル=フェロに会いに来た!」
サロールが高らかに名乗りを上げると、見ていた連中から一人、中年の男がオレ達の方に近づいてくる。
相手は高位のイル=フェロ信徒らしく、鍛え上げられた身体を持ち、腰のバックルもかなり手の込んだ細工が施されている。
「お前たちの事は、大いなる預言者もお待ちかねだ」
「預言者だと? それはいったい誰のことだ?」
サロールは警戒を露わにしつつ問いかける。
「もちろん我らが新たな指導者たるシャンサ様だ」
思った通り、こいつらはシャンサの支持者だったのか。
しかもこの先にその『預言者』当人がいるとは、いったい何をしているんだ?
もちろんこの火口部がイル=フェロ信徒の聖地なのは分かるが、元の世界のようにどこにいても簡単に連絡が取れるはずもなく、ここに居座るのはどうにも不自然だ。
だがここでサロールは喧嘩腰で叫びをあげる。
「ふざけるな! あのような教えをゆがめるものが偉大なるイル=フェロの預言者であるはずがない!」
おい。状況を考えろよ。
ここにいるのがみんなシャンサの手先なのは間違いないのに、いきなり宣戦布告するようなものだろう。
幾らオレが『調和』で暴力的な活動を抑止していたとしても、魔法がかかったときに視界に入っていなかった相手には効果が無いのだ。
オレはハラハラしつつ見ていると、周囲の連中は特に怒る様子も無く、むしろこちらに対してあざ笑うかのような表情を示している。
「我らも最初はお前と同じような事を言っていたものだ。だがあのお方に接した事で、それが間違いだったと思い知らされたのだ」
そして男は改めて先ほどの社を指し示す。
「まずは大いなるシャンサに目通りするがいい。『溶岩人形』を倒したお前には十分にその資格がある」
男はそう言って余裕のある笑みをオレ達に注いだのだった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さくら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる