1,043 / 1,316
第23章 女神の聖地にて真相を
第1043話 後門の狼から前門の虎が
しおりを挟む
海賊船から飛んできた矢はほとんど銛と言ってもいいぐらいに大きい。
どうやら『海の牙』の船には大型の据付弩弓があるらしく、通常の弓矢よりもずっと大きな矢を用いて、はるかに遠距離から攻撃をかけられるようだ。
残念ながら戦闘を目的としない『癒しの風』号の方にそんな設備はなく、武器はあくまでも船員の手持ち武器だけである。
また『火球』のような強力な攻撃魔法の使い手もいない。
つまり現時点では一方的に攻撃を受ける事になる。
いくら大きな弓でも船を沈める威力はないが、こういう場合に真っ先にダメージを受けるのは人間の方である。
「ぐがぁ!」
「痛てぇよ!」
矢そのものが直撃したわけではないが、それによって砕けたいろいろなものの破片が乗組員に当たって怪我をさせる。
もちろん致命傷ではないが、味方が負傷して悲鳴をあげれば恐ろしくないわけがない。
一方的にこんな攻撃を繰り返されたら、当然なら船員の士気が失われてしまう。
「もうだめだ。停船して貢物を出そう。幾ら何でも皆殺しにはしないだろう」
「馬鹿野郎! 俺たちが浮き足立ってどうする! 海にたたき込まれたいか!」
ドーマルが弱音を吐いた船員を怒鳴りつける。
「もしも降参するという奴は、自分が生贄になる事を了承したとみなすぞ」
ううむ。冷静に考えるととんでもない横暴な言い草だけど、逃げ腰になる相手にはそれぐらいの発破をかけないと駄目なのか。
とりあえず『戦意高揚』の魔法をかけて、船員たちの士気を高めておこう。
その上で負傷している船員には『応急手当』の魔法をかける。
「おお。痛くないぞ!」
「これならまだまだやれる!」
負傷の痛みがおさまった船員はやる気を出して、立ち向かおうとする。
それを見てドーマルも感心した様子でつぶやく。
「アルは見習いなのに大したもんだな。いや。さっきは悪かった。お前さんは頼りなるよ」
「謝るのはいいです。それよりも状況はどうですか?」
「正直に言って望ましくはないな」
ドーマルの表情はかなり難しそうだ。
「連中があんな弩弓を撃ってくるのは本来は停船させるための脅しだが、その気になれば火をかけてくる可能性もある。普通はそんな事をしたら奪うものもなくなってしまいかねないので、やらないはずだが連中に理屈は通じないからな」
「しかし『海の牙』だって何らかの目的があって襲撃しているはずですよね」
「それが分かりゃ苦労しないよ。何だったらアルが向こうの船に渡ってあいつらに聞いてきてくれるかい?」
「ドーマルさんが一緒に来てくれるというなら、考えておきますよ」
オレの返答を受けてドーマルは苦笑する。
「本当にアルは肝が座っているな。オレだって幾度も修羅場をくぐってきた一丁前の船乗りのつもりだったけど、まさか見習い聖女様の方が上手とは驚いたよ」
ここでドーマルは改めて船員にゲキを飛ばす。
「こんな年端もいかない見習い聖女様でも見ず知らずの俺たちのために体を張って傷を治してくれているんだ。船員の俺たちがそれに応えないでどうする!」
「おお!」
オレの『戦意高揚』の影響もあるんだろうけど、ひとまず船員達はやる気を出してくれたようだ。
しかし精神力で状況が改善するわけもなく『海の牙』の船はどんどん近づいてくる。
「おおい! 聞こえるか! そこの船、いい加減に止まりやがれ!」
海賊船から停戦しろとの野太い声が飛んでくる。
もちろん『癒しの風』号はそんなの聞き入れるはずもない。
「お前らの船には聖女様が乗っているんだろう。それを引き渡せば他の船員や乗客は見逃してやるぞ」
「な、なんだと?」
わざわざ『海の牙』が縄張りを外れて『癒しの風』号を襲撃してきたのは、聖女を手に入れるためだったのか。
だけどいったい何のためだ?
聖女だったら神に捧げる生贄として価値が高いと言うのは分かるけど、それだけのためにわざわざ縄張りを外れての行動だとしたら割に合わなすぎるのではないだろうか。
もしかしたら連中の拠点で病気が広まったので、その治療が出来る人間を必要としているとかそんな事情なのかもしれん。
ここでドーマルもまた大声で怒鳴り返す。
「お前たちなんぞに聖女様を渡せるか! 生け贄にする気なのだろうが!」
「そんなワケじゃねえよ! 我らが『海の牙』のご意志だ!」
面倒だけど、この場合の『海の牙』とは目の前にいる海賊団のことでは無く、彼らの崇拝する海賊神を指しているのだろうな。
「それならその神様に言ってやれ。『クソ食らえ』とな!」
この返答と共にまたしてもデカい矢が飛んでくる。
どうやら交渉――というにもおこがましいが――決裂のようである。
いずれにしてもこうなったら『海の牙』の連中はもっと接近して、乗り込んでくるのはほぼ確実だから、流血は避けようが無いな。
だがここでまたしても思わぬ事態が起きる。
「まずい! 前にもう一隻来たぞ!」
ええ? そんなまさか?
見ると前の方の島影から一隻の船が姿を見せていた。
げげ?! まさか『海の牙』は最初から挟み撃ちにするつもりだったのか?
「ドーマルさん。あれも『海の牙』の船なんですか」
「いや。違う。あれはまさか……なんてこった……」
このときどういうわけか『海の牙』を相手にはまだ立ち向かう勇気を見せていたドーマルが、その身を震わせていたのだ。
思いかえすと先ほどオレと会話したとき、ドーマルには『海の牙』よりも恐れている海賊があったように感じられたが、もしかしたらあの船がそれなのか?
それではまさに『前門の虎、後門の狼』になってしまったのかよ!
どうやら『海の牙』の船には大型の据付弩弓があるらしく、通常の弓矢よりもずっと大きな矢を用いて、はるかに遠距離から攻撃をかけられるようだ。
残念ながら戦闘を目的としない『癒しの風』号の方にそんな設備はなく、武器はあくまでも船員の手持ち武器だけである。
また『火球』のような強力な攻撃魔法の使い手もいない。
つまり現時点では一方的に攻撃を受ける事になる。
いくら大きな弓でも船を沈める威力はないが、こういう場合に真っ先にダメージを受けるのは人間の方である。
「ぐがぁ!」
「痛てぇよ!」
矢そのものが直撃したわけではないが、それによって砕けたいろいろなものの破片が乗組員に当たって怪我をさせる。
もちろん致命傷ではないが、味方が負傷して悲鳴をあげれば恐ろしくないわけがない。
一方的にこんな攻撃を繰り返されたら、当然なら船員の士気が失われてしまう。
「もうだめだ。停船して貢物を出そう。幾ら何でも皆殺しにはしないだろう」
「馬鹿野郎! 俺たちが浮き足立ってどうする! 海にたたき込まれたいか!」
ドーマルが弱音を吐いた船員を怒鳴りつける。
「もしも降参するという奴は、自分が生贄になる事を了承したとみなすぞ」
ううむ。冷静に考えるととんでもない横暴な言い草だけど、逃げ腰になる相手にはそれぐらいの発破をかけないと駄目なのか。
とりあえず『戦意高揚』の魔法をかけて、船員たちの士気を高めておこう。
その上で負傷している船員には『応急手当』の魔法をかける。
「おお。痛くないぞ!」
「これならまだまだやれる!」
負傷の痛みがおさまった船員はやる気を出して、立ち向かおうとする。
それを見てドーマルも感心した様子でつぶやく。
「アルは見習いなのに大したもんだな。いや。さっきは悪かった。お前さんは頼りなるよ」
「謝るのはいいです。それよりも状況はどうですか?」
「正直に言って望ましくはないな」
ドーマルの表情はかなり難しそうだ。
「連中があんな弩弓を撃ってくるのは本来は停船させるための脅しだが、その気になれば火をかけてくる可能性もある。普通はそんな事をしたら奪うものもなくなってしまいかねないので、やらないはずだが連中に理屈は通じないからな」
「しかし『海の牙』だって何らかの目的があって襲撃しているはずですよね」
「それが分かりゃ苦労しないよ。何だったらアルが向こうの船に渡ってあいつらに聞いてきてくれるかい?」
「ドーマルさんが一緒に来てくれるというなら、考えておきますよ」
オレの返答を受けてドーマルは苦笑する。
「本当にアルは肝が座っているな。オレだって幾度も修羅場をくぐってきた一丁前の船乗りのつもりだったけど、まさか見習い聖女様の方が上手とは驚いたよ」
ここでドーマルは改めて船員にゲキを飛ばす。
「こんな年端もいかない見習い聖女様でも見ず知らずの俺たちのために体を張って傷を治してくれているんだ。船員の俺たちがそれに応えないでどうする!」
「おお!」
オレの『戦意高揚』の影響もあるんだろうけど、ひとまず船員達はやる気を出してくれたようだ。
しかし精神力で状況が改善するわけもなく『海の牙』の船はどんどん近づいてくる。
「おおい! 聞こえるか! そこの船、いい加減に止まりやがれ!」
海賊船から停戦しろとの野太い声が飛んでくる。
もちろん『癒しの風』号はそんなの聞き入れるはずもない。
「お前らの船には聖女様が乗っているんだろう。それを引き渡せば他の船員や乗客は見逃してやるぞ」
「な、なんだと?」
わざわざ『海の牙』が縄張りを外れて『癒しの風』号を襲撃してきたのは、聖女を手に入れるためだったのか。
だけどいったい何のためだ?
聖女だったら神に捧げる生贄として価値が高いと言うのは分かるけど、それだけのためにわざわざ縄張りを外れての行動だとしたら割に合わなすぎるのではないだろうか。
もしかしたら連中の拠点で病気が広まったので、その治療が出来る人間を必要としているとかそんな事情なのかもしれん。
ここでドーマルもまた大声で怒鳴り返す。
「お前たちなんぞに聖女様を渡せるか! 生け贄にする気なのだろうが!」
「そんなワケじゃねえよ! 我らが『海の牙』のご意志だ!」
面倒だけど、この場合の『海の牙』とは目の前にいる海賊団のことでは無く、彼らの崇拝する海賊神を指しているのだろうな。
「それならその神様に言ってやれ。『クソ食らえ』とな!」
この返答と共にまたしてもデカい矢が飛んでくる。
どうやら交渉――というにもおこがましいが――決裂のようである。
いずれにしてもこうなったら『海の牙』の連中はもっと接近して、乗り込んでくるのはほぼ確実だから、流血は避けようが無いな。
だがここでまたしても思わぬ事態が起きる。
「まずい! 前にもう一隻来たぞ!」
ええ? そんなまさか?
見ると前の方の島影から一隻の船が姿を見せていた。
げげ?! まさか『海の牙』は最初から挟み撃ちにするつもりだったのか?
「ドーマルさん。あれも『海の牙』の船なんですか」
「いや。違う。あれはまさか……なんてこった……」
このときどういうわけか『海の牙』を相手にはまだ立ち向かう勇気を見せていたドーマルが、その身を震わせていたのだ。
思いかえすと先ほどオレと会話したとき、ドーマルには『海の牙』よりも恐れている海賊があったように感じられたが、もしかしたらあの船がそれなのか?
それではまさに『前門の虎、後門の狼』になってしまったのかよ!
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる